• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

僧侶がいなくなった僧院=葬儀もあげることができないチベット・ディル(tonbani)

2012年03月01日

■「葬儀を上げる僧院がなくなった。お前たちが葬儀を上げろ!」と遺体を庁舎に持ち込む ディルの現状■

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年2月29日付記事を許可を得て転載したものです。


Songye Temple, ShanNan, Tibet
Songye Temple, ShanNan, Tibet / Fighting Irish 1977

■空になった僧院


チベット自治区ナクチュ地区ディル(グーグルマップ)。この地では当局の弾圧を避けるため、僧侶たちが僧院から逃げ出し、空になってしまった僧院が沢山あるという。今週、当局は「僧院や尼僧院に帰らない僧侶や尼僧は逮捕する」と脅した。僧侶たちは「僧院から中国の役人たちが引き上げるなら帰ろう」と答えたという。2012年2月29日付RFA英語版が伝えた。

現地と連絡を取った在インドのあるチベット人は、「僧院が空になり、宗教的儀式や葬式を執りおこなう場所がなくなってしまった。僧侶がいない僧院には中国の役人が詰めかけている。これこそ僧侶たちが僧院を去った原因だ」と話している。

チベット亡命議会のケルサン・ギェルツェン議員は、「抗議したチベット人もいる。家族の遺体を政府庁舎に持って行き、『葬式をとりこなうラマがいない。僧院もなくなった。この遺体をどうすればいいのか?』と声を上げる者まで現れた」と明かし、「中国政府はチベットの習慣をまったく尊重していない」とコメントした。
(あるツイッター情報の書き込みによると、僧侶たちが遺体を庁舎の前に持って行き、「お前たちのせいで葬式を上げる場所がなくなった。だからお前たちが葬式を上げろ!」と抗議したという)


■愛国再教育

中国当局はナクチュ地区の僧院に「工作隊」を送り込んでいるという。「愛国再教育」を実施するためだ。TCHRD(チベット人権民主センター)のジャンペル・モンラム副所長によると、「昨年11月からチベット自治区政府は、官僚約2万人を村や僧院に送り込み、愛国再教育を実施している。結果、多くの僧院が閉鎖された」と話している。

28日、中国政府系新聞チベット・デイリーはペマ・チュリン自治区主席の訓話を伝えた。「情勢の緊迫化が予想されるこの3月、政府幹部は持ち場を離れず、いかなる問題も起こさないよう監視を強化せよ」と訓示したという。


■世界一斉行動日のディル

チベット亡命政府は2012年2月8日、「世界一斉行動日」として、全世界での法要開催を呼びかけた。このディルでも大規模なデモが起きている。

かつてディル・ペカル僧院に所属していたの僧侶10人が、丘の上で葬儀を執りおこなった。その帰り道に政府庁舎前に立ち寄り、チベット独立、法王帰還、僧院とチベット人の自由を求めるスローガンを叫んだと、現地と連絡を取った在インドのチベット人が伝えている。

700~800人の地元チベット人が抗議に加わり、約1時間半にわたり行進とシュプレヒコールが続いた。8日は逮捕者が出なかったが、翌日、トラック5台に分乗した武装警官隊がディルに到着。逆らえば発砲すると脅迫したという。

関連記事:
「中国政府は弾圧ではなく対話で問題の解決を」チベット亡命政府外相の記者会見(tonbani)
発砲事件の波紋、抗議活動相次ぐ=2008年以来最悪の状況となったチベット情勢(tonbani)
チベット人の抗議デモと発砲事件=セルタ、タンゴ、ンガバの現状(tonbani)

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年2月29日付記事を許可を得て転載したものです。

トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