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習近平の汚職対策はすばらしい!社会主義仲間・ベトナムの評価(いまじゅん)

2013年12月24日

■汚職対策は中国に学べ!?ーベトナムの人気政治家訪中の意図■


■汚職対策は中国に学べ?!

共に社会主義、共産党一党独裁の国であるベトナムと中国、ベトナムが中国を参考にすることは色々あるのでしょう。でも、「これも中国に学ぶの!?」と思うようなテーマもあります。それはずばり「汚職対策」。BBCベトナムは、NguyenBaThanh内政委員会主任、汚職防止中央指導委員会副委員長の訪中を報じています。

NguyenBaThanh主任は12月16日から中国・北京、上海を公式訪問。孟建柱・政治局委員、中国共産党政法委員会書記と会談しました。孟書記はは中国における警察・司法を所管する立場にあります。またThanh主任は中国共産党中央規律検査委員会(中紀委)関係者とも会談しました。

中紀委は共産党内の組織ですが、社会主義らしく司法に優先するポジションにあります。汚職官僚の摘発ではまず中紀委が取り調べし党内処分を下した後に、司法手続きへと移るのです。その中紀委ですが、KINBRICKS NOWによると、現在、権限を拡大中。その中紀委とのミーティングなのですが、ベトナムにもフィードバックされるのでしょうか。

実はベトナムも汚職対策指導委員会を政府管轄から共産党傘下に今年移管したばかり。中国の動きはベトナムにとっても大いに気になるところなのかもしれません。習近平の指導による共産党の「生死をかけた」反汚職闘争、そして政治局員だった周永康氏への捜査が続いているというタイミングでのThanh主任の訪問だけに、BBCも注目しています。

20131224_写真_ベトナム_汚職_
*中国の季建業・南京市長拘束を伝えるベトナム紙の報道。大きく紙面を割いています。「市民が大喜び」とのタイトルで、何となくタイトルも嬉しそうな雰囲気です(笑)


■「悪い奴らにゃあ容赦しない」の人気政治家

そもそもこのThanh氏はダナン市での積極的な行政改革、「悪い奴らにゃあ容赦しない」的な発言で人気を得てきた政治家で、共産党防止委員会の下に今年新設された内政委員会の委員長にも抜擢され、中央政界にやって来ました。

現在16人であるベトナム共産党最高幹部である政治局員にはなりそこねたとは言われていますが、国民から人気がある数少ないベトナム政治家といえるでしょう。ただ今回の訪中はベトナム通信社系がさらっと伝えている程度で、その他メディアはほとんど反応していません。彼の言動は割と話題になるのと対比すると、多少抑えられた報道になっているのかと推測されます。

中国メディアは時にベトナムの改革を引用、自国の改革の停滞をあてこすることがあります(参考記事)。その合わせ鏡のような関係ですが、ベトナム・メディアもまた中国の動きはよく取り上げます。もちろん領土問題では徹底的に中国に批判的ですが、最近の習近平政権による「反腐敗」への意気込みに関しては、「うちの国もこれくらいやってくれたら……」と暗示するような取り上げ方です。

周永康の捜査についても、商業系メディアはかなり詳細に取り上げたがっているようです。「中国にはやっぱ悪い奴がいるもんじゃのぉ」という煽りに加えて、「隣の中国ではこういう悪い奴はちゃんと捕まっている、それに引き換え……」という示唆することで、国内問題にも引きつける。こうした手法はベトナムメディアの常套手段です。


■社会主義もつらいよ、ぼやきあえる中越の関係?!

メディアだけではなく、ベトナム官僚からも中国を評価し自国を批判する声も。

先日の記事「50万ドル横領で死刑、厳罰は一罰百戒のいけにえなのか?―ベトナム」で取り上げたVINALINES元総裁の死刑判決。この問題について、国会科学技術環境委員会常務委員のTranThiQuocKhanh氏はTuoiTre紙の取材に答え、「裁判に時間がかかり過ぎている、韓国や中国は厳正にやっているし、中国では相当ハイクラスでも捜査の手が及び、死刑判決も出ている」とコメントしました。

北朝鮮と比べれば一応裁判という手続きを踏んでいるとはいえ、経済犯罪を犯した汚職官僚にあっという間に死刑を科したベトナム司法にはツッコミたくなりますが、ともあれ汚職対策を強調し、最近の中国の動きをグッドプラクティスと見る視点は広く共有されています。

「汚職対策を中国に学ぶんかい!」というツッコミはともかく、中国はたんに自国批判のあてこすりのための材料を超えた重要な参照枠となっています。というのも、中国とベトナム、同じような独裁体制の中でどのように程良い程度の自浄作用を作り出し、国民の信頼を維持することができるかは共通の切実な課題です。

特にポイントは「ほどよい」という部分で、やりすぎては体制そのものを壊しかねないだけに程度が重要です。ですから、この点では結構腹の割った意見交換がなされているんじゃないのでしょうか。「お互い結構大変っすよね」とぼやきあっているのでは、などと想像させられます。

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*本記事はブログ「ハノイで考えたこと」の2013年12月21日付記事を、許可を得て転載したものです。

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コメント一覧

    • 1. pleco
    • 2013年12月24日 16:02
    • 昔は中越関係といえば犬猿の仲だったのですが、今は政府間も結構仲いいんですね。
    • 2. いまじゅん
    • 2013年12月25日 00:48
    • >plecoさん

      今も基本は犬猿の仲です。特に一般的な国民感情は(偏見も含め)かなり悪いです。ただ、政府レベルでは明らかに近い課題を共有していて、相互に(と中国側は思っていないかもしれませんが)学ぶことは多いと認識しているようです。現実的な外交をするベトナムですから、国民感情には配慮しつつも、政府レベルでは上手に付き合っているという感じでしょうか。
    • 3. chongov
    • 2013年12月25日 04:09
    • いまじゅんさん

      南シナ海諸島領有権紛争があるから、中越関係もうまくなかった。
      しかし、中日関係や中印関係と違う、中国もベトナムも専制政治の国ですから、体制的な親切感があるかも。ベトナムの国会改革に対して、中国のリベラル派ネチズンも「中国はベトナムに学ぶべき」というコメントがあるけど、中国政府はそんな改革が嫌いを思うです。
    • 4. いまじゅん
    • 2013年12月26日 01:49
    • chongovさん

      自分も以前に以下のようにキンブリックスさんに転載してもらった記事を書きました。中国の有識者の中にはベトナムでやっていることが面白い、参考になると思っている方はいるようですけど、主流派になるのは難しいんでしょうね。

      http://kinbricksnow.com/archives/51704039.html

    • 5. chongov
    • 2013年12月26日 08:09
    • いまじゅんさん

      ベトナムはフェイスブックやツィッターに対する制限がないけど、中国はそんな制限があります。それ以上、中国は自国版のレンレンやウェイボーを作りました。もし開放したら、多分中国のネットユーザーもウェイボーを捨てるかも。

      政治改革といえば、ベトナムもかなり努力するが、腐敗問題は中国より厳しい、それは間違いない。でも、ベトナムは確かに中国から過小評価された。ベトナムの一人あたりGDPは中国の25%しか過ぎないですが、ネットや携帯電話の普及率は中国と同じレベルだ。

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