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世界エイズデーとポスト温家宝の政治パフォーマー、習近平の妻は国民的歌手&少将(水彩画)

2012年12月05日

■夫婦で出る日■


■世界エイズデーと温家宝

12月1日は世界エイズデー。日本ではあまり聞かない国際記念日ですが、中国ではかなり重要視されています。温家宝がエイズ予防イベントに出席したり、地方を視察したりというのが恒例のパターン。

1990年代に河南省政府が売血を奨励した結果、エイズ患者だらけになってしまったエイズ村・上蔡村で、エイズ患者と旧正月を過ごしたこともありました。なお温家宝が視察した時だけ患者を別の場所に軟禁。公安関係者扮するニセ患者が優しい温家宝首相と過ごす……なんていう文革期真っ青なイベントだったとも後に暴露されていました。

温家宝は一応、まだ首相ですが、十八大(中国共産党第18回全国代表大会)で基本的には仕事納めしたということなのでしょうか。今年の活動はないようです。


■バトンを受け継いだ習近平、李克強タッグ

というわけで、バトンを受け継いだ習近平、李克強タッグが今年の世界エイズデーではショーを見せています。

温家宝の後を継ぐ李克強ですが、患者の訴えを聞き調査を指示するといったパフォーマンスを見せましたが、どうもしらけ気味。それもそのはず、売血奨励政策実施当時の河南省トップは李克強。調査を指示している場合ではありません。

ムービースター・温家宝の後釜としてはかなり物足りない李克強ですが、かわりに輝きを見せたのが習近平。

20121205_写真_中国_エイズ_習近平_1

11月30日、北京市豊台区蒲黄楡社区衛生サービスセンターでのイベントに参加した習近平(新華社)。エイズ患者と握手したという写真。エイズ感染者と握手しても感染しませんよというメッセージですね。李克強も「感染者を差別しないよう」との趣旨の発言をしています。

そして、習近平の妻にして国民的歌手、ついでに人民解放軍少将という彭麗媛もとして12月1日のイベントに参加しています。
(関連記事:彭麗媛、エイズデー宣伝に参加 反差別ショートムービー撮影に参与(新華社 2012/12/1)

彭麗媛はWHOのエイズ予防親善大使。さらに中国衛生部のエイズ予防宣伝員だとのこと。撮影したショートムービー「永遠在一起」の共演者である、少年の感染者たちとともにイベントに現れました。なお記事中には「習近平の妻」という肩書きは全く出て来ていませんし、イベントでも発言があったのかどうか伝えられていません。




■ファーストレディー・彭麗媛

江沢民も胡錦濤も、外遊には妻をつれては行くものの、党総書記や国家主席の妻がいわゆるファーストレディ的な使われ方をされたのは、劉少奇の妻・王光美以来ではないですか。その王光美にしても、劉少奇が名誉回復した後も表舞台には立たずひっそりとその生涯を終えています。

国家指導者級の妻で矢面に立ったのは周恩来の寡婦・鄧穎超くらいですかね。あれも政治協商会議主席などの名誉職をあてがわれただけですし、六四天安門事件の最中に行われた趙紫陽の後継選びに対しても、大きな作用とはなっていません。

江沢民の嫁も、胡錦濤の嫁も単なる古女房。確認はしていませんが、もちろん2人とも党員ではあるでしょう。ただ、上述した2人に比べると、政治的経歴は貧弱です。

対して彭麗媛は習近平の妻という肩書きが無くても有名人でありますし、元々歌手ですし芸達者。国内でこの知
度を使わない手はありません。 嫁が宣伝工作というと蒋介石の妻・宋美齢ですか。あそこまで芸達者ではありませんが、理想ではありますね。

もちろん中国がエイズ対策に全力を出し始めた、というよりはこれから嫁を前面に出していくという姿勢の現われなだけだと思います。中国でしばらく無かったファーストレディの政治関与やファーストレディ外交といったものが始まるのかもしれません。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年12月4日付記事を許可を得て転載したものです。


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