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【雑談】速読本を勉強したら当たり前なことしか書いてなくてがっかりした話……金鰤式読書法(高口)

2014年09月01日

■金鰤式読書法(非エンタメ系)■

■速読法を学んでがっかりした話

超高速で本を読みまくり、デキる人間になりたいっ!

そんな欲望を持っている人も多いかと思います。かくいう私もその一人。というわけで以前は速読法の本をいろいろ読んだりしましたが、その結果はきわめてがっかりするものでありました。というのも自分が無意識でやっていたことだから、であります。

いろんな速読法がありますが、ざっくりとまとめてしまうと、以下のとおりかと。

・文章全体の構造を意識して読む
・何が書いてあるのか、前情報を入手しておくと読むのが早い
・というか知っている話については読むのが早い
・わかんなくてもキーワードをひろいつつ斜め読み。理解したほうがいいところは精読

とまあこんな感じ。


■「知っている話なら読むのも早い」

速読法だけは達人だが教養ゼロ。まったく知らない分野の専門書を読んでも超高速で読めるということは基本ありえない。つまり、ある本を早く読めるようにするには他の本を読んで知識を入れておく必要があるってことであります。当たり前のことですよね。

研究者になると、自分の専門分野の本は超高速で読めるわけですが、それって「一冊の本に含まれている、自分の知らないことがほとんどない」状態だからですね。ここまでたどりつけば、目次と参考文献だけ眺めれば読んだのと同じです。

研究者レベルまでいかなくとも、読みたい本の前知識を入れておいたり、関連する本を先に読んでおくのも有益。速読法の中にはあるジャンルを集中的に読むのをオススメしているケースもあります。知識がたまってどんどん読むのを高速化できるというわけです。将来的には「自分の知っている部分は表示されない技術」を搭載した電子書籍とか出るんじゃないでしょうか。ド素人が読むと3000ページの本なのに達人が読むと3行ぐらいしか書いていないという……。「んな馬鹿な」と思うかも知れませんが、本をたくさん読んでいる人は頭の中で似たようなことをやっているわけですよ。

ちなみに、この「知っている話は読むのは早い」というロジックは、翻訳・通訳でも有益です。知らない分野の文章をどさっと渡された場合、いきなり頭からかじるのではなく、日本語でそのジャンルの概説書を読んでおくと効率が上がります。ちなみにやりすぎると「本人が言ってないのに、本人が言いそうなことを翻訳してしまう」という荒技まで可能。「**の霊言」的翻訳・通訳術ですが、さすがによろしくないのでご注意を。

ただしこうした熟達にはデメリットもありまして、自分の知識に依存して読み進めていくので、「エウレカ!」と叫びたくなるような新たな発見を得られにくくなります。なのである程度物知らずのほうが“新発見”できることが多いわけです。まあ“新発見”のほとんどは勘違いなのですが、その中には本当のブレークスルーが眠っているケースもあります。なので「知らないこと」は一つの武器であることは抑えておくべきでしょう。


■金鰤的読書法実践編

閑話休題。

以上のような速読法ってさ……というあきらめを踏まえた上での、高口の具体的な読書法をご紹介。

(1)読む前にどんな本か、ネットとかさっくり手に入る知識で予習しておく。
(2)目次、はじめに、あとがきを熟読。
(3)本文をざっくり読む。つっかかってもともかく読み進める。一節ごとに目次を見返し、今読んだところが全体のどういう位置なのかを把握しておく。
(4)気になったところ、いいなというところにはとりあえず付箋をはる。
(5)読み終えたら1日2日置いてちょっと忘れてから、付箋を貼ったところを再読。べたべた貼った付箋のうちつまらないところは剥がす。やっぱり気になるところはそのまま。「超イケテる、そのうち引用するべ」というところは読書ノートにメモっておく。
(6)機会があれば飲み会で読んだ本の話をする。読書人であるイケテる私のアピール、ではなく思い出す機会をふやして記憶の定着。ブログとかSNSに感想を書いても良い。
(7)一番大事なこと。つまらん本は容赦なく忘れる。捨てる。高い金だした本でも気にせず捨てる。一番の速読法はダメ本を読まないこと。

という感じであります。


■WEB2.0的CGM的ダメ本読書法

以上、よくある読書法の話をだらだら語ってきたわけですが、最後に最近編み出したネット時代の最新読書法を紹介したいと思います。上述の読書術はある程度読むべき本を対象にしたものですが、ここで紹介するのは「なんとなく読み始めてみたけど超絶つまらなかった本」について。

今までは「激怒に身を震わして本を投げ捨てる」しか方法がなかったわけですが、ネット時代の今だと、

(1)ダメだとわかった時点で即座に読むのを中止。
(2)アマゾンレビューやネットの感想を確認。罵詈雑言レビューを見て、仲間との連帯を感じる。

これです。驚くほどに怒りが沈静化するのでぜひお試しあれ。

なお、自分でレビューを書くのはよっぽどの時以外はオススメしません。というと仲間を裏切っているようですが、批判する場合にはそれなりの論拠を書くのが礼儀であり、「つまらん」「最悪」「ダメダメ」などなどの論拠レスの批判は自分のダメさ加減をさらすだけだからです。

どうしてもこの本のダメさを世界に訴えたいと思った時のみ、時間というコストを支払って本を全部読み、その上で真摯な批判文を書きましょう。正直ダメ本を論評するなんて時間のムダではありますが、その無駄な行為が仲間の怒りを発散させるツールになる……と思って自分を慰めましょう。


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