中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年07月26日
足元の景気落ち込みが注目されている中国。雇用の面でも大卒者の就職難がここ数カ月ホットな話題となっており、「最難就職季」(最も困難な就職シーズン)は頻出時事用語となっている。その「最も困難な就職シーズン」がらみの小ネタとして、インターン履歴の偽造ビジネスが人気だと華西都市報が伝えている。
■ネットショップでインターン体験が買える?
中国最大のネットショッピングモール・タオバオで「実習蓋章」(ハンコ付き実習証明書)と検索すると、数十件もヒットする。
だいたいのショップでお値段は10元と表示されているが、それは最低価格で実際の価格は応相談となっている。たんに文書を偽造するだけではなく、実際に存在する会社の本物のハンコで実習証明書を発行するという触れ込みのショップもある。確認の電話がきてもちゃんと応対してくれるのだとか。
■最も困難な就職シーズンって本当?
中国メディアが大騒ぎしているからといって、「中国ではインターン体験を買わなきゃならぬほどの就職難なのか」と受け止めるのはちょっと気が早い。
政府は「雇用は安定。ただし構造的失業はある」と説明している。構造的失業とは「大学の定員を増やしすぎたら大卒生向けの仕事が足らなくなった。ブルーカラー向けの仕事はごまんとあるけど大卒生はやりたがらない」というお話であり、景気の浮き沈みとは関係ないということ。
中国では就職できる専攻、できない専攻とかいう記事が結構人気なのだが、語学系やらバイオ、経営学といった定員を増やしすぎてしまった専攻がワーストランキングに入っている。なお就職最悪の専攻はアニメ専攻らしい。
■やっつけインターンでもOKな理由
というわけで、たまたまメディアが面白そうなインターン体験ネタに目を付けただけで、こうしたサービスは以前から存在していたとみるほうが適当だろう。しかも学生側にはお手軽にインターン体験を買いたいという一定の需要が存在する。
というのもインターンをやると就職に有利だとか、インターン先に就職したいという話だけではないからだ。一部の大学では卒業要件として義務づけているために、留学や大学院入試、あるいは英語の勉強など、もっと役にたつことをする時間を捻出するための利用する人もいるのだとか。
■偽造証明書ビジネス
この手の偽造証明書や論文執筆代行サービスだが、タオバオには卒業論文から履歴書、あるいは領収書までありとあらゆる偽造証明書が買えるショップがそろっている。
面白いのが共産党の入党申請書や申請後に数回書かなければいけないレポートの代筆サービスだ。話を聞くと、チェックが一番緩く代筆が最も横行しているのが共産党の入党絡みの書類だとか。毛沢東やら鄧小平やらのレポートなんぞ、今や書くほうも審査するほうも興味がないというのが実情だろう。
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