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危機回避の決定が悲劇招いた、上海将棋倒し事件はなぜ起きたのか?

2015年01月06日

36人が死亡した2014年12月31日の上海市外灘(バンド)将棋倒し事件について。見たところ日本語ではわかりやすいまとめがないようなので整理しておきます。ブログ「中国という隣人」をもとに高口がまとめました。



■プロジェクションマッピング人気と将棋倒し

「年越しカウントダウンイベントに観客が殺到し将棋倒しに」と報じられていますが、具体的にどんなイベントだったか知っていますか?正解はプロダクションマッピングなのですが、なぜか日本ではイベント内容がほとんど報じられていないのが不思議であります。これが分からないと事件のイメージがわかないのですが。

外灘(バンド)は銀行など租界時代の建築が残る上海一の観光地。2011年からはプロダクションマッピングを使ったカウントダウンイベント「4D灯光ショー」が始まります。租界時代の建築の壁にプロダクションマッピングを投影するというオシャレなイベントは爆発的な人気を呼びます。


*2013年の4D灯光ショー。

外灘はもともと人が集まる観光地なのに、さらに人を集めるわ、しかもショーをやっている間は人が動かないわと大変なことに。日本でも2012年に東京駅でプロダクションマッピングを上映、人が集まりすぎて中止になったわけですが、上海でも似たようなことが起きたわけですね。やっぱり人通りが多いところでやったらあかんという日中共通の教訓が得られたわけで。

上海市はそれでも3年間続けてきたわけですが、2014年末はちょっとだけ対策を。これまでは海関大楼という外灘の中心地でやっていたのですが、それを外灘源一号(元英国領事館)という外灘の北端に映しました。この建物は公園のど真ん中にあるので、公園に入れる2000人(チケットは有料)だけにプロダクションマッピングを見せるというこじんまりとしたイベントに変えたわけです。


*2014年の5D灯光ショー。場所が移っただけではなく、4次元から5次元に次元上昇しているが、いったい何が増えたのかはよく分からず。

これで大混雑はなくなったと思いきや、場所の変更を知らぬ人々が続々と去年までの開催地に集合。人はごっそりいるのに、今年はイベントがないからという理由で交通整理の警官は削減されて……。という状況で悲劇は起きたわけです。上海市警察は場所移動の周知徹底が足りなかった、臨機応変に交通整理を強化するべきだったと謝罪しています。


■余談:「どんな大事故でも死者数は35人を超えない」は中国の都市伝説

今回の事故ですが、当初は死者数35人と報じられたこともあって、またぞろ「中国では事故の死者数は35人以下にコントロールされる。さもないと地方官僚のクビが飛ぶため」との都市伝説が日中両国で流れています。その直後に死者数は1人増え36人になったのですが。

以前にも記事「「35人以上死亡で官僚更迭」はデマ=中国紙が解説」で取り上げましたが、これは有名な都市伝説。なにせ中国には事故の数は腐るほどあるわけで、ぴったり35人死亡の事件を寄せ集めて「ほらみろ!こんなにも事例が!」と書いたネット掲示板の文章が広まったという寸法です。

ちなみにデマではない、本当のラインというのも存在していまして「死者30人超で特別重大事故となり、中央政府が調査を担当」「それ以下ならば重大事故として省が調査を担当」という線引きがあります。とはいえ農村で数人お亡くなりになるならいざしらず、上海市で死者数をごまかすのは地方政府にとっても容易ではないのですが。

こういうラインは中国の法律や通達できっちりと明文化されています。以前にも「SNSでデマを流し、それが500回RTされたら量刑を科す」という通達が出て話題になったこともありました。官僚国家・中国はこういう細かすぎる規定が大好きなんですよね。「公園のトイレに存在して良いハエの数は2匹まで」という謎の基準も世界に笑いを呼びました。

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