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お手軽個人輸入が可能に?!野心あふれるアマゾン中国の新サービス登場

2012年04月09日

2012年3月29日、アマゾン中国は新サービス「Amazon Global Selling」を発表した。私たちが普段使っている「Amazon.co.jp」で直接、中国企業の商品を買えるというサービスになる。


■ヤフージャパン・チャイナモールと淘日本

2012年4月、ヤフージャパンとタオバオが共同で運営していた「ヤフージャパン・チャイナモール」「淘日本」はサービス停止を発表した。2010年6月1日のサービス開始から2年弱、オープン当初の期待とは裏腹にほとんど注目されることもない静かな終わりを迎えた。

日本ネットショップの商品が中国B2C最大手タオバオのシステムで注文できる、中国ネットショップの商品がヤフージャパンで注文できるという画期的サービスだったが、問題となったのは送料(プラス関税)の高さと輸送時間の長さ。世界中に中国人が散らばっているだけに、中国では個人輸入代行業も発展している。料金やサービスのきめ細かさでも太刀打ちできなかったようだ。

また商品説明は機械翻訳という大胆すぎる手法が導入されたが、ほとんど発狂しそうなレベルの文章となっていたことも問題だった。結局、ほとんど知名度を得ることはなかったのではないか。
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■Amazon Global Selling

奇しくもヤフージャパン・チャイナモールと淘日本と入れ替わるように登場したのが、Amazon Global Sellingだ。

20120409_中国_アマゾン

企業はアマゾン中国ウェブサイトからサービスを開始すると、米国、カナダ、中国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペインのアマゾンで商品を販売できるという仕組みとなっている。

ヤフージャパン・チャイナモールの失敗をどう反省したのだろうか、というのが気になったのだが、それがほとんどノーガード戦法なのも面白い。

・言語
アマゾン中国以外で売る場合は、顧客サービス及び商品紹介に現地の言語能力が必要です。

・発送
顧客のショッピング体験のために信用できる運送会社を選んでね。アマゾンが提供するアマゾン物流(フルフィルメント By Amazon」、オススメです!

・輸出
たとえアマゾン物流を選択したとしても、アマゾンが当該国の輸入業者になるわけではないので注意してね(お客が輸入者になるということ)。

・返品
販売対象国に返品受付窓口作ったほうがいいね。現地に拠点がなくとも無料返品サービスを提供する必要があるよ。

と説明されている。こんなにハードル高いと、中国でネットショップを開くような気軽さでは運営できないと思うのだが、しかし「Amazon.co.jp」に商品が表示されるというのはかなり魅力的な条件かもしれない。日本の転売屋の中には中国のネットショップから仕入れている人も少なくないと聞くが、そうした中国ネットショップが日本のAmazonに進出すればそれなりの脅威となりそうだ。


■大型ネットショップからネットショッピングモールへ

南都週刊の記事「アマゾンの(業界)混ぜっ返し」は、「Amazon Global Selling」がたんに中国企業の輸出を助けることだけが狙いではないと分析している。

一口にネットショップといっても、アマゾンのように巨大な会社が多くの商品を取り扱う大型ネットショップ型と、日本の楽天市場のように複数のネットショップに出展してもらい自社はプラットフォームに専念するモール型とに分類することができる。

現在、中国ではモール型の風向きが悪いという。タイムセールサイト・唯品会は今年3月、ニューヨーク証券取引所への上場を果たしたが、上場当日に発行額を割り込む惨状。物流投資を積極的に進めるB2Cサイトの雄・京東商城は資金難に陥ったと噂されている。ネットアパレルサイト・VANCLも資金難、経営陣の離脱といった状況に追い込まれている。

むしろタオバオやQQ網購といったプラットフォーム型のほうがコスト負担が少なく、利益的には好成績を挙げているという。

アマゾンの動きも「ショップ型からモール型へ」という中国ネットショッピング業界の潮流に即したものだと南都週刊は指摘する。第三者がアマゾンのプラットフォームを利用するマーケットプレイス、アマゾンの物流を利用できるアマゾン物流も昨年7月に中国で導入された。さらに他のプラットフォームサイトとは異なり、年会費無料での出展が可能だ。売り上げの4~7%の手数料を支払うだけだ。

とはいえユーザー数ではライバルサイトに引き離されているアマゾン中国。そこで「Amazon Global Selling」という魅力的なサービスを打ち出して、出展企業を引きつけようという計画のようだ。

日本のアマゾンでお手軽かつお安く中国の商品が買える可能性も歓迎だが、加えて外資系IT企業が軒並み討ち死にしている中国市場で、アマゾンがどれだけ戦えるかという点でもこのサービスは注目できそうだ。

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