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中国版ボーカロイドに対する期待と不安=同人音楽界が弱い中国(百元)

2012年02月02日

■中国オタクの中国版ボーカロイド3キャラデザ発表への反応と、入選基準やパクリ関係の騒動について■

*本記事はブログ「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年1月20日付記事を許可を得て転載したものです。 


20120202_写真_中国_オタク_ボーカロイド1
*中国版ボーカロイドのキャラクターデザイン募集サイト。

■中国版ボーカロイドのキャラデザ発表

先日、中国で行われたアニメイベント「卡通総動員」で、「VOCALOID-CHINA」のキャラクターデザイン募集の入選作が発表されたそうです。大賞となった「雅音宮羽」を含む5つのデザインは今後リライトを経て2月末に公開される予定だそうです。

ありがたいことにこの件に関する質問をいただいておりますので、今回はこれに関して一つやらせていただきます。大賞のデザインなどについては既に日本のネットでも紹介されていますので、詳しくは以下のサイト様の記事などをご参照ください。

関連リンク: 


■選考をめぐるごたごた

ボーカロイドは中国オタクの間では屈指の大ジャンルとなっていますし、中国オタク的に中国版ボーカロイドが出るというのはかなり嬉しいことのようです。

しかし、今回の募集に関してはネットの一部で評価の高かった作品と入選した作品が異なっていたことから選考基準に疑問の声が出たり、入選作品の中にパクリ疑惑の指摘を受けるものがありその後VOCALOID-CHINAの公式マイクロブログ上で指摘のあった作品の資格取り消しが発表されるなどといったゴタゴタも起こってしまっているようです(VOCALOID-CHINA公式マイクロブログ(中国語))。

このパクリ騒動や評価の食い違いについては、中国の大手オタクブログ和邪社様の記事(中国語)で画像つきで紹介されていますので、ご参照ください。


■中国人オタクの反応

パクリ騒動はさておき、やはり今回のデザイン発表は中国のソッチ系の掲示板で話題になっていますので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


中国版ボーカロイドの入選作品が発表されたぞ!このデザインをオフィシャル側の絵師がアレンジして決定となるようだ。

ふむ、悪くないな。あとはこれが中国版初音ミクになれるかどうかか。

デザイン良いね。大賞の青いヤツはボカロの流れだけど、ちゃんと初音ミクと区別できる。ただ、大量の中国語の歌が出て来るかどうかってのが不安だ。

この新キャラ、誰が声あてているのかとか未発表だよな。イロイロと期待だ。

さて、これが今後どうなるか……。ボーカロイドって結局は初音ミクと関係することによって人気に火が付くからキャラデザだけではまだなんとも。

今のところオフィシャル発表はイラストだけで、設定の方は確定していないのかな?投稿した絵師の設定はあるみたいだが、そっちは同人設定みたいなもんと考えればいいんだろうか。

大賞のキャラ名は雅音宮羽?なんで日本風の名前なの?

あー、まぁ、2文字の複姓だと思い込めばギリギリなんとか……?てかまだこの名前は仮称だろ。デザインの時につけていたってだけだろうから、今後の正式発表の時に別のになるんじゃないか?

ボーカロイドの法則的に「○音○○」にしてるんじゃないかな。でも、あれってクリプトン系のボカロのだから、今後別の名前になるかもね。それに中国にも二文字の複姓はあるけど、絶対数が少ないからどうしたって日本風の名前に思われてしまうだろうから、別の名前にするのもいいんじゃないかな。

うーむ、問題点も無いけどなんか来るものがないなぁ。でも最初はこのくらいが良いのかな?公式の動きを待とう。

正直、俺は入選作品よりも落選作品のデザインの方が魅力的に思えるんだが。

そんなわけないだろ。今ネットに出回っている「デザインの良い落選作品」は日本風すぎて初音ミクの別カラーみたいになってて区別がつかん。

その辺についてはボーカロイド家族の共通性を狙ったデザインってことかもしれないから、俺としては悪くないと思うんだけどな。キャラとしては絡ませやすそうだし。

私も入選作品に納得できない。なんであんなのが入選になったんだ?いったい誰が審査したんだよ!?もっと美麗なデザインのが落選しているのはマジで理解できない。ウチの国の「暗黙の規則」が発動してるんじゃないの?

