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転換期を迎えた中国のマイクロブログ=新浪微博とタオバオの提携、その光と影(osschina)

2013年08月09日

■新浪微博とタオバオの連携がもたらす正の面と負の面■


ソーシャルメディア企業は広告以外でいかに稼ぐのか?

これは世界共通の悩みとなっていますが、中国では「SNSプラスEC」が1つの回答だとして摸索されています。中国最大のIT企業テンセントはSNSもECも独自に有していますが、そのもう一方の極として新浪微博とアリババの提携が進められています。

ユーザー数の拡大という面では大成功を収めながらも収益モデル的には苦しんできた微博にとって大転換となりえる提携ですが、その一方であまりに商業的な改革はすでに勢いに陰りがでてきた微博にさらなる打撃を与えかねないとも懸念されています。(以上、文責はChinanews)


今年の4月末にアリババは新浪微博に5.86億ドルの投資を行い同社株を18%取得しました。そしてその後両社のコラボレーションを強化すべく、 様々な検討が行われていたようですが、その第1弾が8月5日に『微博タオバオ版』という形で出てきました。

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『微博タオバオ版』の各種機能などについてはChina Gatewayの記事「中国ECタオバオ&シナウェイボー本格稼働 「微博タオバオ版」リリース」が紹介しているので割愛します。今回は連携の正の面と負の面について考えてみたいと思います。


■正の面

まず、正の面としては新浪微博(Sina Weibo)にとって収益化は一昨年以来の最重要課題であり、昨年あたりから先んじて独自に微博上の広告や『お財布ウェイボ』などのEC系の事業を開始してきましたが、中国EC最大手のタオバオのプラットフォームと連携することで、より協力にEC系の事業を強化し、ソーシャルコマースを推進して行く加速器になることは間違いありません。

そしてタオバオにとっても宣伝活動の場として新浪微博を有効活用できるようになり、出店者に便宜を図れる他、双方のアカウント情報共有なども行われますし、新たな購買者層を新浪微博から取り込んでいけるようになりますし、出店者と購買者のやり取りを新浪微博上で展開するなどといったことも可能になります。


■負の面

ところがそういった連携が進んでいくと負の面として、タオバオ側の利用者には影響が少ないでしょうが、新浪微博側で買い物などに興味のないユーザーが商売っけの出てきたサイトに嫌気をさして離脱してしまうユーザーが続々と出てくる、という可能性も逆に出てきます。これを”毒化”などと表現している記事もありました。
新浪微博に限った話ではないですが、全体的にウェイボ離れが少しずつ起こり始めていることは昨年末の記事でも指摘しましたが、実際にカバー出来ている人数が落ちてきているというデータが易観国際から公開されてもいます。

20130809_写真_中国_
易観網の報道

2012年以前の状態も知りたいところなのですが、直近の6月に先月、先々月などと比較するとガタッと落ち込んでおり、春節などで利用者が急減した2月の水準をも下回っています。こちらは最近日の出の勢いの微信(WeChat)にユーザーの関心が移ってしまっているということも大きな原因でしょうし、来月以降のデータも注視していかないといけませんが、非常に気になるところです。

新浪微博は将来的に単独でのIPOを目指している、などとも言われていますし現状広告に頼り切りの現状を打開すべく、こういったEC連携やその他事業を今後も推し進めていくのでしょうが、 そういったものを嫌うユーザーの離脱に歯止めをかけながら推し進めていくことが求められます。

2012年はアクティブ率向上と収益化の目処をつけることが最大の課題でしたが、収益化の目処自体がたった今年は『収益化とユーザー離脱』のバランスをとっていくことが最大の課題になるのかもしれません。 EC連携含め今後も様々に注視していきましょう。

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*本記事はブログ「中国ソーシャルメディア雑記」の2013年8月8日付記事を、許可を得て転載したものです。

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