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外国映画に押され国産映画は負のサイクルに……2013年上半期タイ映画界(asianet)

2013年07月08日

■タイ映画界の上半期を振り返る■


20130708_写真_タイ_映画_
*ピー・マークプラカノーン。


■ピー・マークプラカノーンの大ヒット

さて、7月となり2013年も半分が過ぎたので、今年前半のタイ映画界を振り返ってみることにしました。上半期の話題は、なんといっても「ピー・マークプラカノーン(Pee Mak Phra Kanong)」が超大ヒットし、タイの最高興行記録を塗り替えたことです。とにかくすごかったですね。映画館はお客さんで一杯でした。タイ映画でも、内容さえよければ外国映画に勝つことができるのだということを見せてくれました。



ところがです、タイ映画界は総興行収入の数字だけ見れば絶好調のように見えるのですが、実はかなり低迷しているといえます。まず、公開本数が異常に少ないのです。今年上半期に封切りが確認できたタイ映画は、全部で22本。内一本は強いて言えばフィリピン映画で、9本はインディーズか小規模公開作品です。ということは、まともに公開されたのはたったの12本ということになります。

一か月あたりちょうど二本で、これはかなり少ないですね。昨年からこの傾向はあったのですが、今年はさらにひどくなっています。しかも、大ヒットしたといえるのは、「ピー・マークプラカノーン」だけ(正確には、昨年末から公開された「クレイジー・クライイング・レディー (クン・ナーイ・ホー/ Crazy Crying Lady /Khun Nai Ho)」が大ヒットしていますが、これは昨年度の扱い)です。

20130708_写真_タイ_映画_2
*クレイジー・クライイング・レディー。

まあ、昨年も「クレイジー・クライイング・レディー」を含めても二本しかありませんでしたけれど。多くの作品がその内容にかかわらず(ひどい内容の作品も少なくありませんが)、ろくに宣伝もされず小規模で公開され、あっという間に消え去っています。


■タイ映画は負のサイクルに落ち込んでしまったのか?

今年公開された作品で興行収入が2百万米ドルを超えたのは、タイ映画が一本、外国映画が10本です。優劣の差は一目瞭然ですよね。ここ数年目立つのは、タイの最大手映画会社サハモンコン・フィルム社の不振(ヒット作があまり出ないという意味ですが)です。ですが、サハモンコンは外国映画の配給でかなり収益を上げていると思われるので、会社としては悪くないのかもしれません。

逆に健闘しているのは、GTH社とMサーティーナイン社です。現在は、この二社がタイ映画界を引っ張っているといっても過言ではありません。下期にはどのような作品が公開されるのかはわかりませんが、おそらくこの低調さは続くと思います。タイ映画界は2000年頃のどん底から這い上がってきたのですが、ここにきて大きな壁にぶつかってしまったようです。

「映画がヒットしない→制作資金が出せない→手抜き作品を作る→おもしろくない→ヒットしない」の悪循環に入ってしまったような気がしますね。さて、今年の後半はどうなるでしょうか?あまり期待できないような気がしますが、期待していくとしましょう。頑張れタイ映画!!

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*本記事はブログ「タイ映画つれづれなるままに」の2013年7月8日付記事を、許可を得て転載したものです。 


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 コメント一覧 (1)

    • 1. しちやん
    • 2013年07月09日 23:10
    • 今年の東京国際映画祭も楽しみです。

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