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「借金取り」ビジネスが中国で急成長、クレジットカードの普及が背景に

2013年08月02日

■「借金取り」ビジネスが中国で急成長、クレジットカードの普及が背景に■


景気悪化が伝えられる中国だが、今、急速に成長している業種があるという。それは「借金取り」。金融機関に変わって債務回収を代行する業者だ。鳳凰週刊の記事「中国式借金取りのグレーゾーンの世界」(2013年21期)を主に参照した。


■急成長する中国のクレジットカード

中国人民銀行発表の「2013年第1四半期支払いシステム運営総合状況」によると、今年第1四半期末時点で中国のクレジットカード与信額は前年同期比31.36%増の3兆6600億元(約60兆4000億円)。返済が半年以上遅れている未返済額は前期比16.19%増の170.33億元(約2805億円)に達した。

一般消費者の間で使われているだけではない。中小企業は銀行融資を受けることが難しいだけに、経営者が資金繰りのためにクレジットカードを使うケースが少なくないという。中小企業が多い江蘇省、浙江省一帯では2011年下半期から銀行の融資基準が厳格化され、資金繰りに窮する企業が増えた。

そこで増えたのがクレジットカードの利用だ。窓口で銀行員が「企業融資は無理ですが抜け道がありますよ」と示唆。50万元から600万元(約830~9900万円)の与信枠があるプラチナカードやダイヤモンドカードを取得する経営者が増加した。


■薄い灰色:クレジットカード未返済者の督促企業

こうなると、必要になるのが債務回収代行業。ただし中国では2000年に公布された「国家経済貿易委員会、公安部、国家工商行政管理局による各種債務回収企業の取り締まりと違法な債務回収活動の徹底的な撲滅活動に関する通知」が明記しているように、債務回収企業の設立を明確に禁じている。

禁止には例外もある。クレジットカードの督促に関しては、2009年の「中国銀行管理監督委員会によるクレジットカード業務のさらなる規範化に関する通知」で外注が認められた。ただしこの通知でも発注先の選定には慎重を期すよう求め、問題が起きれば金融機関が責任を負うことを定めている。

鳳凰週刊はある督促企業に勤めた江鴻について紹介している。朝から晩まで100件以上もの電話をかけて返済を促すというお仕事。月収は8000元(約13万2000円)程度だが、基本給はなく成功報酬のみ。上記「規範化に関する通達」では督促業務外注を成功報酬にすることを禁じており、明らかに違反している。半年前、江さんが就職した時には会社のスタッフは30人足らずだったが、今では50人を超える規模にまで拡大。さらに人員募集を続けているという。


■濃い灰色:あらゆる手段を駆使する代行業者

電話による督促で95%が回収可能だというが、平和的に終わる話だけではない。今年5月には湖南省懐化市で、農村信用社から3万元(約49万5000円)を借りた男性が借金取りに刀で切りつけられ重傷を負う事件があった(法制晩報)。刀を持って恫喝して債務返済を迫るというのは明らかに違法行為だが、中小とはいえ正規の金融機関が9000万元(約14億9000万円)の債務回収を、この野蛮な代行企業に委託していたことが明らかとなった。

さらに大口の債権回収を担う代行業者もいる。電話やショートメール、張り紙、家への居座り、追尾など違法な手段を駆使して債務回収を担う業者だ。究極的には軟禁して金を用意するまで解放しないというのもよく聞く話。鳳凰週刊が取材に成功したある業者は債務回収に加え、不倫調査などを行う個人探偵業も兼務していると明かしている。

銀行など正規の金融機関が依頼することはリスクが高いが、闇金やあるいは担保企業(中小企業が銀行融資を受ける際に返済保障を行う企業。債務不履行になった場合にはまず担保企業が銀行に返済し、その後担保企業が債務回収を担う)は独自の回収部隊を擁していたり、あるいは外部の代行業者に依頼するケースがある。

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