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茶番ハイジャック事件の超茶番的その後=英雄にマンションと高級車をプレゼント―中国

2012年07月09日

2012年7月9日、中国共産党海南省委員会、海南省人民政府は、6月29日に新疆ウイグル自治区で起きた天津航空機ハイジャック事件の乗務員の表彰大会を開催した。


Hainan Sanya Beach
Hainan Sanya Beach / sanfamedia.com

6月29日、新疆ウイグル自治区ホータン発ウイグル行きの天津航空機でハイジャック事件が起きた。当局発表によると、犯人6人はいずれもウイグル族。操縦席に乗り込み爆破しようとしたが、飛行機に乗り合わせていた警官や乗務員、乗客が抵抗。事件の解決に成功したという。解決に協力した乗客、乗員10人は「反ハイジャック勇士」と讃えられ、各人に10万元(約130万円)の報奨金が送られている(レコードチャイナ)。 

ド田舎の新疆なんぞに負けてはいられないといきり立ったのが海南省政府。天津航空は海南航空集団旗下の地方航空会社……というちょっと遠そうな縁を使って無理やり表彰することに。

政府からは機内警備員の郭佳、杜岳峰に10万元、クルー全員に50万元(約650万円)が送られた。さらに海南航空からはクルー・リーダーの徐洋、そして杜岳峰、郭佳の計3人に100万元と不動産(300万元相当)とアウディ1台。その他乗員には50万元と不動産(200万元相当)、アウディ1台が贈呈された。

なぜマンション?なぜアウディ? などなど不思議な気持ちでいっぱいになるが、この事件の本当に不思議なところは別にある。

ハイジャック犯があまりにも無策なのだ。犯人6人は杖を武器にがりがりと操縦席に通じる扉をこじ開けようとしたところ取り押さえられたという。でもって勇敢なる警官、乗客、乗員にフルボッコされた犯人2人が死亡している。また爆発物を持っていたとも報じられるが、なぜそれをとっとと使わなかったのかも謎だ。

世界ウイグル会議はたんなるけんかがハイジャック扱いされたとコメントしている。亡命作家の胡平氏は「6.29ホータン・ハイジャックの真相探求」(RFA中国語)と題したコラムを発表。当局発表に多くの疑義があると指摘している。

詳細の発表がなければ疑念は深まるばかりだが、それをすっ飛ばした当局は反ハイジャック英雄の表彰に大忙し。今回は海南省が新疆ウイグル自治区とは比べものにならない経済力を見せつけたというところだろうか。英雄を表彰して地方政府が成果をアピールするのはいつものことだが、マンションのプレゼントとはなかなか豪気。リゾート・バブルで売れ残ったマンションがいくらでもある海南省ならではの大技かもしれない。

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