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2014年01月07日
2013年12月27日、ニュースサイト・駆動之家によると、中国文化部がゲーム「バトルフィールド4」を国家安全に危害を与える文化侵略ゲームと認定。ダウンロードサイトや攻略情報サイトに削除を命じた。
この「バトルフィールド4」だが、サブタイトルは「チャイナライジング」(中国の台頭)。「中国の過激派がクーデターを起こし中国全土に戒厳令が……」というストーリーを読むと中国当局がお怒りになるのもわからないではない。
*公式トレーラー。「敵のためにオモチャや靴、国旗まで作らされる屈辱を忍んできたが反撃の時やで~」という中国語ナレーション。ちなみに日本語字幕がむちゃくちゃで、「越王勾践、臥薪嘗胆の末に呉国を滅ぼす」が、「「踊れない者に剣を与えるな」と孔子は言った」という誤訳を超えた「創訳」になっている。
中国市場で売れなくなったら困るのではないか……と心配してみたが、どうやらこのバトルフィールド4は中国市場では公式販売していないとのことで一安心。ファンが勝手に並行輸入品で遊んでいるという状況で、中国文化部がちょっとやそっと禁止令を出したぐらいでは何も影響はなさそうだ。
中国は厳格なメディア規制を導入しているとはいえ、ゲーム、しかも正式には中国国内で販売されていない代物にまで目くじらを立てるのは珍しい。「バトルフィールド」シリーズの中国での人気の高さを証明しているとも言えるが、「たまたま目についてしまった問題」というのもありそうだ。
中国軍の機関紙・解放軍報は2013年12月5日、「正義と真実で“ゲームの悪魔”を追い払え」という厨二病全開のタイトルの記事を掲載しているが、実はこれが「バトルフィールド4」批判である。駆動之家はこの記事が発端となって中国文化部の禁令に結びついてしまったのではないかと推測している。この記事は「私たちの身の回りの“兵者の大事件”」シリーズの一つで、おそらく軍人さんの投稿記事。ゲーム好きの軍人さんの投稿がたまたま採用されたことが「禁令」にまでつながった可能性があると思うと、なかなか興味深い。
ちなみに解放軍報にはこの手のネタが多く、昨夏には「パシフィック・リムは日米同盟を描いたプロパガンダ映画だった、モンスターは中国の暗喩―中国軍機関紙」という楽しいネタも。まあパシフィック・リムは正規の検閲をくぐり抜けて上映が許された映画作品であり、またバトルフィールド4のように表だって中国を批判している内容もなかったので大事にはいたらなかった。
とはいえ、「えらい人がたまたま気づいてしま」うと大変なことが起こりかねないのが中国。バトルフィールド4の禁令は改めて、そうしたチャイナリスクを認識する事件と言えそうだ。
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