• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

「中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ」生産能力過剰という問題と痛みを伴う解決策

2013年06月20日

■「中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ」生産能力過剰という問題と痛みを伴う解決策■

Bank of China Tower and Cheung Kong Center
Bank of China Tower and Cheung Kong Center / Alfonso Jimenez


■経済の減速リスクが高まっているのに動かない中国政府


中国経済の景気減速リスクが高まっている。

2013年6月20日にHSBCが発表したPMI(製造業購買担当者景気指数)は48.3(速報値)、9カ月ぶりの低水準となった(ロイター)。8日発表の5月期貿易統計では輸出額が前年同月比1.0%のプラスにとどまった。香港経由の輸出水増しがホットマネー流入の経路となっていたが、当局が取り締まりを徹底したことで輸出統計は一気に激減した。各国の金融機関では中国の成長予測を引き下げる動きが広がるなど、中国の本格的な景気後退がとりざたされている。

こうなると、「中国経済オワタ!」と叫びたくなる人がでるのが人情というものだが、そうそう簡単な話ではない。ある意味では、このオワタ的展開は中国当局が主導している側面もあるからだ。中国政府からは明確なメッセージが発せられているわけではないが、当局が現行体制のリスクを認識し、経済成長の減速という痛みを容認してまでも問題解決に乗りだしたのではないかとの観測が広がっている。

その問題とはなにか。どのように解決できるのか。これをまとめるとなかなか大変なので、とりあえず今の中国経済が直面する大きな問題の一つ、生産能力過剰について明快に分析しているフォーブス中国語版の記事をご紹介したい。



中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ
フォーブス中国語版、2013年6月18日

中国経済の成長ペース減速について、多くの人々が不安を抱いている。一部アナリストは中国は空前の融資バブルに直面していると指摘。また中国はもはや世界経済成長の原動力たりえないと唱える声もある。

生産能力過剰は中国経済の大問題の一つだ。いわゆる生産能力過剰とは生産能力の総和が消費能力の総和を超えた状態を指す。根本的には投資主導の経済成長モデルが生産能力過剰を生み出した大きな要因となっている。

中国政府はリーマンショック後の2008年に4兆元(約62兆円)という巨額の景気刺激策を実施した。大規模な失業を避けるのが目的だったが、実際には生産能力過剰の悪化を引き起こしてしまった。

米債権運用大手PIMCOのRaja Mukherji氏は、中国はすでに13兆元(約202兆円)もの投資を抱えていたのに、このような景気刺激策を導入してしまったと指摘する。

「中国が2008年に実施した景気対策は市場の安定には必要なものでしたが、金額が巨大すぎた、あまりにも固定資産に偏りすぎた、あまりにも建築分野を重視しすぎたという問題があったようです。中国の建築、建材業界の生産能力は激しく成長し、最終的にはこの産業分野全体が深刻な生産過剰に陥ってしまったのです。」


生産能力過剰とはなにか?生産能力過剰はなぜ経済問題となるのか?

2005年以来、中国政府は生産能力過剰に対して懸念を表明している。2012年の中央経済工作会議では、生産能力過剰が中国が優先して対処すべき事項として再び挙げられた。

生産能力過剰は、化学、金属、再生可能エネルギーなど中国の多くの産業に影響を与えている。また中国の太陽電池パネルはEUのダンピング・補助金調査の対象とされており、さらに大きな影響を受けている。近年、中国最大の製鉄メーカーである河北鋼鉄グループ及びその他ローカル製鉄メーカーは需要と価格の低迷、在庫の増加にともない、一部生産中止を余儀なくされている。

生産価格もまた生産能力過剰の影響を受けている。5月、生産価格は2.9%のマイナスとなったが、この下げ幅は中国の成長は実際の能力よりもはるかに低いレベルに留まってしまっていることを示している。


生産能力過剰が市場に与える影響はなにか?その解決方法とはなにか?

たとえ中国の中央政府がこの生産能力過剰の問題の解決に努力していようとも、しかし地方政府がこの問題を悪化させる方向に推し進めている。

Mark DeWeaverはProject Syndicateのコラムにこう書いている。

「(生産能力過剰の解決にあたり)中国が直面している最大の問題とはなにか。それは地方政府が自分たちの地域の経済成長に最も関心を寄せているということ。中央政府が“むやみ”で”余計”な投資の大部分をカットしたいと考えても、地方政府はそれら”むやみ”で”余計”な投資を強力に支持している。」

生産能力過剰を短期的に解決する方法がないことは明らかだ。仏金融大手ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、Wei Yaoは、中国が生産能力過剰を解決する方法は「すみやかにデフレさせ、新規投資の伸びを鈍化させること」と指摘する。こうした手法をとれば、生産能力過剰の影響に苦しんできた業界は、今度はデレバレッジと合併によってさらに大きな打撃を被るということだ。

関連記事:

ウィスパーやソフィ、女性用ナプキンのニセモノ製造企業を摘発=生産能力過剰という中国の病
8%成長は必要ないのか?ゴールドマンが政府主導の中国経済大減速を予想
レアアース業界の合併再編細則、年内にも発表=生産過剰解消目指す―中国紙
「他国の省エネのために中国は犠牲になっている」中国の格安太陽電池と日本のエネルギー政策


トップページへ

 コメント一覧 (2)

    • 1. 名無しさん
    • 2013年06月21日 01:06
    • 生産云々だけじゃなく
      銀行もヤバイですやん
      中国オワタ\(^O^)/

      あと主さん重複してますよん
    • 2. Chinanews
    • 2013年06月21日 11:11
    • >名無しさん
      コメントありがとうございます。

      銀行やばいの話ですが、実はこれも生産能力過剰、その根本にある地方政府の“むやみ”な開発とリンクしています。結局、地方政府が“むやみ”なことをする原資は3セクへの銀行融資、または投資商品を通じた「影の銀行」経由なのですが、中央政府が銀行をしめあげることで“むやみ”をやめさせようとした……というのが今の銀行やう゛ぁいにつながっています。

      重複の指摘ありがとうございました。片方削除しました。



コメント欄を開く

ページのトップへ