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「私は死んで当然の小日本です」日本の子どもの言葉”から考えるネタとしての反日―中国

2014年01月15日

■“「私は死んで当然の小日本です」日本の子どもの言葉”から考えるネタとしての反日―中国■


レコードチャイナが2014年1月13日に配信した記事「日本人小学生の放った言葉に中国人家族が絶句、「われわれの愛国教育は間違っていた!」―中国メディア」が話題です。日中国際結婚カップルの子ども、俊夫くん(小学1年生)が中国の親戚の家を訪ねた時のエピソード。いとこの鵬鵬くん(小学3年生)が無邪気な悪意を炸裂させ、大人たちは仰天したという筋書きです。

このレコードチャイナ記事は、本サイトの2013年3月7日付記事「「私は死んで当然の小日本です」我が家にきた日本の子どもの言葉に凍り付いた―中国」と同じネタを参照しています。この記事は本サイトでも最もアクセスを集めた記事の1つで、多くの人に目にとまっていたもよう。

というわけで、なんで同じネタが1年越しで出てくるの?と疑問を持たれた方も多いようです。他にもデマじゃないのか?中国の民間人は理性的だというプロパガンダではないのか?……などなどのいろんな反応があるようなので、ちょっと背景を整理してみます。


■中国ネットの転載文化

ウェブでのニュース記事の転載は日本でもあります。2chやまとめサイトへの転載がその最たるものでしょうし、個人ブログで気になった記事を全文貼り付けている例もあれば、全自動で記事を収集、転載して作られるボットのようなブログもあります。

ですが、中国ネットの転載は日本をはるかに超えています。まず第一にコピペを仕事とする商業ブログ、ネット掲示板が大量に存在します。人民日報の人民網、環球時報の環球網など、中国の紙メディアは現在、ウェブサイトを持っている例がほとんどなのですが、そうした大手メディアであっても、情け容赦なく他メディアの記事を転載。おいおい著作権は大丈夫なの?と気になるところですが、中国ではニュースメディアによる転載は法的にOKなのです。一昨年ぐらいに転載に関する政府通達があったのですが、その内容は「転載禁止」ではなく、「転載する時は出所と元のタイトルを明記してね」というものでした。

日本でいうヤフー的なポータルサイトもあります。日本のヤフーは出稿元にお金を払っているわけですが、中国のポータルサイトは無料で転載ざんまいであります。

さらにネット掲示板の転載もあります。日本の2ちゃんねるに比すべきトップシェアの掲示板といえば、百度Tiebaでしょうが、それ以外に有象無象の掲示板サイトがごまんとあります。**大学掲示板とか、**団地掲示板といったローカル掲示板がまだまだ勢力を持っているのです。

こうした掲示板での転載ですが、面白い記事をみんなと共有したいという熱意による転載もあれば、「転載記事のアクセス数が上がれば君のランキングがアップ!」といったゲーミフィケーション的システムに支えられた転載もあります。掲示板に雇われたエディターによる転載もあります。

もちろん個人サイト、ブログの転載も盛んです。なにしろ中国はネット検閲のお国柄。オリジナルの記事がいつ消されるか分からないので大事な記事は転載しておくのが吉なのです。


■中国ネット民のニュースの読み方とグーグルの敗北

日本ではある記事が転載されたとしても、検索すればオリジナルの記事に行き当たる可能性がそれなりに高いと言えましょう。ひとえにグーグル様のがんばりにかかっているわけですが、中国ではこれが壊滅的。オリジナル記事を探し当てるのはベテラン・ネットユーザーのみが習得しうる秘儀であり、普通の場合は「検索……2万件ヒットしました……(泣)」といった数の暴力に敗退します。ちなみに俊夫くんと鵬鵬くんの記事ですが、ググったら1万8000件ヒットでした。

また中国ネット民もオリジナルを読むという習慣が薄いのです。例えば私が「千葉県千葉市稲毛区公団ネット掲示板」の住民だったとしましょう。するとそのネット掲示板に貼られたニュースを消費する、それ以外だとSNSで友達がシェアしてくれたニュースを読むぐらい。ニュースに関心がある人ならばポータルサイトにも目を通すという行動が一般的です。

余談ですが、こうした転載の嵐に巻き込まれることで、オリジナルのウェブサイトへのアクセスは極小となっています。例えば中国でも良質なニュースを提供していることで知られる南方週末など、それなりに話題となっている記事でもアクセス数は数百程度しかないことはざら。となると、売り上げはうまい棒数本程度しかないはずです。


■なぜレコードチャイナは1年越しでこのネタを取り上げたのか

前置きが長くなりました。上述のような中国転載文化がわかると、レコードチャイナが1年越しで記事を取り上げた理由もわかるのではないでしょうか。つまりこの1年間、えんえんと転載が繰り返された、あるいは日中関係が悪化するたびに同じ記事が引っ張り出されてきたのであり、たまたまネタ探ししていたエディターさんの目にとまったというだけのことなのです。

中国のネットでは引きが強い、アクセスが見込める記事が何年間もえんえん転載が続くのはそう珍しい話ではありません。こうした生命力の強い記事ですが、私が取り上げたor印象に残っているものだけでも以下のようなものがあります。

「中国人愛国者、日本右翼の大立者を刺殺し娘をレイプ」
「ロシア人美女は中国男との結婚を希望」
「大和撫子、中国男との結婚を希望」
「日本AV女優、侵略の罪をわびるべく体で中国人に謝罪」
「日本の悪魔的戦略、埋め立て地に石炭を埋蔵しつつエネルギー資源を輸入、中国の資源枯渇を狙う」


■このネタは実話なのか?デマなのか?

