中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年12月07日
Galaxy S / hirotomo
■世界一のスマホ市場となった中国
中国市場でもばりばり勢力を拡大しているスマートフォン。中国を訪れるたびにタッチパネル携帯の比率が上がっているのをひしひしと感じる。
スマートフォンといえば、iPhone VS Galaxy(サムスン)が対立軸だったが、中国ではその情勢が変わりつつあるという。ストラテジー・アナリティクスによると、中国のスマホ出荷台数は昨年第3四半期に2390万台を記録。米国(2330万台)を逆転した。今年第3四半期時点で、中国は3850万台、米国は2670万台とその差は大きく拡大している。
■王者サムスンの苦戦
現在、スマートフォンは中国の携帯電話市場の過半数を占めている。しかし使用されている携帯電話に占める比率ではまだ30%未満。今後、さらに大きく成長の余地があるという。
中国スマホ市場のシェアでトップを走るのがサムスン。しかし中国勢の追い上げが厳しい。
ガートナーの統計によると、今年第3四半期のスマホ市場シェアは16.7%。トップを守ったとは言え、昨年第4四半期の24.3%からは激減している。サムスンを猛追するのがレノボ。今年第3四半期のシェアは14.8%。昨年第3四半期の1.7%からジャンプアップを果たした。来年にはレノボがサムスンをまくる見通しだという。
*HTC 8S Windows Phone。
■ローエンド・スマホの時代
サムスンの苦戦は低価格帯スマホでの劣勢によるもの。中国では昨年来、1000元(約1万3000円)スマホという言葉が広まったが、今や400元(約5200円)のスマホまであるのだとか。すでにハイエンド、ミドルエンドのスマホを買える層にはスマホが出回っており、今後は出稼ぎ農民などに向けたローエンドのスマホが主戦場になると見られる。
もともと中国では海賊版のおかげでコンテンツの料金はかぎりなくゼロに近い。かつて最強の海賊版コンテンツ(動画、写真、小説、ニュースなどなど)プレイヤーとして改造版プレイステーションポータブル(PSP)が爆発的にヒットしたが、ローエンド・スマホはそれを上回る最強の暇つぶしマシーンとしてのポテンシャルを秘めている。
ローエンド・スマホを作っているのは日本では聞いたこともないメーカーも多い。フィナンシャルタイムズ記事では金立(Gionee)というメーカーが紹介されている。中国スマホ市場におけるシェアは今年第1四半期の1.5%から第3四半期には4.7%に拡大。なんと台湾の雄HTCを追い抜いている。
■大規模化を果たした中国国産携帯メーカー
レノボのようなPCメーカーからの転身組、ZTEやファーウェイのような通信機器メーカー出身組、小米のような別業種参入組、そして金立や魅族、天宇のような零細メーカー出身組と、中国勢は多様な背景を持っていることが特長だ。フィーチャーフォン時代の中国山寨機(ノンブランド携帯電話)といえば、あまりにもプレイヤーが多すぎてカオスすぎたのが特長。なにせマンション一部屋だけの工房で、携帯を組み立てては出荷というメーカーまであったという。
超零細メーカーの横行は「組み立てれば誰でも作れる」という携帯電話のコモディティ化が背景にあった。現在のスマホ時代だとまだそこまではいっていないようで、ある程度の規模を持つメーカーが生き残っている印象だ。
かつての中国国産携帯は一瞬、海外勢をまくるほどの勢いを見せたが、その信頼性の低さから売れ行きが失速した。スマホ時代の中国国産携帯はかつてほどのカオスとはなっていないだけに、消費者のハートをつかむ可能性も高そうだ。
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詳しい人に怒られるかもしれんが、あんなのパソコンと一緒で、部品の組み合わせじゃないの?