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今度は福建省で強制中絶が発覚=妊娠8カ月女性を拉致し堕胎強行(水彩画)

2012年07月12日

■全国的にありそうな強制堕胎■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年7月12日付記事を許可を得て転載したものです。


Report Family Planning Policy Violating Pregnancies, Reward
Report Family Planning Policy Violating Pregnancies, Reward / treasuresthouhast

■強制中絶事件、一応の決着

以前、陝西省で起きた、妊娠7カ月の女性が強制中絶させられた事件を紹介しました。この事件の続報が報じられています。といってもたんに賠償金が支払われただけなんですが。

鎮坪県強制流産事件終結=当事者は補助金7万元を取得(21CN新聞、2012年7月11日)
人工流産を強要された妊婦・馮建梅に賠償7万元(BBC中文、2012年7月11日)

失踪した、いや陳情のために北京に向かったとか、いろいろ伝えられていた夫の鄧吉元さんも無事帰宅していたもよう。同氏によると、経済補助のほか、堕胎措置によってかかった病気の治療費も現地政府が負担してくるほか、彼自身にかけられた「売国奴」の汚名も晴らしてくれるそうで。

夫妻は和解に応じサインをしたものの、現地政府はまだ蓋章(いわゆる判子)を押しておらず、12日サインバックされた和解書が夫妻の手に戻るに戻る予定です。

一族の弁護士である張凱氏から、「これでは彼女と家族がこうむった精神的苦痛を埋められない」との声明が出ています。これは彼個人の意見であるものの、納得はしていないのは明らか。

ただ、今後も地元で生活していく上で、争いたくないというのはわかりますし、「疲れた」というのも理解は出来ます。南京市の病院に入院している鄧の母親が「現地政府と和解して、元の生活に戻るよう」求めたというのも決断に影響を及ぼしたことでしょう。


■別の強制中絶事件が発覚

話は前後するのですが、陝西省の事件が発覚する2ヶ月前、福建省莆田市仙遊県でも妊娠8ヶ月の妊婦が罰金5.5万元を支払いながら、強制的に強制中絶されていたことが発覚しました。中国政府は妊娠6カ月以上の強制中絶を禁止しており明らかに違法です。事件はこの手のゆすりが、各地で行われている可能性を示唆するものと言えるでしょう。


元々は2万元を支払う事で第三子の出産を認められていたはずなのですが、4月2日に夫婦が経営する店に大済鎮の村委書記、村長計画生育弁の担当者らが大挙して押し寄せ、妊娠8ヶ月の妻・潘春煙さんを鎮政府庁舎に連れ去ったのです。

村書記は翌日電話で夫の呉良杰さんに「5万5千元払えば産んでもいい」と連絡。二重に支払ったのかは不明ですが、夫はすぐに支払ったようで、そこそこ裕福な人なのかもしれません。

ところが、罰金を支払った3日後の6日、潘さんは県の産婦人科医院に連行され、強制堕胎が実行されたのです。夫や家族が病院に近づけないよう、車7台、計60人を出動させて病院を守備。病院に入ろうとした潘さんの祖母や、写真を撮影しようと携帯を手に取ったいとこ2人が殴打されています。

潘さんは意味のよく分からない書類に無理やりサインさせられ、注射を腹部に打たれ、翌日死産しています。胎児は全身黒く、妻は3ヶ月近くたった今も体調が良くありません。この事件についても張凱弁護士が代理人となり、現地政府を相手取って賠償を求めていくようです。

陝西省の事件は耳目を集め、国務院発展研究中心の研究員が、計画成育について第二子の出産を許可するよう意見した論文が『中国経済時報』に掲載され、また法学者と人口学者が連名で出産に制限を求めないよう全人代に書簡を送っています。

ただ、中国政府は事件に対して何ら対応を取っておらず、温家宝も声明を出していません。村クラスの書記あたりにとっては大きな既得権益になっているのが現状ですが、中央の腰が重いのはなぜなんでしょう。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年7月12日付記事を許可を得て転載したものです。

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