わからん。

としか言えないわけです。ただ言っておきたいのは転載が重ねられようと、あるいはまったく盛り上がらず転載されなかったとしても、ネット掲示板の書き込みの真偽を確かめることはきわめて困難だということ。山ほど転載され、テンプレート化したコピペのような存在となったことでデマだろうとおっしゃる方もいるわけですが、そもそも転載の有無と真偽は別問題だということです。

そして中国の人々もそれなりにありえる話だと思うがゆえにこれだけ転載されているということです。


■でもありそうな話なんですよ

真偽はわからないわけですが、ただ中国に深く関わる人ならば、あってもおかしくない話だとは思うのではないでしょうか。

この俊夫くんと鵬鵬くんの物語、素直に読むと無邪気に悪魔性を爆発させる鵬鵬くんに目がいってしまいがちですが、むしろ注目すべきは鵬鵬くんを叱りつけたご両親の態度でしょう。

ぼくも説明した。先生が話したのは歴史の話でね、今は日本と中国の関係は改善したんだ。我が家に来た日本の子どもは善良な友人なんだよって。

そうしたら鵬鵬はもっと怒り出した。じゃあなんでちょっと前までパパもママも毎日家で日本が中国の土地を奪っただ、日本製品ボイコットだなんて話していたの?

日本人のお子さんがやってきたら親切に接していた鵬鵬くんのご両親ですが、「日本、許すまじやで」「ボイコットせなあかんね」などと日常会話のネタにしていたわけです。

これって中国人と深く付き合うと本当にたびたび接する状況で、日常会話の潤滑油として、あるいは飲み会のネタに詰まった時の話題としての日本バッシングというのは存在するのです。かつての日本で存在した「昨日、巨人は負けてしまいましたね」的な、誰もが共有できるネタとしての反日というのがあるのではないか、と。


■ネタとしての反日

最近、ネタとしての反日を語る上で、なかなか良い素材を発見しました。それが下記のポスターです。

20140115_写真_中国_俊夫

これはネットショッピングモールで販売されている「個性的クリエイティブ・ポスター、文革パロディ、レストラン用」という一品であります。メッセージの内容は以下のとおり。

本店、7つの約束
1:金は奪ってもエロいことはしません。
2:本店従業員は弱者です。信頼できます。
3:民族蔑視はしません。
4:日本製品は売りません。
5:本店の味は群衆から離れません
6:本店は社会主義栄辱感を厳格に守ります。
7:本店は絶対にニセ札をおつりにだしません。

パロディとうたっているとおり、文革とはほど遠い内容。それどころかネットユーザーに親和的な、ある種の「おしゃれ感」に即しています。「本店従業員は弱者です。信頼できます」というのがわかりやすい一文でしょうか。つまりは金持ち、権力者は信頼できないという感覚ですね。

で、そうしたネットユーザー的おしゃれに「日本製品は売りません」という一文が入っているとぎょっとします。基本的には「日本製品(=高級品)を売るようなハイソなお店やないんやで」ということなんでしょうが、そうしたこじゃれた(?)言い回しの中にも、日本ディスがひそんでいるわけです。

この手の、ネタとしての反日も日本人としては切ないものを感じるのですが、子どもはもっと残酷です。ネタとマジの区別がつかなかったりするわけで、大人たちのネタ・トークを小耳に挟みつつ、無邪気な反日モードに移行したりするわけですよ。

個人的にもまだ幼稚園ぐらいの男の子に「お母さんーーーー!日本鬼子がいたよーーーー」とスーパーで触れ回られた時の切なさは忘れられません。

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コメント一覧

    • 1. のあこ
    • 2014年01月19日 15:24
    • こんにちは☆

      日本鬼子がいたよー、と言われたあとはどうなったのか知りたいです。
      お母さんの反応はどうでしたか?
      主様は何かおっしゃったのでしょうか(^_^;)。

      なかなか切ない出来事でしたね

      私ならどうするかなぁ・・・。
      子供は好きだから、「鬼子じゃないよ~」って言いながら抱っこするしかないかなぁ(^_^;)。
    • 2. Chinanews
    • 2014年01月28日 14:14
    • >のあこさん
      お母さんやら周りの大人は恥ずかしそうにしていましたね。たぶん陰口だったので、子どもが素直に口に出すとは思わなかったんじゃないか、と。私も気の利いたことが言えればよかったんですが、何も言えず。。。

      抱っこして遊んであげる、っていうのは結構正解だったかもしれませんね。

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