• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

チベット人51人の焼身抗議……犠牲に報いる方法とは=第二回特別会議始まる(tonbani)

2012年09月26日

■「第二回特別会議」始まる■

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年9月25日付記事を許可を得て転載したものです。



20120926_写真_チベット_特別会議_1

チベット亡命政府があるインド・ダラムサラでは今日から4日間、これからのチベット亡命社会全体の行動計画を練るという大事な会議が開かれる。「第二回特別会議」と名付けられた、この全体会議は、世界中に散らばるチベット人の代表が集まる大きな会議である。

第一回特別会議は2008年にダライ・ラマ法王の呼びかけにより招集され、「中道」か「独立」かという政治的路線について話合われた。そして、それまでと同じく「独立」を求めないという「中道」路線が決定された。今回の主題は「チベットの緊急事態を受け、世界にチベットの現状を訴えるための行動計画を決定する」というものである。議長は今日のスピーチの中で今回は「路線論争により時間を無駄にしてはならない」と釘を刺し、「非暴力による、法律に従った、品位あるキャンペーンについて話合うべきだ」と述べた。

チベットの歴史上例を見ない焼身という抗議方法が2009年に始まり、これまでに政府発表で51人が自らの身体を灯明と化し中国の圧政に抗議し、自由と、ダライ・ラマ法王のチベット帰還を究極的方法で訴えた。さらに、今年に入っても、各地で抗議デモが頻発し、当局の発砲により死傷者が多数出ている。ダライ・ラマ法王から政治的権限を完全に移譲されたセンゲ首相が就任した後、この焼身抗議は益々頻度を増し、彼が就任して後40人以上が焼身している。

新内閣、新議会は何とかこの犠牲者に報いるために、問題を解決するための結果を出さなければならない立場にある。政府に対する期待と圧力は増すばかりだ。もちろん、センゲ首相始め政府も議会も、そして各NGOも世界中を駆け回り、支援を訴え、欧米を中心にそれなりの反応を引き出している。しかし、各国の「中国非難決議」は言葉だけに終わり、実際の行動には繋がっていない。中国との「対話」も途切れたままだ。

そこで、政府と内閣は、(批判が政府や議会に集中することを避けるためにも)この際、広く亡命社会全体から、これからのキャンペーンのアイデアを募集しようということになったのだ。

20120926_写真_チベット_特別会議_3

会議には26カ国から432人が集まった。9時半にTCVホールで始まり、まず法王の写真が玉座に招聘され、首相と議会議長が入場した後、国家斉唱。そして、これまでの犠牲者への1分間の黙祷が捧げられた。今回会場となったホールには51人の焼身抗議者をシンボライズするために51本のチベット国旗が掲げられていた。今回の会議は何よりも自らの命を捧げたこれらの人々の「死を無駄にしない」ためには、どのような行動を起こすべきかということが主題と言ってもいい。非常に重い課題であり、相手が中国ということで非常に困難な課題でもある。

20120926_写真_チベット_特別会議_4

センゲ首相はスピーチの中で「我々の世代はこの地上からチベットが抹殺されるというチャレンジを受けている。我々はチベット内地のチベット人を助けるために更なるキャンペーンを行わねばならない」と述べ、最後に「50人以上が焼身を行ったということは間違いなく、チベットの歴史に残ることだ。これに対し我々自由社会に暮らすチベット人たちが、どのような行動を行ったかということもまた歴史に残る。智慧を出し合い、恥ずかしくない行動を取らねばならない」と訴えた。

午前の全体集会の後、昨日DIIRが発表したビデオ「焼身の問いかけ」が上映され、さらに8月に拘束された歌手プルジュンの「法王とセンゲ首相を讃える歌」が紹介された。

20120926_写真_チベット_特別会議_5
厳しい表情でセンゲ首相のスピーチに耳傾けるキルティ・リンポチェ。

20120926_写真_チベット_特別会議_6
会議の前にお茶をすすりながら歓談する7人の侍大臣。

20120926_写真_チベット_特別会議_7
今回の会議にはオブザーバーとして台湾から48人の使節団が来られている。お坊さん以外は全員黒のスーツ。
チベメディアの友人が複数、私に「ナガハ・ラ、かれらに喧嘩売らないのか?尖閣島は日本の領土だとはっきり言わなくっちゃ」とけしかける。

他には「早く中国と戦争してこてんぱんにしてくれ。そうすりゃ俺たちにもチャンスが廻って来るからな」というやつもいた。

20120926_写真_チベット_特別会議_8
日本からの参加者はこの写真に写ってる在日チベット人会代表のロプサン・イシェさんと北海道におられるンガワンさん。ンガワンさんの奥さんもオブザーバーとして来られていた。東京ダライラマ事務所代表のラクパ・ツォコさんの姿は見かけなかった。

関連記事:
「600万チベット人の英雄だ」東チベットの人々に焼身抗議について聞いてみた(tonbani)
チベット人焼身抗議の思想的背景を考える=チベット仏教と愛国教育(tonbani)
チベット人僧侶が語った焼身抗議と弾圧=キルティ僧院でなにがあったのか?(上)(tonbani)
チベット人の焼身抗議を理解するために=転生ラマの遺言(tonbani)
「自殺では現実を変えられない」チベット人作家ら焼身抗議の中止を呼びかけ(tonbani)

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年9月25日付記事を許可を得て転載したものです。 


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