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おいしい独占ビジネスで有名な胡錦濤の息子、今度は嘉興市副書記に就任―中国(水彩画)

2013年05月26日

■胡錦濤の息子も政界入り■


■裸の胡錦濤

肩書きから身包み剥がされて引退させられる甲斐性なしを、院政を敷かない素晴らしい指導者して紹介するのに使うのが「裸退」という言葉。

胡錦濤は軍事委員会主席のポジション、「党と国家の指導者」として総書記に次ぐ序列という、引退した江沢民が得ていた特典を何一つもらうことなく、丸裸にされて引退しました。毎年4月初旬恒例の植樹大会にも姿を見せず、両会後はひっそりとお過ごしになっています。おかわいそうな胡錦濤。

ただし、貴州省時代から秘書を務めチベット、北京と付き添った陳世炬を中央弁公庁副主任に昇格させるなど、かつての部下にそれなりに褒美はやってはいるようです。陳世炬が85年に胡錦濤の個人秘書になったのは、貴州大学を出てすぐの24歳。以来28年、文字通り胡錦濤に人生を捧げたのですが、十八大でも中央候補委員にすら選出されていません。このままいけば10年後にめでたく引退。

胡錦濤にできるのはこの程度、ということになります。もちろん当人の能力と相談する部分もあるでしょうが。


■久々の胡錦濤ニュース、ただしアレなやつ

そんな露出ゼロ状態だった胡錦濤ですが、ようやく紙面に帰ってきました。ただし、紙面に名前は載っていません。

胡海峰、浙江嘉興市委副書記に任命(財経網 2013/5/24)

5月24日付嘉興日報によると、王輝忠・浙江省委副書記が嘉興市を視察し、魯俊・市委書記、高玲慧、胡海峰両副書記が同行した。

上級のお偉いさんが現地の指導者を連れて視察するのは普通のこと。問題は見出しに来ている胡海峰は誰なのかということになりますが、知っている人は知っている、胡錦濤の息子であります。胡海峰は北京交通大学から、父親と同じ清華大学の院に進んで、めでたく学歴ロンダリング完了。これまで浙江省にある清華長江デルタ研究院党委書記(正庁級)を務めてきました。

嘉興市は地級市。上海市に隣接し、なんちゃって上海人も少なくない地域。日本なら横浜人や神戸人を偽装する神奈川県民や兵庫県民(海側)みたいなものでしょうか。地級市の委副書記も正庁級なので特に大抜擢というわけではありませんが、学者だった息子がいきなり政界入りというのはやはりコネを指摘されても仕方ありません。


■胡錦濤息子のおいしすぎるビジネス

胡海峰は国内の空港、地下鉄の手荷物検査で使われているX線検査機シェア90%を誇る、威視公司を傘下に持つ清華控股有限公司の党委書記だったことからも、その名を知られています。

敏感詞(ネット検閲の対象となるNGワード)となったのは、2009年7月に英国のデイリーテレグラフなどが、ナミビア政府へのX線検査機納入で頭金を支払った現地代理店が中国人の偽装だとして、威視公司のナミビア代表ら3人が逮捕されたと報じてからです。

また、南アフリカとの契約でも賄賂攻勢で契約を取り付けた、とも報じられています。(BBC中文 2013/5/24 胡錦濤の子息、胡海峰が嘉興市副書記任命

以前にもお伝えしましたが、先日、「呉邦国の末子である呉磊が上海市幹部に任命された」という記事が出ましたが、親世代の不興を買ったのか、中央宣伝部は「二世の任命記事を出すな」と通達。呉磊の名前を見出しに持っていった記事はあっという間に削除されています。(二世の出世記事もアウト。宣伝部の禁止事項がまた増えた 2013/5/17)。

ところが財経網、21世紀網などは禁令など気にせず胡海峰の名前を見出しに入れ、写真まで載せるサービスっぷり。

20130526_写真_中国_胡錦濤_1
※右側が胡海峰

一方、浙江日報や転載した人民日報は禁令に従い穏当な見出しに落ち着いています。

財経網:胡海峰、浙江省嘉興市委書記に任命
21世紀網:浙江省委副書記、嘉興視察市委副書記胡海峰ら同行
浙江日報:王輝忠、嘉興市の企業刷新工作を視察
人民日報:王輝忠、嘉興市の企業刷新工作を視察

呉磊の記事でさっさと削除してしまったのは新華社、人民日報、中国新聞網と、いずれも党に近いメディア。一方、宣伝部の命令を無視したのは都市報。新浪のようなポータルサイトも無視しています。なかなか分かりやすい結果になりましたけど、都市報は呉磊の記事のように削除攻勢に遭っていませんので、それほど大した命令ではないのかもしれません。


■公式ウェブサイトに名前がない

20130526_写真_中国_胡錦濤_2


それより気になるのは、嘉興市委のサイトに、胡海峰の名前が無いんですね。視察に同行した翌日の5月24日には人事異動が集中しているものの、胡については過去にさかのぼってみても異動情報がありません。

まあ鄧小平の孫も職場の公式サイトに名前がないのに、メディアでは指導者扱いされて就任が確認されていましたが、こういうのってどういうことなんでしょうかね。ほとぼりが冷めた頃に、しれっと名前が載るようになっているのか。

なお、22日には胡海峰は黄浦江の豚大量死亡事件の処理問題で、同じく魯俊・市委書記に同行して現地を視察していることがわかっています。当時の肩書きは「市領導」(市指導者)となっていてます。(重点突破で養豚業の転換発展を加速させよ 嘉興日報 2013/5/23キャッシュ) 

そうそう、H7N9型鳥インフルエンザが明るみになる前に、大量に死亡した豚を川に投げ込んで、知らん振りした、というのが嘉興でしたね。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年5月26日付記事を許可を得て転載したものです。

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