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中国と台湾は「一国二区」=国民党名誉主席発言が暗示する中台関係「激震」

2012年03月27日

2012年3月22日、中国を訪問した台湾の呉伯雄・国民党名誉主席が、台湾と中国本土の関係を「一国二区」と表現。野党から激しい批判を浴びるなど注目を集めている。


Taipei 101
Taipei 101 / ZeHawk
■中国共産党が求める「見返り」

今年1月の台湾総統選で、馬英九総統は再選を決めた。主権問題を棚上げにして、中国本土との経済関係を強化するという馬英九戦略が今後も継続することになった。中国共産党も馬英九政権を強力に支持し、「経済成長のお裾分け」をすすめてきた。

再選が決まった今、今度は中国共産党が見返りを求めるのは当然の流れだろう。馬英九総統は選挙の最中、本土を訪問した李平和条約を締結するなど、両岸関係の変更についてはやらないと表明。「本土に飲み込まれる不安」を払拭することに努めてきたが、懸念は完全に消えたわけではない。
(関連記事:次の4年間で台湾の地位が決まる=習近平が求める「見返り」を馬英九は拒否できない

こうした状況で、呉名誉主席の発言は人々の疑念をさらに強めるものとなった。


■「一国二区」

「一国二区」発言 総統府、「憲法に基づいた主張」
フォーカス台湾、2012年3月23日

呉国民党名誉主席は22日、北京市内の人民大会堂で行われた中国共産党の胡錦濤総書記との会談で、「台湾側が『台湾地区及び大陸地区人民関係条例』に基づき、両岸関係を進めている。同条例の法理面の基礎は『一国二区』という概念にある。このことから台湾と中国大陸は国と国でなく、特殊な関係にあることが分かる」と述べた。

「台湾地区及び大陸地区人民関係条例」(両岸人民関係条例)とは、中華民国憲法修正条文の一部を指す。「自由地区と大陸地区間での人民の権利・義務関係、及びその他事務の処理は法律をもって特別の規定を定める」という内容だ。

与党・国民党サイドは憲法修正条文に則った発言であり、「一つの中国という立場を堅持するが、その中身については台湾側は「一つの中国=中華民国」、本土側が「一つの中国=中華人民共和国」とそれぞれ別個に扱う」として「92コンセンサス」「一中各表」という既存路線と同じと主張している。

一方、「92コンセンサス」は存在しないという立場をとっている野党・民進党は、「両岸人民関係条例」は中国本土市民の台湾渡航、長期滞在に関するための「国内法」であり、台湾と本土の関係を規定する条文ではないと強く反発している。


■中台関係に迫る「激震」

「一国二区」という表現と、従来の「一中各表」がどう異なるかは定かではないが、批判にさらされた呉名誉主席が「(一国二区は自分の発案ではなく、)他の人から聞いたもの」と発言したことも、馬英九総統が本土に送った「見返り」ではないか、との疑念を強めているようだ。

蔡英文・前民進党主席は、そもそも馬英九総統の言う「一つの中国」は中華民国なのか、中華人民共和国なのか、あいまいにしたままではないかと猛烈に批判しているが、そこをあいまいにするのが「一中各表」のミソなので、ちょっと厳しすぎるツッコミとも言えよう。

総統選の敗北を受け、民進党も中国本土に対する態度変更を検討中と報じられるなか、再び持ち上がった主権問題。民進党も突っ込みすぎると手痛いしっぺ返しを食う可能性もある。

中国共産党、そして習近平政権が求める「見返り」は、「一つの中国」原則の恒久的な順守というだけにとどまるのか、それ以上に踏み込むのか。馬英九総統は選挙戦での公約を守りながら、台湾市民の不安をなだめながら、本土に「見返り」を渡すことができるのか。

馬英九政権がレームダックにならないうち、すなわち2012年、2013年中に台湾を取り巻く環境に大きな動きがあるのではないかと予想している。

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