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韓国の支援で動き始めたカンボジア証券取引所=5年以内に時価総額30億ドル目指す(ucci-h)

2012年04月11日

■動き始めるカンボジア証券取引所■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年4月11日付記事を、許可を得て転載したものです。



"Phnom Penh" Cambodia / ronancrowley

■カンボジア証券取引所


昨年7月に開業した「カンボジア証券取引所」(CSX)は、オープンしたものの上場証券はゼロだったが、いよいよ2012年4月18日より、最初の株式が公開され、取引が開始される。カンボジア証券取引所は、韓国証券取引所(KSX)の協力で設立された。ここにも韓国のインドシナへの進出が見られる。
(関連記事:「アジアの証券取引所を抱え込む韓国の戦略」チェンマイUpdate、2011年2月5日)

カンボジアは、1975年のクメール・ルージュによる通貨や銀行、金融システムの廃止以降、市場経済活動に齟齬をきたした(プノンペンへ行ったら、食堂などお店の値段は自国通貨リエルではなく、米ドル表示だった。今でもそうだろう。ラオスでさえ、自国通貨なのに……)。

1980年に、ベトナムの侵攻で、クメール・ルージュが駆逐されて以降、通貨リエルが復活したが、知識層を抹殺して農業立国を目指したため、その後経済・商業活動の復興に四半世紀以上を要した。今から10年後も15歳以下の人口が3割を占めると予想されるカンボジアには、今やクメール・ルージュを知らない世代が増えているという。30年以上も経てば、忘れ去られるものだ。なんとか裁判は行なわれているが……。今や、クメール・ルージュ追放後に生まれた世代が、株式に関心を持つように時代は変わってきている。

プノンペンで株式取引開始に向けて、投資セミナーが開かれると給与のかなりの部分を株式に投資したいと言うクメール・ルージュ以降の世代、20歳台の若い人が多いそうだ。


■最初の上場株はプノンペン水道供給公社

4月18日の取引開始に当たって、最初に公開される株式は、「プノンペン水道供給公社」(PPWSA)だ。このIPO(株式公開)によって、当社は、828億リエル(210億ドル)という資金獲得を目指していると言う。

PPWSAの普通株式数8694万株のうち15%にあたる1304万株(額面価格1000リエル=20円)が、公開される。残りの7390万株(85%)は、カンボジアの経済財務省がキープする。幹事証券は、韓国系のトンヤン証券(カンボジア)だ。一株6350リエル(127円)ほどでの公開をねらっているようだ。

人気は高いと言う。公開される1304万株のうち、80%、1040万株までは外国人投資家が買える。国内への割り当ては、20%、260万株。1040万株全部を、予想される高値一株6350リエル(1.58ドル)で買ったとしても、総額は1650万ドル(13.3億円)である。

PPWSA社は、首都プノンペンの130万人の90%に水道水を供給している独占企業である。しかし、政府からの補助金は受けていない。過去5年で、供給能力は28%増加している。2011年の収入は、2826万ドル(23億円)。税引き利益は750万ドルというから、ネット・マージンは26.5%と高い。

株価の予想は、1ドルから1.57ドルだが、仮に1.57ドルつけば、実績PERは18倍になる。純資産倍率は5.9倍になると言われ、かなりの高評価になるわけだ。

水道会社に続いて、来年は、通信の「テレコム・カンボジア」と、「シアヌークビル自治港」と、インフラ関係の株式が公開されていく予定だ。


■東南アジア新興国証券市場の未来


クメール・ルージュの殺戮で国民の20%近くの170万人ほどが殺されたり、亡くなったと言われるカンボジアの人口も、今は1430万人に増加している。経済も、昨年の8%に続いて、今年は6.5%成長が期待されている。

カンボジアは、まず国有会社を民営化し上場させ、そのあと民間企業の上場を考えているようだ。5年以内には、上場株式の時価総額をGDPの4分の一の30億ドル以上に持って行きたいと考えている。韓国証取が後押ししているのだろう。銀行、通信、米穀業者、衣料、鉱山会社などが、上場予備軍だ。

ミャンマーの証券はまだこれからだから、ベトナムに次ぐ新興国証券市場としては、カンボジアと、これの半分のサイズのラオスが、これから注目されることになるのだろうか?

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年4月11日付記事を、許可を得て転載したものです。        

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