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節約ブームで月餅バブル崩壊か?キラキラ左派・薄熙来と地味左派・習近平―中国

2013年08月27日

■節約ブームで月餅バブル崩壊か?キラキラ左派・薄熙来と地味左派・習近平―中国■


節約王・習近平によって、今年の中秋節は地味地味なものとなりそうだ。


■月餅クライシス

中秋節といえば、月餅を送るのが中国の習わし。今年は9月19日が中秋節となる。

贈答品のふりをした付け届けになっていることも多く、値段が高いものほど売れるとまで言われていたほど。燕の巣入り、金粉入りのゴージャス月餅や、高級ワインとセットになった月餅ギフトボックスが飛ぶように売れていた。超高級月餅だと、お値段も888元、8888元などちょっと縁起の良い数字にするのが好例だ。

また月餅券という商品券も存在する。指定のお店に行くと月餅と引き替えられるという代物だが、こちらは回収業者に売ると手軽に現金化できるので賄賂としてもぴったりだ。
(中国のギフト券文化は記事「商売の天才・中国人が生み出したミラクルビジネス「蟹券」が面白い―中国」に詳しい)

だが今年は中秋月餅市場に異変が起きているという。反汚職官僚、反浪費、反華美、節約万歳を掲げる習近平政権下で高額の贈り物をするのはよろしくない、むしろバッシングされるきっかけにもなりかねないと買い控えが広がっているという。


■月餅リサイクル

ブログ・呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記の記事「中国の月餅バブル崩壊?」によると、

シャングリラホテル、ペニンシュラホテル、リッツカールトンホテルといった高級ホテルによりますと、こういった政府関係や国有企業からの注文が前年比50%以上下落しており、ホテルによってはほとんどなくなっているところもあるようです。この他、最近医薬会社の賄賂問題が話題ですが、医薬会社からの注文も激減しているそうです。今年は銀行や外資企業からの注文が多いそうです。

とのこと。面白いのは付け届け需要の低迷を予測したリッツカールトンは値段を下げ、外資企業、個人需要向けの販売を強化したところ順調だとのこと。できる企業は違う。

一方、ダメな企業対策で笑えない話も。27日付解放日報によると、上海市当局は月餅生産企業に売れ残り月餅の廃棄について明確な記録を残すよう通達した。大量の売れ残りを月餅の原料として再利用することを警戒しての通達だという。


■習近平パワーでテレビ特番も中止に

ついでに中秋節には中国各地のテレビ局が文芸晩会(多くのタレントを集め、歌やダンス、漫才などを見せる番組)が開催されるが、こちらも今年は地味なものとなりそう。

中国共産党中央宣伝部など5部局が「豪華な見栄張りの制止と晩会と記念日イベント演出の倹約提唱に関する通知」を発表した(新華網)。政府の金を使ってゴージャスなイベントを開くな、芸能人を呼ぶな、国有企業などに割り当てを決めて金を徴収するなといった内容だ(
ブログ・佐々木智弘の「中国新政治を読む」2の記事「またまたレベルの低い華美な晩会禁止令」に詳しい)。

通達が出されてから迎える初の祝祭日が中秋節というわけで、テレビ局も及び腰になっているようだ(RFI)。バラエティ番組の雄・湖南テレビはすでに中秋節の文芸晩会中止を決めたという。また開催は決まっているCCTVも「地方政府の金は一銭たりとも使わない」とわざわざ宣言している。


■キラキラ左派と地味左派

本サイトでも繰り返し指摘してきたが、習近平政権は毛沢東時代を回顧する傾向と左派色を強めている。先日、裁判があった薄熙来と同じではないか、などとも揶揄されているが、しかし同じ左派的傾向といっても方向性は異なる。

薄熙来の推進した唱紅(革命歌推奨)キャンペーンは、山のように人をかき集め全員に真っ赤なユニフォームを着せたりと大変大がかりなもの。公式発表ではのべ8000万人が参加したと発表されているだけにその費用は推して知るべき、だ。また低所得者向け住宅の整備や大がかりな市内緑化などお金のかかる政策を好んだのも特徴。

20130827_写真_中国_月餅_

一方、習近平は節約王としてあれをしない、これをしない、それをやらせないという倹約策ばかり。薄熙来が重慶で始め、その政策をぱくった温家宝が全国規模で推進した低所得者向け住宅のような、お金のかかる施策にはあまりコミットする姿勢を見せていない。

「文革的」と称される薄熙来と習近平だが、その派手さと地味さという両極端はそのまま文革の“記憶”の両側面を描き出しているように見える。文化大革命の大号令のもとに騒がしく大がかりななにかが起きているのが表側だとしたら、貧しい中でも人は家族やご近所のつながりを大事にして強く生きていた的な世界が裏側にある。チャン・イーモウの映画「活きる」など、文革期の生活を描いた中国の映像作品は少なくないし、極左的な文革賛美とは一線を画した、「昔は良かった」的、三丁目の夕日的な懐旧を持つ人も一定数存在する。

共産党の正統性を主張し民意をとりつけるための方便として、薄熙来や習近平の左派的振る舞いがあるのだとしたら、より多くの人々の支持を勝ち取るのはキラキラ左派だろうか、それとも地味左派なのだろうか。

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 コメント一覧 (1)

    • 1. 名無し
    • 2013年08月27日 21:48
    • 3
      賄賂体質が、治ればこの国も持ち直すか?
      まあ…遅すぎたし治らないだろうな~~(笑)
      中国人から賄賂とったらもう中国人じゃないよ~~(笑)

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