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異例尽くしの失脚劇、人民解放軍元トップ・徐才厚の党籍剥奪(水彩画)

2014年07月03日

■徐才厚の党籍剥奪雑感■

まさしくキターであります。第17期政治局委員、中央軍事委員会副主席の徐才厚に党籍剥奪処分が下されました。人民解放軍の元制服組トップの失脚という大事件です。

確かに噂はありました。軍に対する党の支配が再確認されたとも伝えられていました。とはいえ、引退した政治局委員が現役時代の問題で党籍剥奪までされるとは……思いもよらぬ事態です。取り調べを受けていたとの報道もありましたが、病気を理由に逃げ切るという見方が有力でしたし。

習近平相手では引退しても逃げ切れないという物凄い前例を作りました。

■立件は軍が担当

まずは新華社による党籍剥奪の告知をご紹介

中共中央、徐才厚に対し党籍剥奪処分を決定
新華社 2014/6/30

6月30日、習近平総書記が政治局会議を主宰。中央軍事委紀律検査委員会による『徐才厚の重大な紀律違反に関する審査報告』の聞き取り、及び『中国共産党規約』『中国共産党紀律処分条例』の関連規定に基づき、徐才厚に対し党籍剥奪処分を決定した。

贈賄罪問題及び、問題の糸口は最高人民検察院が軍事検察機関に権限を委譲し、法に基づいて処理する。

今後、徐の立件を担当するのは軍事検察機関。解放軍総政治部に属する、軍内部の軍事検察業務を行う部門です。新華社の説明によれば軍事検察院は現役軍人、軍内常勤の職員、軍人と共犯関係にある民間人の犯罪を担当するとのこと。文言を読む限り、元軍人の徐は管轄外のはずです。引退した軍高官の立件をどこが担当していたのか、先例がわからないのでなんとも言い難いのですが、本来ならば人民検察院がやるところを「権限を委譲」したということで処理しているのかもしれません。

一般の司法が元制服組トップを裁くという構図を避けたことで軍に配慮したとか、あるいは軍を完全に掌握した証拠だとかいろいろ深読みはできますが、現時点ではまだ断定はできませんね。


■事前手続きなしの党籍剥奪とありがちな容疑

通常、中国では汚職官僚の処分は「紀律違反容疑を発表→公職解任→党籍剥奪」という手順を踏みます。ところが今回はいきなりの党籍剥奪。すでに引退していたので手続きが省略されたのか、それとも別の理由があるのか、ここも気になるポイントです。ただし発表はされていなかったものの、調査自体は3月15日に始まっていたとのこと。容疑は以下のとおり。

職務上の権限を利用し、他人を昇進させて本人もしくは家族から賄賂を得ていた、職務を利用して他人のために利益を図り、その家族から財産を受け取った、党の規律に違反し、贈賄犯罪に関与した。

お金の見返りに階級を引き上げた売官、そして収賄の2つの容疑です。なんともありがちというか、この2つをやっていない高官などいるのかちょっと気になるところです。


■周永康との関連は?

こんなありがちな容疑で失脚するならば人民解放軍は壊滅してしまうわけで、なぜ徐が槍玉にあげられたのかが気になるところ。習近平が軍掌握をアピールするために潰した、軍の紀律引き締めのためのいけにえにしたなどいくつか解釈が考えられるわけですが、気になるのは「そろそろ失脚するはずと言われ続けてはや1年」の周永康関連ではないかという点です。

6月30日に党籍剥奪を受けたのは徐だけではなく、公安部副部長の李東生や蒋潔敏、王永春といった周永康閥の皆さんも一緒です。状況証拠的には周永康絡みでも全然おかしくないわけですが……。

そんな疑惑を書き立てるのが人民日報アカウントがSNSでつぶやいた“失言”。

20140703_写真_中国_


徐の党籍剥奪を報じ、「汚職取り締まりに聖域なし!」と意気込むつぶやきなのですが、「刑要上大夫」(刑罰は大夫にも及ぶ)とタイトルにつけています。「刑不上大夫」(刑罰は大夫に及ばす)とは古代中国における士大夫の特権なのですが、今の中国ではそれをもじって「刑不上常」(常務委員は罰せられない)などとも言われます。これを知っていると、「常務委員だってやったるぞ、次は周永康だ」というメッセージかなと深読みできるのですが……。どう解釈するべきか悩ましいところではありますが、このつぶやきが間もなく削除された点も意味深であります。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2014年6月30日付記事を許可を得て転載したものです。

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