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80年代に中国で放映されていた日本アニメ一覧、香港・台湾経由で流入した“すごい作品”も(百元)

2013年05月15日

■80年代に中国のテレビで放映された日本のアニメ オタ中国人の憂鬱アップデート■
 

オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力

■オタ中国人の憂鬱アップデート

2年ほど前にブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」のまとめ本「オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力 オタ中国人の憂鬱」を出させていただきましたが、この2年で中国オタク事情も大きく変わり、書籍の内容も一昔前の話になってしまっています。また、いつもの中国オタクの反応という形では紹介するのが難しい話というのもたまってきていますので、「オタ中国人の憂鬱」のアップデートになるような話を書いていこうかと思います。

第6回となる今回は「80年代に中国で放映されたアニメ」について。

<オタ中国人の憂鬱アップデート>
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■当時の放映作品リストを作る難しさ

中国のテレビで放映されたアニメ、特に一昔前のアニメに関して調べるのはかなり難しいものがあります。当時放映された内容に関するリストがきちんと残っていることは少ないですし、地方ごとのテレビチャンネルなどになってくるといよいよ分からなくなってしまいます。

それに加えて中国本土にはビデオも普及しておらず、普及した映像記録メディアのVCDは基本的に再生するだけでしたから、テレビで放映されたアニメに関してはどうしても実際に見ていた人の記憶頼りになってしまいます。
またネットを活用しようとしても、現在ネットで活発に動いている中国オタクの主要な層は若い年代になりますから、ネットで見つかる情報に関しても一昔前の情報、具体的には70~90年代前半に放映されたアニメに関する情報は少なく、あったとしても断片的だったりします。

そんな訳で中国で放映されたテレビアニメの情報に関しては諦め半分でいたのですが、先日お会いした中国オタクであり更にアニメ業界で活躍している方から、昔中国のテレビで放映されていたアニメや、「テレビで見ることができたアニメ」に関して教えていただけました。

この非常にありがたい情報のおかげで、新しい発見とともに私の認識やこのブログに今まで書いていた内容の間違いも見つけることができましたので、今回はそれについて紹介させていただきます。


■80年代中国テレビ事情

さて、詳しいリストの前にまず昔の中国のテレビ事情についてを。

昔の中国のテレビは今の状況に比べると随分とフリーダムというかカオスな所もあったようで、視聴率アップのためにイロイロなことが行われていたそうです。子供の視聴者をガッツリ掴めるアニメもその一つで、なんだかよく分からないルートで入った日本のアニメ番組が放映されたりもしていたそうですし、地方局ではこういった傾向が特に顕著だったようです。

それから中国ではケーブルテレビや各「単位」(職場)一括でのテレビ電波の受信を行っていることが多く、テレビの受信状況は日本の基本的に個々の家庭でアンテナを立てるのとは少々違う所もあります。そしてこういった受信の仕方で香港や台湾のテレビを見ることができた家庭も少なくなかったらしく、そのチャンネルでアニメを見たりもしていたという話です。

この香港、台湾のテレビを見れる状況は80年代末から90年代半ばまで続いたそうなのですが、98年頃から管理が厳しくなり手軽に見ることはできなくなってしまったとのことです。現在は一時期ほど厳しくはないようなのですが……。

そんな訳で「中国本土のテレビでは放映されたことがないアニメ作品」であっても、時期によっては「香港や台湾で放映されていて当時の中国本土でも結構な数の人が視聴していた」というケースがあったそうです。

例えば私は「中国本土のテレビでガンダムが正式に放映されたことは無い」と以前どこかで書いたかと思いますが、今回教えていただいた話によれば、ガンダムに関しては香港や台湾のテレビで放映されていたのを中国本土でも結構な範囲で視聴することができたそうで、96年に「Gガンダム」、97年に「ガンダムW」が視聴されていたそうです。ですから「中国本土のテレビでガンダムが正式に放映されたことはない」というのは問題のある言い方になってしまいますね。


■80年代放映の日本アニメリスト

そういった話も含めて、以下にネットの普及以前の時代のものを中心に、中国で放映されていた、或いは見ることのできた作品を紹介させていただきます。(中国では地方ごとに放映の時期にはズレが生じることもある上に再放送も行われているので、年代に関してはあくまで大まかなものということをご了承ください)

82年~87年頃
「鉄腕アトム」
「ジャングル大帝」
「龍の子太郎」
「一休さん」
「アストロガンガー」
「グリム名作劇場」
「ニルスのふしぎな旅」
「魔法使いサリー」

88年~90年頃
中国本土のテレビ局で放映されていた作品
「リボンの騎士」
「魔法のマコちゃん」
「家なき子」
「アタッカー YOU!」
「花の子ルンルン」
「キャンディキャンディ」
「海のトリトン」
「ムーの白鯨」
「バビル二世」
「銀河鉄道999」
「アタックNo.1」
「エースをねらえ」
「ドラえもん」
「宇宙空母ブルーノア」
「ルパン三世」
「アニメ三銃士」
「破裏拳ポリマー」

香港や台湾のテレビで放映され、中国本土でも場所によっては視聴することができた作品
「タイガーマスク」
「科学忍者隊ガッチャマン」
「惑星ロボ ダンガードA」
「太陽の使者 鉄人28号」
「SF西遊記スタージンガー」
「魔女っ子メグちゃん」
「宇宙海賊キャプテンハーロック」
「マジンガーZシリーズ」
「勇者ライディーン」
「コンバトラーV」
「鋼鉄ジーグ」

以上です。


■中国で放映された初のスーパーロボット・アニメとは

90年頃までに放映された作品の中で個人的に驚いたのは「アストロガンガー」でしょうか。まさかこの作品が中国に入っているとは思いもしませんでした。

アストロガンガー DVD-BOX 下巻

解釈次第な所もありますが、もしかしたら中国本土のテレビに最初に入った日本のスーパーロボット系の作品は「アストロガンガー」になるのかもしれません。「アストロガンガー」が中国で放映されたのはかなり早い時期だったそうで、科学教育番組の後ろの方で放映といった扱いになっていて、全てきっちり放映されたわけではなかったとのことです。

ちなみに、その次に中国本土のテレビに入った日本のスパロボ系な作品は恐らく「戦国魔神ゴーショーグン」になるかと思われます。日本のアニメ扱いで良いのかちょっと迷ったので上のリストには入れていないのですが、アメリカで「戦国魔神ゴーショーグン」と「亜空大作戦スラングル」を編集合体させて1つの作品にしてしまった「Macron 1」も88年~90年頃の時期に中国に入っていたそうです。


■なんで輸入できたんだ……タイガーマスク

それから、「科学忍者隊ガッチャマン」は当時香港や台湾のテレビで放映していたものが視聴されていたそうで、その後97年になってから中国本土のテレビ局で放映され、その時はOVA版も一緒に放映されたそうです。

他にも「タイガーマスク」や「スタージンガー」など、なかなかにスゴイ作品が入っていたようですが、当時の視聴者の反応がどんなことになっていたのか非常に気になってしまいますね。この情報を教えてくださった方も「タイガーマスク」には当時驚いていたそうで、「これはスゴイ作品だがなんでこんな作品輸入したんだろう……てかなんで輸入できたんだろう……」という疑問を感じたりもしたそうです。

結構長くなってしまったので、今回はとりあえずここで一区切りとさせていただきます。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年5月4日付記事を、許可を得て転載したものです。

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