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おせっかいな共産党、21世紀版「二十四孝」(24の親孝行)を制定―中国

2012年08月16日

2012年8月13日、中国で新版「二十四孝」(24の親孝行)が発表された。15日、南方都市報電子版が伝えた。


老城.老人.老鴿.
老城.老人.老鴿. / pigheadskin

『二十四孝』(にじゅうしこう)は、中国において後世の範として、孝行が特に優れた人物24人を取り上げた書物である。儒教の考えを重んじた歴代中国王朝は、孝行を特に重要な徳目とした。ここに紹介された中には、四字熟語や、関連する物品の名前として一般化した物もある。日本にも伝来し、仏閣等の建築物に人物図などが描かれている。また、御伽草子や寺子屋の教材にも採られている。孝行譚自体は数多く、ここに採られたものだけが賞されたわけではない。

『二十四孝』とは元代に郭居敬が編集したもの。孝行者24人の事績を集めた道徳の教科書、といったところか。

その21世紀中国版が登場したという。編纂したのは全国婦女連合会老齢者業務協調弁口皇室、全国老齢者活動委員会弁公室、全国心系系列活動組織委員会。21世紀版親孝行は以下の24項目。

1:妻や子どもを連れてたびたび帰宅する。
2:休日はできるだけ両親とともに過ごす。
3:両親のために誕生日パーティーを開く
4:両親のために食事を作る
5:毎週、両親のために電話をかける
6:両親にあげるお小遣いはけちるな
7:両親のために「関愛カード」(気配りカード)を作る(よく意味がわからないが、毎月自動的に金額が補充されるおこづかいプリペイドカードをプレゼントせよという意味か)
8:両親の昔話をよく聞く
9:両親にネットのやり方を教える
10:頻繁に両親と写真を撮る
11:両親への愛はちゃんと口にする
12:両親の悩みを解決する
13:両親の趣味を支持する
14:独り身になった両親の再婚を支持する
15:定期的に両親を健康診断に連れて行く
16:両親のために適切な保険に加入する
17:両親と本音を言い合う
18:両親を連れて重要なイベントに出席する
19:両親を職場に招待する
20:両親を旅行や故郷に連れて行く
21:両親と一緒に運動する
22:両親の活動に適度に参加する
23:両親と一緒に両親の友人を訪ねる
24:両親と一緒に古い映画を見る

24項目にするためになんだか重複している項目もあるような気がするのだが、気のせいだろうか。

さて、なんともおせっかいなこの新版「二十四孝」だが、それなりの社会的要請に基づいている。というのも急ピッチの高齢化、都市化に伴う核家族化が進行する中国では、高齢者世代の孤独は大きな問題となっているからだ。以前にも「法律で帰省を義務化」というなんとも不思議な話を紹介したことがある。また「空巣老人」(独居老人)も立派な流行語である。

とはいえ、上記24項目をすべてクリアするのは至難の業。ほどほどの距離での親子の付き合いや、子どもに頼らぬ老後の暮らし方が必要となる。その一方で、無理と分かっていながらも人々のプライベートな道徳にまで説教してくれるのが共産党のありがたさ。この新版「二十四孝」で親孝行に目覚める人は果たしているのだろうか。

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