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【小ネタ】北京市には200万人のネット工作員が住んでいる=強引に自虐ネタで盛り上がる中国ネット民

2013年01月21日

北京市には200万人の「五毛党」(ネット工作員)が住んでいる。北京市副市長の“失言”をきっかけにこんな噂が広がっている。

Netcafe
Netcafe / hildgrim


■200万人の体制外「宣伝工作者」


2013年1月17日、北京市宣伝部長会議が開催された。席上、市宣伝部長、副市長の魯煒はこう発言した。

北京全市の「宣伝(=プロパガンダ)」部隊は体制内で6万人あまり、体制外で200万人あまり存在する。

注目の話題に対してプラスの方向に導くために、各「宣伝工作者」はニューメディアに習熟しなければならない。

「マイクロブログを見て、マイクロブログを開設し、マイクロブログでつぶやいて、マイクロブログを研究する。」これによってネットのプラスのパワーが発揮されるのである。
新京報、2013年1月18日

この発言がたちまち話題となった。6万人いるという体制内の「宣伝」部隊とやらについてはまだわかる。しかし200万人の体制外「宣伝工作者」とやらはいったい何なのだ。体制外にいる非正規の「宣伝」部隊とは、すなわち政府に有利になるような書き込みをするネット工作員、「五毛党」にほかならないのではないか、と。

中国のネット検閲はもちろんの如く自動化されている部分も多いのだが、人力のお仕事も多いという。政府寄りの意見を書き込むだけではなく、ネット掲示板をチェックしたり、へんな画像や動画が確認されていないか確認したり。巨大な体育館のような場所に10万人が押し込められ、人力検閲や五毛党のお仕事をしている……などという噂話すらあった。

にわかには信じられない話だが、どうしてどうして北京市だけで200万人とは!10万人が入る巨大建造物が20基必要という寸法だ。


■全力で誤解して楽しもう

ってな感じで一部のネット民が騒いでいるわけだが、冷静に考えればありえない話。2000万北京市民の10人に1人、200万人がネット工作員というのは夢がある話だが、さすがにちょっと無理があるだろう。しかもバイト扱いの五毛党の人数まで副市長が把握しているのか、バイト扱いの五毛党にマイクロブログやれよと呼びかけるのかと思うと、いろいろおかしい。

個人的にこういう意味ではと考えているのは、
体制内の宣伝工作者=共産党の宣伝部局にお勤めの方
体制外の宣伝工作者=マスコミ、ネットメディアにお勤めの方
という意味ではないだろうか、と。中国の新聞は系譜をたどれば中国共産党の機関紙であるケースが大多数。先日、社説書き換えの抗議が日本でも大々的に報じられた南方週末にしても、共産党と真っ向対立しているように見えるが、その系譜は広東省共産党委員会の機関紙・南方日報である。ある左派の知識人が南方週末も党の喉・舌(代弁者)なのだからがたがた文句を言うなと発言していたが、この暴言にもそれなりの道理はあったりする。

というわけでちょっと冷静になれば「ネット工作員が200万人!北京市だけで!ひゃっほー」と騒げるようなネタではない気がするのだが、そんなことを無視して一部中国ネット民は盛り上がってしまった。まあ実際に五毛党が200万人いるかいないかとかどうでもいい話で、「中国はこんなにひどい国なんやで!」と自虐ネタで盛り上がれる機会を失いたくない……ぐらいの気持ちなのではないかと推察する。

まあそれはそれで楽しい生き方の一つとして悪くはないのではないかと思うが、ちょっと気を抜くと「ねぇねぇ知ってます?北京市の10人に1人は工作員なんですよ」とか新たな常識が誕生していたりするので、面倒くさかったりする。

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