2012年4月7日、浙江省杭州市で、中国版イグノーベル賞である「
パイナップル科学賞」の授賞式が開催された。
■イグノーベル賞とパイナップル科学賞
イグノーベル賞とは1991年に創設された賞で、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に賞を贈るもの(ウィキペディア日本語版)。日本人研究者も「ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させる研究」「「人がガムを噛んでいるときに、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」という研究」などで受賞している。
中国イグノーベル賞となる「パイナップル科学賞」は、科学系ポータルサイト・果殻網と浙江科技館が合同で主催したもの。昨年10月、果殻網の姫十三CEOがマイクロブログでアイディアをつぶやいたところ、浙江科技館の李瑞宏館長から返信があり、このたびの開催へとこぎつけた。
さて、それでは受賞リストをご紹介。
■心理学賞:お金を数えると痛みが軽くなる
受賞者:中山大学心理学部教授・周欣悦
受賞研究:お金を数えると楽しくなる?!これには科学的根拠があるのか。研究チームはのべ500人を対象に実験。お金を数えたり、金銭に関係する作文をすると、被験者の痛みが軽減することが明らかとなった。
■数学賞:CCTV旧正月特番でロボットによるダンスを披露
受賞者:ハルビン工業大学ロボットイノベーション基地・洪炳镕教授他3人
■物理学賞:サルの脳波でマシンハンドを制御
受賞者:浙江大学求是高等研究院・ブレインインターフェイス研究チーム
中国・浙江大学、サルの脳波で作動させる「機械の手」開発
サルの脳と連動させ、サルの意思通りに動かせる機械の手の開発に成功したと発表した。同大学によると、サルの脳から4つの異なる信号を受信し、サル自身による意思の力で「つかむ」「すくう」「握る」「つねる」の4動作を行なうことが出来た
■科学賞:缶詰チキンスープはなぜ普通のチキンスープよりおいしいのか?
受賞者:華中農業大学食品科学技術研究院・何小峰、岳馨鈺、王 益、黄文
受賞研究:普通のスープよりも缶詰チキンスープのほうがおいしいのはなぜ?研究の結果、缶詰の場合には味を決める物質が均等に撹拌されて沈殿しないことが明らかとなった。ということは普通のスープもよく混ぜれば同じだけおいしくなるということかも。
■発明賞:電子生物観察ソフト受賞者:清華大学電子学部・蒋程宇、清華大学美術学院:王一南
受賞研究:コンピューターの中に住む電子生物ソフトを開発。タッチパネルを触ってこちらからアクションを起こすと、電子生物も光と謎の宇宙人語で反応してくれる。
■パイナップルU賞:長春応用科学研究所食堂値上げ抗議事件
受賞研究:食堂の値上げに起こった大学院生たち。数学、物理、科学など各自の専攻の知識を結集して反論した。料理の原材料を調べ、その重量を量り、それぞれのコストを計算。最終的に料理のコストを厳密に計算、パワーポイントで資料化して詳細な反論を披露した。
この反論は「食堂
豇豆炒肉絲與冬瓜牛肉成本計算」(食堂のインゲン豆と豚肉の細切り炒め、冬瓜と牛肉の炒め物に関するコスト計算)というタイトルでネット掲示板に投稿され、話題となった。なお料理人の人件費を計算していないという手痛いミスがあったもよう。残念ながら研究所に経営学部はなかったようだ。
■パイナップルME賞:ツンデレ美少女給湯器受賞者:浙江大学計算機科学技術学院・潘綱教授、陳竜彪博士
受賞研究:電源を入れたりお湯が沸いたりすると、マイクロブログにつぶやく給湯器を開発。擬人化したキャラクターイメージが萌えキャラだったため話題となった。
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■医学生物賞:曹操の遺伝子を特定受賞者:復旦大学生命科学学院及歴史系現代人類学教育部重点実験室、中科院上海生命科学研究院計算生物学研究所:王伝超、厳実、李輝など
受賞研究:曹操のY染色体DNAを分析し、現代を生きる曹さんのうち、誰が曹操の末裔で誰がそうではないかを特定できるようにした。ただしY染色体なので男性に限る。曹操の先祖とされている秦末、前漢書記の政治家・曹参は曹操とは血縁関係はなかった、『紅楼夢』の作者である曹雪芹は曹操の末裔というようなことが分かったのだとか。
■ファンタジー賞: 小霊通漫游未来世界