中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年09月04日
Jakarta / fidzonflickr
■輸出が落ちても急成長を続けるインドネシア
欧州の経済危機が続き、アメリカの景気回復も鈍い中で、高成長地域アジアの経済成長も鈍ってきた。多くが輸出に頼る経済だからだ。タイも例外ではない。その中で、東南アジアの大国インドネシアだけはがんばっている。先ごろ発表された第2四半期のGDPの前年同期比伸び率も6.4%と、G20の国々の中では、中国の7.6%に次ぐ、2番目に高い伸びとなっている。
インドネシアの経済成長率が、現在の世界不況の中で、なぜなお高いのか?理由は、低金利を背景に国内での官民の投資が高い勢いで伸びているからだ。第2四半期、輸出は、前年同期比16.4%も落ちている。輸入は10.7%伸びているので、貿易赤字は13.2億ドルに拡大、過去5年の最大幅の赤字となっているが。
高いGDPを支えたのは、固定資産投資の24%という高い伸びである。ことに、道路、港、空港を作るというインフラ投資が、ユドヨノ大統領の掛け声の下、進められている。GDPに占める投資の比率が、第2四半期には32.9%も占めたと言うから、高度成長時代の日本や90年代の韓国を彷彿させる。
■先行投資という賭けと電力不足というネック
インドネシアは、資源と人口に恵まれた大国である。いずれ世界経済を引っ張る一国になるだろう。日本の倍近い人口を抱える国内消費市場への期待は高い。現在の積極的なインフラ・設備投資は、将来の消費拡大を先取りしたものと言えよう。労働問題などが先鋭化しているが、国内市場が順調に伸びれば、現在の先行投資とうまくかみ合うのだろう。もし、国内市場の伸びが期待はずれに終わるようだと……。
今のところ、世界第4位の人口大国インドネシアは、第2位のインドの経済の伸び切れないのと対照的に、世界の不景気の中で伸びている。もっとも、インフラ投資が進む中でも、需要の伸びに能力が追いつかないという「電力不足」の問題は、なお改善に向かっておらず、成長の足を引っ張りがちである。
ここ3年で、電化率はむしろ落ちてきており、電気の届かない人口は8600万人、全人口の3分の1に上ると言われる。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年9月4日付記事を、許可を得て転載したものです。