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「2011年は微信元年」1年で5000万ユーザーを獲得!飛躍する中国ウェブサービス「微信」

2012年02月04日

「2010年は微博元年だった。そして2011年は微信元年だった」、だそうだ。というわけで、中国IT企業の巨頭テンセントのスマートフォン向けメッセンジャーサービス・微信についてご紹介する。2012年2月2日付南方週末を主に参照した。


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■微博に負けないロケットスタートを切った微信

中国に興味がある人ならば、一度は微博(マイクロブログ)という言葉を聞いたことがあるかもしれない。ツイッター模倣サービスとしてスタートしたソーシャルネットワークサービス。2010年にブレイクし、2011年に飛躍的にユーザー数を拡大させた。ユーザー数はすでに3億人を突破している。

微博のブレイクにも負けぬ勢いを見せたのが、テンセント社のサービス・微信だ。2010年11月にスタートしたこのサービスはわずか1年で、5000万人ものユーザーを獲得している。なるほど、テンセント社の熊明華CTOによる「2010年は微博元年だった。そして2011年は微信元年だった」という言葉もあながち嘘とは言い切れない。


■キメラのように機能を拡張させていく微信

微信がどんなサービスなのか、説明するのはちょっと難しい。というのもわずか1年間の間に2回のメジャーバージョンアップを含む45回のバージョンアップを遂げ、大幅に機能を拡張しているからだ。バージョン1ではグループチャット可能、写真添付可能なMMS的文字チャット、 「KiK Messenger」 ライクのサービスとしてスタートした。

2011年5月発表のバージョン2ではボイスメール風チャット機能を搭載した。文字を送る代わりに短い音声メッセージを送れるという仕組み。「Talk Box」的な機能が追加されたわけだ。2011年8月のバージョン2.5では「付近の人を捜す」機能を搭載。LBS(位置情報ベースサービス)的ソーシャル機能を盛り込んだ。

そして2011年10月発表のバージョン3では「揺一揺」機能(携帯を振ると近くにいる人と連絡先を交換できたり、あるいは世界のどこかで同機能を使っている人とつながるという機能)と「漂流瓶」(宛先不明でメッセージを流す機能。漂流瓶を拾った人にメッセージが届き、見知らぬ人とコミニュケーションできる)が追加された。

2011年末のバージョン3.5ではQRコード機能が追加された。QRコードを教えたり、マイクロブログにアップすることで、簡単に自分のアカウント機能を伝えられる。ちなみに「揺一揺」とQRコードは最近、日本でもちょっと話題の「LINE」に搭載されているものだ。


■「最強のパクリ野郎」テンセント

上述の「バージョンアップごとに他社製品の機能を盛り込んでいった」というのは、南方週末によるなんともいやらしい見立て。まあ、それもよくわかるのは中国におけるテンセントのパブリックイメージが「最強のパクリ野郎」というものだからだ。

強力な資金力と開発力を誇るテンセントは、世界各国の面白そうなウェブサービス、あるいはそれを真似て中国に登場したベンチャーのサービスを速攻で真似ては新製品を作り出していく。金と開発力に加えて、アカウント数8億超!と中国ネット民の数よりも多いチャットプラットフォーム・QQを要しているのも武器である。自社サイトでの宣伝、さらにはQQアカウントで簡単に新サービスの利用を始められるだけにユーザーの誘導が容易だからだ。

スマフォ向けインスタントメッセンジャー・サービスの分野でも、米聊、神聊、飛聊、翼聊、沃友、口信、友你など20以上のライバルがいるが、テンセントの力を発揮し、早くも圧倒的な地位を築きつつあるという。また微博にしても、テンセント微博のアカウント数はすでにライバルの新浪微博を上回った。将来的に新浪微博からリーダーの座を奪い取る可能性も十分ありそうだ。


■中国IT企業の貪欲さ

個人的に驚いたのは、わずか1年で微信のサービスをここまで拡充、ブラッシュアップさせたこと。「これはいける!」と判断して集中投資したというが、いじった感じでは安定しているし動作も軽快だ。また微信をパワーアップさせるだけではなく、本家サービス・QQにもボイスメール型チャット機能を搭載するなど、自社が持つサービスをキメラの如く拡張させていくアグレッシブさが恐ろしい。

これは微信だけではなく、微博にも共通している。中国IT企業の貪欲さのあらわれと言おうか。テンセント微博、そして新浪微博もスタート当初はツイッター類似サービスだったが、あれよあれよと機能をリッチ化させていき、コミュニティサービス、ゲーム、インスタントチャットなどを搭載するようになった。

正直、QQと微信はユーザーを食い合う可能性もあるし、両方使うのは面倒臭くて仕方ないのだが、「将来あたる可能性があるものには全部唾を付けておこう」的な意欲と体力のなせる技だろうか。


■栄枯盛衰が忙しいウェブサービスのトレンド

「2010年は微博元年だった。そして2011年は微信元年だった」とは、先にも引用したテンセント社の熊明華CTOの言葉。同氏は2012年に微信はさらに飛躍することを希望する、と話しつつも、その先にどうなるかはわからないと話した。

「インターネットアプリのブームは次から次へとやってくる。2~3年に1度、新たな製品が登場する」とのこと。なるほど、今をときめく微博だって本当の意味で普及したのは2011年のこと。今や落ち目と言われているSNSのように、あっという間にブームが去ってもおかしくはない。

新製品のお祭り的熱気という楽しさも嫌いではないのだが、新たにネット友人関係を築くのは面倒といえば面倒でもあるが……。

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