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天安門事件シンポ参加の大物知識人が相次ぎ逮捕、警察の“意趣返し”か―中国

2014年05月06日

2014年5月、「2014・北京・六四記念シンポジウム」に出席した人権派弁護士、活動家、研究者らが次々と警察に呼び出しされていることが明らかとなった。うち5人は「挑発騒動罪」(尋衅滋事罪)の容疑で刑事拘留されている。中国政府による新たな取り締まり強化との見方も広がる一方で、メンツを潰された警察の意趣返しとの見方もあるようだ。


■天安門事件シンポジウムの参加者を逮捕


5月3日、 「2014・北京・六四記念シンポジウム」が開催された。参加者わずか20人弱の非公開のシンポジウムだが、天安門事件の再評価を求める意見などシンポジウムの内容はネットで公開された。

異変が起きたのはシンポジウムの翌日のこと。参加者の一人、浦志強弁護士が国保(中国公安部国内安全保衛局)に連行された。その後、次々と参加者が連行されたり、警察の呼びだしを受ける事態が相次いだ。人権派弁護士・滕彪氏によると、警察の呼び出しを受けその後解放されたのは崔衛平氏、郭于華氏、秦暉氏、周楓氏、王東成氏、呉偉氏、王小山氏、劉荻氏、張先玲氏の9人。

胡石根氏、浦志強氏、郝建氏、劉荻氏、徐友漁氏の5人が刑事拘留とされた。罪状はいずれも挑発騒動罪(尋衅滋事罪)だという。


■不可解な逮捕の理由

シンポジウムの参加者はいずれも著名な人権派弁護士、活動家、研究者。中国政府には耳の痛い発言を繰り返す人々だが、同時に逮捕される一線を熟知した上でぎりぎりの活動を繰り広げている人々だ。大学教授など公的な地位を持つ人もいることからわかるように、決して政府と全面衝突しているわけではない。今回のシンポジウムも非公開で十数人が集まっただけのこと。「公共の場所で騒ぎを起こしたり社会秩序を深刻に破壊する」という挑発騒動罪の要件を満たしているようには思えない。

ではなぜ今回、当局は取り締まりに動いたのか。習近平政権は反体制的な発言者を取り締まり政府にとって都合のよい言論空間を作ろうとしており、昨年はネットのオピニオンリーダーが相次ぎ逮捕された。その一環として取り締まりを強化したのではないかとの見方もあがっている。

一方、ウォールストリートジャーナル中国語電子版によると、著名な活動家の胡佳氏はたんなる警察の意趣返しという見方を示している。シンポジウムが開催されることを国安はまったく察知していなかった。これほどの大物たちの活動を見過ごしていたとあっては批判されることは必至。その反動で今回のような激しい動きに出たのではないかと分析している。

この胡佳氏の主張を補強しているのが中国国内の報道だ。新京報が浦志強弁護士逮捕のニュースを報道、大手ポータルサイトも転載している。メディアやSNSには規制がかかっていないようで、政府関連部局一体となっての動きのようには見えない。

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