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チベットのありふれた話=成功した商人の「失踪」と財産没収(tonbani)

2012年09月23日

■ジェクンド中心街に広い土地建物を持つ商人がビルを壊され行方不明■

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年9月22日付記事を許可を得て転載したものです。



■チベット人商人と財産没収

成功した商人が当局に睨まれ、冤罪で逮捕され、財産を没収される。チベットではよくある話だ。

例えば、2010年、豪商ドルジェ・タシが無期懲役の刑を受けた一件だ。亡命チベット政府に寄付したという罪を着せられ、600億円とも言われる資産を没収された(関連記事)。そして環境保護活動家としても知られる古美術商のカルマ・サンドゥップ。文化財盗掘の罪を着せられ、懲役15年の刑を受けた(関連記事)。2人とも貧しいチベット人たちを助ける慈善家としても有名であった。

今も同じ事が繰り返されている。2012年9月19日付RFAによると、著名な商人であるナンチェン・タシ(ནང་ཆེན་བཀྲ་ཤིས་47)が「失踪」し、自宅や所有するホテルが取り壊されたという。彼もまた「チベット文化、宗教、言語を擁護する」ことで有名であり、また「貧しい人々を助け、学費の援助を行っていた」と地元情報提供者は伝えている。


■ナンチェン・タシの「失踪」

そのナンチェン・タシは1週間前(12日頃)から「失踪」、行方不明となった。そして12日夜、ジェクンドにあるタシの家に一団の男たちが現れ、家を取り壊すと言ってきた。タシはすでに家におらず、「家族(妻のブデ、息子のシェラップ・ドルジェとソナム・トプギェル、娘のヤンゾン)は抵抗したが結局拘束され、その後ブルドーザーで家とホテルが完全に取り壊された」という。

タシが「失踪」したのはこれが初めてのことではない。2010年の青海地震跡、3カ月にわたり行方がわからなくなった。この時の「失踪」は当局により成都市に連行されていたと現地情報提供者は明かす。「当局に抵抗するようチベット人を扇動した容疑」をかけられ、拷問にかけられていたという。情報提供者は今回の「失踪」もまた当局によるものだと推測している。

またやはり2010年にタシの所有する不動産をめぐっての問題も起きている。タシは約7年前、ジェクンド中心街の角地に300万元(約3750万円)で土地を購入。自宅、ホテル、レストランなどを建てた。「2010年の青海大地震の際、彼のビルは被害もなくそのまま残った。しかし中国当局は(再建計画に基づく)道路拡張のために彼に土地を明け渡すよう命令した」「彼は残りの部分をそのままにするという条件で、道路沿いの土地を明け渡すことを了承した。引き渡しの補償金はわずか3万元(約37万5000円)だった」という。

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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年9月22日付記事を許可を得て転載したものです。 


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