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母親のお腹から胎児が盗まれた?中国の人身売買、都市伝説と現実(斧澤)

2013年07月01日

■24歳の妊婦のお腹から胎児が盗まれる■

China-Xian-Oct. 1 baby #3
China-Xian-Oct. 1 baby #3 / Praziquantel


■ネットユーザーが暴露:24歳の妊婦、昏倒した隙に胎児を盗まれる

人民網安徽省チャンネル、2013年6月29日

人民網阜陽6月29日(記者 常国水 李闊)
6月29日、ネットユーザーから「6月26日、安徽省阜陽市太和県の妊娠十ヶ月の若い母親が病院で検査をしているときに倒れ、目が覚めたときにはおなかに居た胎児が盗まれていた」という情報が入った。6月29日午後、人民網安徽チャンネルの記者が太和県の警察当局に確認した所、すでに事件として全力で調査しているとの話だった。

ネットユーザーの情報によると、この妊婦(訳者注:滑さん)は24歳で、出産予定日から既に10日が経過していた。6月29日、夫の張さんが記者に事件の概要を伝えている。6月26日午前、妻が一人で太和県の中医学病院で検査を行ったが、病院を出る時突然めまいがして意識を失ってしまった。それから午後3時過ぎまで、家族が連絡を取れず探し回っていた。「その後知らない人からショートメールがきました。大人は無事だ、子供は連れて行く、と書いてあったのです。」張さんはこのメッセージを受けて警察通報。午後10時に奥さんを見つけたが、お腹にはすでに子供はいなかった。

29日、ネットユーザーがこの情報をネットで公開し、公安部関係者の注目を集めた。微博(ウェイボー)の公式アカウントである公安部誘拐担当事務局主任の陳士渠氏は発覚後最初に「現在調査中である」と投稿した。

6月29日午後、太和県公安局関係責任者は記者に対し、「この件に関して、既に複数の調査グループを組み全力で調査している」とコメントした。(引用終わり)


■第二報で予想通りの“驚きの展開”に

何故か初報の人民網安徽省チャンネルの記事はすでに削除されています。なんとも恐ろしいニュースだけにあちらこちらに転載されているので、中身を読むことはできるんですが、なぜでしょう……。

と思ったら、予想通りの“驚きの展開”に。

警察の調査で「太和県胎児窃盗事件」は自作自演と発覚、当事者は妊娠していなかった
人民網、2013年6月30日

(記者 常国水 李闊)
大和県警察当局は今日、調査により、「大和県滑某の嬰児盗難事件は滑さんの自作自演であることがわかった。滑さんはそもそも妊娠しておらず、そのことがばれるのを恐れて今回の盗難事件を計画した。現在滑さんは当局の取調べを受けている」


■自作自演のせつない事情

この件についてレコードチャイナが「ほんとにあった怖い話!妊婦がお腹の中の胎児をさらわれる―安徽省」(2013年6月30日)、「<続報>胎児がさらわれた事件、当事者は「狂言」と自白=10日間拘留の処分―安徽省」(2013年7月1日)と2本の記事を掲載しています。後者によると以下のような事情だったのだとか。

その後の警察の調査で、女性は事件が自分の狂言だと自白。女性によると、妊娠4カ月のころ、胎児に異常が見つかり堕胎した。家族が悲しむのではと恐れ、堕胎のことは言いだせなかった。そして26日に予定日を迎え、隠し通せないと考えさらわれたと嘘をついたと供述している。

夫や家族に中絶の事実を言い出せなかった女性のことを考えると胸が痛みます。しかもネットで騒がれたので、行政拘留10日間というのもなんともせつない。


■子どもの人身売買、都市伝説と現実

「目が覚めたら臓器が盗まれていた……」というのは、ザ・都市伝説とでもいうべき定番の話。今回の胎児の話もそのバリエーションでしょう。

「帝王切開で産んだらついでに腎臓を盗まれた」中国の腎臓盗られた都市伝説
女子大生が殺害された、腎臓が盗まれていた?!都市伝説大国・中国

現代の医学のレベルでは臓器や胎児をさっくり盗むというのはなかなか難しい話な上にリスクも高い。というわけで、都市伝説じゃない臓器話だとこうなります。

「iPadが欲しかったから」17歳の少年、両親に内緒で腎臓を売る―中国湖北省
中国臓器移植業界の秘密=死刑囚の臓器略奪から臓器売買ビジネスへ
ネトゲの最強装備が欲しいから!腎臓を売ってゲームに明け暮れた18歳少年―中国


赤ちゃんを売るという話だとこんな感じに。
赤ちゃん3人を売り飛ばした少女=少年と女子中学生、駆け落ちの末の悲劇―中国

基本的に外科手術的盗みをするよりも、お金を払って子どもを買って転売する方が簡単なのでしょう。複数の省にまたがる赤ちゃん人身売買チェーン(農村を回って赤ちゃんを“調達”する仕事、客を見つける仕事、赤ちゃんを運ぶ仕事との分業制)も摘発されていますし、一人っ子政策違反の赤ちゃんを孤児院に収容し外国人の陽市として売り飛ばすという“官営ビジネス”が明らかになったこともありました(津上俊哉ブログ)。

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*本記事はブログ「斧子―Onoko」の2013年6月30日付記事を許可を得て転載したものです。
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