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【講演会紹介】越境者とリベラル知識人が語る現代中国

2014年04月22日

■越境者とリベラル知識人が語る現代中国――映画上映会と講演会のお知らせ――■


阿古智子さんからご案内いただきました。映画「亡命」ダイジェスト版の上映会と栄剣氏の講演会です。

越境者とリベラル知識人が語る現代中国――映画上映会と講演会のお知らせ――
日時:2014年5月9日 18:30 ~21:30
会場:東京大学駒場キャンパスKOMCEEレクチャーホール
申し込み方法:事前申し込み不要
告知サイト:http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/events/20140417112908.html
問い合わせ先:chinaforum201405●gmail.com(●を@に変えてください)
 
今や世界第二の経済大国となった中国。貧困にあえいでいたかつての姿を思いかえせば、中国の高度成長は「奇跡」とも言われるほどであり、多くの人々に希望をもたらしたと言えます。その一方で、天安門事件などを契機に、生まれ育った国を離れ、現在も祖国の地を踏むことのできない作家、画家、文化人がおり、迫害され、国を出た少数民族などを含めると、亡命者は数十万人に上るとも言われています。そして、その「亡命大国」は「移民大国」という側面も有しています。思想・言論統制が強化される中、政治に対する不信や不安から、国を去り、国籍を変えることを決断する人もいます。

「越境者」となった中国の人々は、中国が歩んできた道をどう見ているのでしょうか。また、今の中国の何を問題と考えているのでしょうか。映画「亡命」に登場する人たちは、映画を通して何を語ろうとしたのでしょうか。

本イベントでは、映画「亡命」のダイジェスト版を鑑賞した後、中国の思想・言論界で注目されているリベラル知識人の栄剣氏による講演を行います。栄剣氏には、中国・日本の国内における変化を見据えた上で、日中関係をどうみるかについてお話いただきます。その後、映画「亡命」の監督である翰光氏を交え、フロアの方々と討論を行います。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

映画「亡命」ですが、私は2012年に拝見しました。弾圧され故国を離れざるを得なくなった中国の亡命者たちが現在の中国をどう見ているか、がメインテーマなのですが、それ以上に興味深かったのは亡命者たちがどんな家に住み、どんな服を来て、何を食べているのかといった背景。海外で地位を得たものもいれば、故国への思いと経済的困難にさいなまれている人もいるわけでして。体制を批判する者たちの格調高く中国政府を批判する文章からは見えない一側面が大変興味深かったことを覚えています。

また講演者の栄剣氏は王道の“憲政推し”論客という印象。日本をぶっ倒して中国を取り戻した、人民をくわせるようになったという「中国共産党の正統性」が力を失うなか、ある程度の民主的システムを導入することでしか正統性の回復は見込めないのでは……などと論じられてきたのですが、習近平は「良き共産党の復活」「民主主義の監督で汚職を摘発するのではなく、党の紀律でモグラ叩き的に汚職官僚を撲滅」「最強中国復活の夢」といったドン・キホーテ的とも思える荒技での正統性復活を目指しています。

それは無理でしょとツッコミを入れているのが憲政推しの人々で、例えば栄剣氏のブログエントリー「憲政と中国の政治的合法性の再建」では、延安で権力を握った毛沢東が「新民主主義の憲政」という講話を発表したことをとりあげ、現在の中国の潮流は中国共産党の歴史的遺産をも否定するものだと指摘。「銃、筆、金」という国民をコントロールするツールを失った中国共産党が政治的合法性を回復するには憲政しかないでしょとまとめています。まさに王道と言うべき論です。現代中国の思想潮流においてきわめて重要な重みを持つ“憲政推し”について理解する好機ではないでしょうか。

というわけで、秘密基地のような東大駒場キャンパス地下ホールで開催される今回のイベント、オススメです。


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