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*ロサを祝わないキャンペーンを呼びかける図像。キャッチコピーは「ラサが燃えているときにダサ(ダラムサラ)にロサはない」。
■喪に服したロサとお祭り騒ぎを強要する中国政府
チベット歴の新年をロサという。今年は2013年2月11日がロサとなる。今年のロサが例年と違うのは、チベット亡命政府がロサでのお祭り騒ぎをやめるよう呼びかけているからだ。センゲ首相はパーティーや祝い事は止め、宗教的な行事だけを行うようにと呼びかけた。去年1年間に80件以上の焼身があり、そのほとんどが死亡するという惨劇が続いているだけに、喪に服したロサを送ろうという訳だ。
このロサ自粛の動きはチベット亡命政府があるインド・ダラムサラだけのものではない。チベット本土でも近年は毎年のように「ロサを祝う気には到底なれない。祝わない」という動きが出ている。これに対し、中国当局は「ロサを盛大に祝え。歌え踊れ。金をやるから祝え」と祭りを強要し、緊張関係が生じている。
■歌え、踊れと中国当局
2日付RFAによれば、チベット内地のチベット人のほとんどは次のチベット新年(ロサ)を喪中として祝わないと決めたが、それに対し、当局は祝うよう強要し、なんと補助金まで配っているという。
アムド地方ツォロ(青海省海南チベット族自治州)のチベット人たちは、次のロサに祝い事を行わないということを、口に出さずとも心に決めているという人がほとんどだという。集会などにより決定されたという所もあるという。
これに対し、当局はロサには必ず祝い事を行い、歌や踊りのパーティーを行うべきだと命令している。当局はまた、チベット人たちにロサを祝わすために金を配っていると、内地から1人のチベット人がRFAに報告した。
中国の関係部署はチベット人居住区でどこの地域、郷、村がロサを楽しく祝ったかどうか、調査しているという。
参照:
6日付RFAチベット語版
中国にも喪中という習慣はあるのだが、チベット人には喪中禁止令が出たようなものだ。「祝いたくない」というのを、「とにかく祝え、踊れ、歌え」というのはいかがなものか?ついでに「金もやろう」という。この場合の「金」は社会的な「踏み絵」ともなる。このところ毎年ロサが政治的大行事となっている。中国はとにかく、テレビで「はい、チベット族たちは多大な恩を受けた共産党に、心よりの感謝を捧げながら、こんなに楽しく新年を祝っております」と放映するためだけにこんな茶番を行っているのだ。
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年2月5日付記事を許可を得て転載したものです。