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「すべての生徒にタブレットコンピュータを」激安中華パッドでデジタル教育改革―タイ(ucci-h)

2012年03月23日

■タイ小学1年生タブレットPC導入物語■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月23日付記事を、許可を得て転載したものです。


iRobot MID - 7
iRobot MID - 7" Android tablet / goblinbox (queen of ad hoc bento)

■すべての生徒にタブレット・コンピュータを!


昨年政権交代を果たしたタイ貢献党、インラック政権の公約「すべての生徒にタブレット・コンピュータを!」がいよいよ実現する運びになった。まずは公立の「プラトム」(小学校)1年生に90万台が配布される。生徒向けが86万台、教師用及び予備が4万台となる。 

3月5日、教育省が採用メーカーを発表した。中国メーカー4社が候補となったが、深圳・スコープ (希科普) 科学開発株式会社のSCOPADが1台81ドル(約2400バーツ、約6700円)と最安値で落札した。教育用ソフトウェアのプレインストールも契約内容に含まれている。

経緯は不明だが、入札は政府間取引で行われ、中国政府が推薦する4社が参加したという。他の参加メーカーはTCL(89ドル)、ハイアール(105ドル)、ファーウェイ(135ドル)と大手の名前がずらり。


バンコクポストを紹介したモーニングスター記事によると、20社弱が入札とのこと。最終的に中国政府の推奨候補に残ったのが4社ということだろうか。スコープは政府設定価格の3100バーツ(約8200円)を下回る価格を提示した。

なおスコープには日本語ウェブサイトもある。1993年に創業。ディスプレイのOEMメーカーとして成長を続け、現在では独自ブランドのテレビ、タブレットも販売しているとのこと。ただ日本語ウェブサイトが激しい機械翻訳なのが不安を感じるところ。会社の精神は「間の「魂の革新、特殊化目的として「開発は、高速進むし、プロは、細かく行う「最善」の道を着実に。私たちの会社の目的:「ハイテク機器、高新技術、効果的な管理、サービス品質の顧客、コミットメントの社会的責任と使命に貢献していますください」ということらしい。
Chinanews


■不思議な再入札

5日の発表で決まりかと思ったら、1週間後の3月13日、再入札が実施された。「当初の入札価格はFOB(本船渡し条件)価格で、運送料や保険料が入っていなかったのでやり直し」と説明されたが、どうもおかしい。CIF(運賃・保険料込条件)価格なら初めからそう指定したはずだ。しかも両者の差額は1台あたり数ドルにしかならないはず。FOBからCIFに変更した場合の差額も、各社はほぼ同じはずだ。

実際2回目のビッドでも、スコープ社がCIF価格82ドルで落札した。うわさによると、最下位となったファーウェイ社を支持する政府高官がいたため、ファーウェイにチャンスを与えるために2回目は仕掛けられたとか……。実際、ファーウェイは2回目に73ドルというスコープ社を下回る価格を提示したというが、すでに入札が締め切られた後だったので挽回できなかったと伝えられる。


■SCOPADのスペック

ちなみにSCOPADのスペック及びタイ政府の要求した入札要件は以下のとおり(カッコ内が入札要件)。

・ディスプレイ7インチのタッチスクリーン(同様)
・CPU1.2ギガヘルツ(1ギガヘルツ)
・RAM1ギガバイト(512メガバイト)
・記憶容量8ギガバイト(8GB)
・OSアンドロイド4.0(アンドロイド3.2)
・保障期間2年(1年)

「中国のネットショップでは、SCOPADは1000バーツ(約2680円)程度の安物」とのうわさもあったが、このスペックの機種は8000バーツ(約2万1400円)が相場のようだ。


■中華パッド教育、そのご予算は?

SCOPAD90万台の調達費用は22億バーツ(約59億円)に達する。今年度予算は19億バーツ(約50億9000万円)しか確保されておらず、不足分は来年度予算で補うという。

また教育省は、マタヨム(ハイスクール)1年生向けによりハイスペックのタブレットを調達する予定だ。こちらは1台1万2000バーツ(約3万3500円)の予定。計70万台、76億バーツ(約204億円)が必要になる見通しだ。小学校、高校合わせて100億バーツ(約268億円)が必要になる。新入生は毎年入るので、この出費はずっと続くことになるのだろうか。

なおスコープ社には日産24000台の生産能力があるとの触れ込み。小学生向けの90万台は契約後90日以内での納品が可能だという。5月半ばから始まるタイの新学期、公立小学校1年生は中国製タブレットで勉強することになるのだろうか。

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月23日付記事を、許可を得て転載したものです。  

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