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なぜ中国アニメには日本と違って貴族・名家キャラが出てこないのか?中国人オタクの疑問(百元)

2013年09月26日

■中国オタク「ウチの国は貴族や名家のキャラ、ネタが珍しい気がするんだけど」■

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■なぜ中国アニメには貴族、名家が出てこないのか?


日本の感覚ではあんまり意識することのない作中の設定やお約束というのがイロイロとあるかと思いますが、中国オタク内では時たまそういったことに関する疑問が湧いて来たり、その背景に関する考察が行われたりするようです。

先日、中国のソッチ系のサイトを巡回していて「日本のアニメや漫画では貴族や名家という設定のキャラが珍しくないが、中国の作品では珍しいような?」といったことに関するやり取りを見かけましたので、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

あくまで私の見た限りでの話だが、ウチの国は「貴族、名家ネタ」或いはその設定のキャラが出てくる作品が珍しいような気がする。無いわけではないが貴族ネタが出てくるとしたらほとんどが宮廷劇でその他のジャンルにはほとんど出てこないような気がするんだけど、みんなはどう思う?

言われてみれば、国産の作品だと確かに少ないかもしれん。日本のアニメや漫画、ゲームではわりと珍しくない設定なのに。

だって、その題材だと審査で引っかかりそうだし……!

そら「階級矛盾」をヘンな方向で強調しちゃあいかんだろ。貴族キャラが仲間になって良いヤツになったらマズイし、下手に人気出たらもっとマズイ。


ウチの国で偉いのは党の関係者とか幹部とかだもんなーでも金持ちキャラならともかく、そういうキャラ出したらダメだろうな。そういうキャラは大体は権力や財力を誇示してネタにされたりやられ役になるんだし!

作り手もそうだし、受け手の関係もあるんじゃないかな。日本の作品は受け手の年齢層が幅広いが、ウチの国は基本的に子供相手だし、子供向けの分かり易い話になってしまう。

そもそも、ウチの国のアニメって動物キャラばかりで人間のキャラは少ないし、良いキャラ、記憶に残る人間キャラだと更に少なくなるから、あんまり需要の無い貴族キャラはいない、仮にいても印象に残らないんじゃないだろうか。

日本は子供向けの作品でも貴族、名家系のキャラが普通に出ているぞ。ちょっと考えてみたがウチの国も家系が千年以上余裕で遡れるヤツとかはいたりするが、家柄によるイメージやプラスの要素ってあんまりと無いよね。

ウチの国には官僚閥とかはあるけど貴族は無いだろ。とっくの昔に滅んだ。

西洋の貴族とは違うが一応古代に戦争していた層は貴族と言えなくもないかな。しかし貴族の血、例えば孔子の家門とかは残っているかもしれないが、貴族の意識は残ってないんじゃないだろうか。

西洋系の貴族とウチの国の士大夫は違う存在だし、ウチの国では貴族に関しては途絶えているから、娯楽作品の題材にするには使い勝手が悪いんじゃないかな。宮廷劇も後宮を舞台にした作品だったりするから、貴族キャラだとかいう話とはちょっと違ってくると思う。

日本は大名などの統治階級が続いたし、明治維新でも貴族制度を導入したから貴族と言う概念がある程度浸透しているんだろう。だからアニメや漫画でもそういった要素が受け入れられるのではないかと。

封爵制度がウチの国だと古代のイメージだしな……貴族と言う言葉でイメージされるのは西洋のモノになってしまうから、ウチの国だと作品を作り難いんじゃないかね。

貴族階級に関してはウチの国だと南北朝までだよね。欧米系ファンタジー作品とかでもない限り貴族っていうのは世界観的に使い難い。これに関しては国ごとの背景の違いじゃないかな。日本のアニメでは武侠が出てこないようなもんだ。

貴族に限らず白人以外が西洋のファンタジー作品を作っても笑いのネタになるだけだろ。お前ら、もしウチの国の士大夫を欧米人がネタにしたらそれを気分よく見ることができるのか?

宮廷劇以外にも貴族ネタが無いわけではない。自分は幾つか見た覚えがあるが……面白い作品、ある程度知られた作品だと無いかもしれん。

貴族に限らず、西洋系の設定って悪くないと思うんだけどなぁ……ウチの国の国産の題材はもう使い古されているような所もあるし、そこにうまく取り入れれば新鮮な魅力になると思ってしまうんだけど。

西側の貴族意識とかウチの国には無いし、そう簡単にウチの国の文化に合わせて使えない。ゲーム的なファンタジー世界観くらいならまだいけるとは思うが。

この辺に関してはむしろ日本の作品が、無差別に取り込みまくり過ぎているんじゃないかと思う。日本のアニメや漫画、フリーダム過ぎるよ!貴族の概念に関しても、アニメや漫画の舞台装置として都合よく設定しちゃってるし!

ウチの国で貴族や名家なんかのキャラが出てこないのは、その設定によるイメージがこっちではあんまり強くないからだろう。貴族や名家の設定だからキャラとして何の強みが、何の利点があるのかという話になる。逆に言えば、日本の作品は血統による才能や特典が非常に重視される作品が多いし、そこん所は社会的な感覚の違いだろう。

まぁそうだよな。結局は社会や文化的な違いというか……概念に関する知識はあっても実感は無いというか……自分もあまりうまく言えないがそういったもんだと思う。

考えてみれば日本のアニメや漫画に出てくる貴族や名家とかそういうのも、欧州の正統な貴族がどうのとかいうのではなく、日本の感覚のものなんだよな。しかしふと、自分がそれを受け入れているというのが何とも恐ろしい。「黒執事」とか最初はネタにしか思えなかったはずなんだけど……

日本で作られた作品なんだから当然だけど日本の作品は欧米のイメージや用語の皮をかぶっているだけで、実際は中身全部日本人と日本の話だ。ただ日本を強く感じさせる要素が少ないというのもちょっと不思議。パッと見では無国籍だし貴族に関しても「ヘンな貴族」「妙な設定の貴族」程度に考えてしまう。

まぁ、日本は独自の文化的表現や要素があるのに加えて様々な地方の歴史やら伝説やらを取り込んで新しい世界観を定義しちゃうからね。アーサー王が女性になったりする話とか、他の国ではまず無理だろ。ただあそこまでやれとは言わないが、ウチの国のアニメのジャンルや扱う題材に関してはもうちょっと広げてもいいんじゃないかと少し思ったりも……

とまぁ、こんな感じで。


■ありがち要素にも国の違い

アニメや漫画ではありがちな要素の中にも社会的、文化的な背景、それによる認識の違いなどがイロイロと出てくるものがあるようです。

貴族や名家ネタとは逆に、上の方で出ている中国で一般的な武侠ネタなどは日本の作品では珍しい部類に入ると思いますし、こういった違いに関して考えてみるのも面白そうです。

ただこういった馴染みのない要素に関しても、作品を見て楽しむ上では案外何とかなるというか、「そういうものだ」と何となくタカをくくって見てしまうことも可能ですから、作品の出来次第である程度までは問題無しにできるのかもしれませんね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年9月6日付記事を、許可を得て転載したものです。

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