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「恋人に振られたので焼身自殺」人民日報が伝えるチベット人の焼身抗議(tonbani)

2013年06月23日

■中国当局、5月27日に焼身・死亡したテンジン・シェラップは女性問題が原因と報道、写真を海外に流したとして僧侶逮捕■
 


チベット人の焼身抗議を、政治的な動機ではなく個人的な動機だったと中国が捏造報道することはこれまでにも事例がある。多くの場合、夫婦ゲンカや恋愛問題で焼身自殺したという筋書きにされている。焼身者の妻に対し、「夫婦仲のこじれが原因だった」と認める書類にサインすれば金を渡すと持ちかけた話も伝えられている。

さて6月19日付人民網(人民日報のウェブ版)は、5月27日にジェクンド州チュマレプ県で焼身、死亡したテンジン・シェラップ(31)は、「恋人に振られたことが原因での自殺」との記事を掲載した。

20130623_写真_チベット_焼身抗議_

記事の概要は以下のとおり。

テンジン・シェラップは離婚し、8歳の娘と暮らしていた。5月15日、冬虫夏草採りに出かけた時、彼女とケンカしたことを気に病み、27日にガソリンをかぶって自殺したという。

同日、地元のチベット人僧侶(25歳、中国語では才扎、英語ではRae-Bleakと表記されているが、チベット名は不明)がテンジン・シェラップの家に行き、死者や生前のテンジン・シェラップが民族衣装を来ている写真を撮影。微信(Wechat)でインドの僧侶に送ったという。29日には海外のチベット独立サイトにこの写真が掲載され、焼身抗議だと報じた。

焼身事件の捏造、扇動的言説、事実の歪曲なはチベット社会の安定を破壊するもので、取り調べを受けた僧侶も罪を認めている。

なおチベット亡命政府側には、テンジン・シェラップは焼身の数日前、友人たちに「中国の政治はよくない。このままではチベットの宗教や文化が消滅してしまう恐れがある。もう中国の支配の下では生きる事ができない」などと繰り返し話していたことが伝えられている。

この人民網の記事のように焼身抗議について中国が事実をねじまげて報道するのは、国が焼身の事実を隠すことだけが目的ではない。地元政府や警察にとっては焼身抗議の発生は政治的業績の失点を意味する。そのため地元政府が主導で事実を捏造することが横行しているという。

参照:
6月19日付人民網同英語版

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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年6月22日付記事を許可を得て転載したものです。

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