俺はそれより入選作品に東風谷早苗っぽいのが混じっているのが気になるんだが……

公式ブログでパクリ作品についての資格取消のアナウンスがあったが、それかな?構図は元になった画の完全パクリだが、服のデザインそのものについてはパクリかどうかちょっと迷うな。腋の露出はボカロキャラだと珍しくないし……でも、疑惑は残るしなぁ。

私も落選作品のデザインの方が色気があって好みだね。入選作品ってどれもなんか味が無い。

全年齢向けの音楽ツールに色気は必要ない、同人受けしそうなデザインは求められていないってことでしょ。あと落選デザインって絵師の技術は高いしネットで人気出るのは分かるけど、初音ミクのデザインから抜け切れていない。少なくとも今出回っている比較作品の場合「落ちた理由」は見て取れるぞ。

なんかネットの比較画像で騒いでいるヤツ、これが「デザイン募集」ってことを理解していないんじゃないか?必要とされているのは「デザイン」であって作画技術じゃないんだぞ。

こういうデザイン関係のゴタゴタからウチの国の創造力の不足している現状が見えてしまう。ボーカロイドの中国市場展開に不安を覚える。なんでデザイン募集でこんな風にゴタゴタするんだよ!?

ウチの国のボーカロイドファンって「歌を聴く」んじゃなくて「本を読む」「画を見る」のが多いから不安になるよ。UTAUのウチの国での扱いを見る限り、このボーカロイドもどこまで盛り上がるやら……

今回はちゃんとしたキャラもあるし、なんだかんだでそのうち出て来るんじゃないかと期待している。
最初盛り上がらないのはしょうがないよ。他のボーカロイドだって当たりの曲が出るまで微妙だったんだから。

大賞の雅音宮羽のデザイン自体は良いしね。やっぱ中国キャラってのは嬉しいし、ボカロファンとしては今後の盛り上がりに期待大だ。

一応、現在発表されている「茉莉花」はそれなりに良い感じだから、ツールの性能自体は問題ないと思う。あとは中国語の曲を作るPがどれくらいいて、どういった曲が出て来るかがカギだろうな。キャラ萌えやMADができるような曲が出さえすればあとはうまくいくと思うが……

とまぁ、こんな感じで。ゴタゴタもあるようですが、まずは期待混じりな様子見という感じでした。


■同人音楽が弱い中国

上で紹介させていただいた発言にもありますが、中国ではボーカロイドはキャラクターとしてウケている部分が強いので、デザイン候補の発表だけではまだ大きな動きにはならないようですし、今後キャラ付けされるような曲や創作物が出てくるかで、方向性が決まるのではないかと思います。

ただ、ツールとしてのボーカロイドの需要に関しては正直私もよく分かりません。中国には日本のようにMIDIをいじる層が存在したわけではありませんし、同人分野でも同人音楽に動きが出てきたのは本当にここ最近の話です。

それに、中国オタクの中で音楽関係をかじったことのある人が圧倒的に少ないというのも不安要素ですね。中国では受験に関係の無いことはやらない、やらせてもらえないといった状況です。音楽は一応受験での加点があるカテゴリなのですが、コンクール入賞などのレベルにならないと加点にならないことから、かかる金銭や時間などを考えた場合コストとリスクが高すぎるとされています。
 
そんな訳で音楽関係のスキルを持った中国オタクというのはかなり珍しい存在です。


■音楽と絵の違い

ちなみに同じ芸術分野でも絵の方はコストが相対的に低いことや、近年中国の大学では美術系の学科を設立する所が増えてきたこともあり、それなりに「受験の抜け道」的なものとして評価されています。

またそういったこともあってか画力スキル持ちな中国オタクも増えています。現に中国の同人界の00年代半ば以降の画力のレベルアップはスゴイものがありますし、中国オタク界隈におけるボーカロイドジャンルの盛り上がりもこういった中国同人界の画力レベルアップ無しには実現しなかったと思われます。

VOCALOID-CHINAが今後中国オタクの間でどういったものになっていくかは分かりませんが、とりあえず個人的には中国語のボーカロイド曲を発表するコミュニティなんかが構築されたりしたら面白いなーなどと考えてしまいます。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年1月20日付記事を許可を得て転載したものです。    

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