中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年08月04日
■日本人はエクセルと方位磁石を内蔵している
最近、ロシア語のブログを復活させました。ロシア人の私にとってロシア語の方が断然書きやすくて、ついついそっちの方ばかり更新してしまいます。
でも、今回久しぶりの更新です!実はつい最近日本人についてある疑問を解きました。皆さんは「北」や「南」などの方角の名前をいとも簡単に口にしているのですが、どちらが「北」かどちらが「南」なのか、日常的にいったいどうやってわかるのだろうか、と私はずっと疑問に思っていました。以前、このブログに日本人の「エクセル内蔵疑惑」について書いたことがありますけれども、方位磁石まで内蔵されているのではないかと疑うぐらいに、東西南北が即座にわかる日本人たちは私にとって不思議に見えたのです。
例えば、初めて日本に来て間もなく、私はある待ち合わせ場所の説明として(どこそこ駅の)「南へ500メートル」というメモを渡され、困ってしまいました。日本人の皆さんは日ごろから磁石でも持ち歩いているのだろうか?それとも、磁石がなくても感覚的に方角がわかるのだろうか?言うまでもなく、もらったメモは私にとってまったく役に立たないものでした。
■ロシアでは方角をあまり気にしない
「南へ500メートル」という説明に私が驚いたのには、わけがあります。実は、ロシアでは大自然への冒険にでも行かない限り、方位の名前をあまり耳にすることはないのです。街中の道案内をするときも方角の名前を使う人はまずいません。また、今回の赴任の間、新しい駐在員のために何回か部屋を探し回ったけれども、ロシアの不動産屋さんから「南向き」などのような方角に関する情報を与えられたことは一度もありません。
一方、日本の不動産屋さんではそういう情報が真っ先に出ると思います。ただし、「南向き」と言われたけれども、見に行ってみたら「隣の壁向き」と言った方が正確という物件もあります。そういう意味では住宅密集地にあるマンションの場合は、「向き」は必ずしも役に立つ情報とは言えない気がしますが、日本ではそれでも確実に提供してもらえます。
■日本のハードな地図教育
日本人は生まれつき東西南北の感覚が優れていると、信じて疑わなかったタチアナでしたが、なんと一ヶ月ぐらい前にちょっと違うことがわかりました。答えは日本の小学校にありました。どうも小学校3年生になると、日本人の子供たちはくどいぐらい地図を読む練習をさせられるようです。ゆうきが学校から持ち帰った「夏休みの友」の中にも何ページも地図に関する課題になっていたのですが、方角が苦手なタチアナにとってこの手の宿題のチェックはかなりつらいものでした。
では、私が受けてきたソ連の教育はその点どういうふうだったのだろうか?何十年も前のことだから忘れているところもあるかもしれませんが、覚えていることを整理するとこうなります。授業でよく使ったのは、世界の地図とソ連の地図でした。どこの地域はどういう気候だとか、どこの地域にどういう天然資源があるなど、私たちの地理の勉強はだいたいそういうものだったと記憶しています。上の学年になると、「~の工場を建てるならどこの地域がいいか」というような課題を出され、色々なタイプの地図から「天然資源」や「人口密度」などの情報を集めた上で、自分なりの考えをまとめて発表するようなこともしました。
しかし、日本の小学校のように、駅から見て北だとか南というような、極めて身近でローカルな話はどうもあまりしていないようです。少なくとも、私の記憶にはそれらしき話は一切残っていません。結局、世界地図などのような抽象的な話はいいけれども、日常生活の中で東西南北の概念を使おうという発想は私にはまったく浮かばないわけです。
■ロシアン・ジョークをご紹介
そして、どうもそういう人は私だけではないようです。自虐的なジョークが多いロシアですが、ロシア人の方向音痴をネタにしているようなものもあります。ここで一つご紹介します。
ロシアの潜水艦が浮上して、乗組員たちは小さなボートに乗っている外国人の釣り人にアメリカ軍の船の行方を尋ねた。「南東方面」という回答が戻ってきたので、ロシア人たちは怒って「そんな小難しい話はいいから、行った方向をさっさと指で指しなさい」と言いました。