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ドキュメンタリー映画「解明:深圳・華強北」を見た(高口)

2016年10月10日

2016年8月、第5回ニコニコ技術部深圳観察会に参加しました。ツアー中、深圳開放創新実験室(Shenzhen Open Innovation Lab;SZOIL)を訪問した際、『解码 深圳・华强北』(解読:深圳・華強北)というDVD付きの書籍をいただきました。私が代表して預からせていただいているのですが、その内容をざっくりとご紹介します。いきなりではわかりづらい話だと思いますので、興味がある方は木村公一朗さんのレポート「中国:深圳のスタートアップとそのエコシステム(増訂版)」や観察会主催者である高須正和さんの著書『メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 』をご覧下さい。

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*写真は深圳・華強北の電子機器市場。

「解読:深圳・華強北」は2015年1月に動画配信サイトで公開されたドキュメンタリー映画(百度百科)。1980年代から現在にいたるまでの深圳・華強北の発展史を全4話で描いています。書籍は監督による解説、台本、インタビューのロングバージョンが収録されたものとなります。

以下、各話の概略について。

第1話:風景の背景(改革開放から1986年ぐらいまで)
世界のハードウェアスタートアップが注目し、ハードウェア・インキュベーター企業のHAXまで設立された深圳。中国ナンバーワン電子街という巨人が誕生した背景とは。30数年前は田園地帯だが、老人(鄧小平)の指示で開発開始(意味不明に大爆発の映像を挿入)。人民解放軍の奮闘で田畑、養殖池を潰して整地し、立派なビルを。「本気でやる気があるんかいな」と疑う外資をうならせ、三洋との合弁企業が設立された。その後、大手国有企業もオフィスを構えたほか、上歩工業区を作り中国企業も乱立。ラジオなど当時の中国人が喉から手が出るほど欲しいガジェットを大量生産。しかし中小企業がごろごろあるだけでは弱い。まとめあげて一つのグループにすることが必要なのだ。そこで白羽の矢が立てられたのが元電子工業部弁公庁主任の馬元福だった。彼は100社以上の中小企業をまとめて深圳電子集団公司を立ち上げる(1986年1月)。しかしその行く手には厳しい関門が待ち構えていた。


第2話:1メートル売り場(1986年から2000年ぐらいまで)
俗に「1米柜台」(1メートルの売り場)と呼ばれる、小さな売り場が連なる華強北の電気街。これはいかにして成立したのだろうか。深圳での外資系製造業誘致にあたって問題となったのは部品の調達。当時の中国は計画経済だが、計画外の外資企業には割り当てがない。輸入申請も煩瑣だ。どう解決するべきか。馬元福は日本・秋葉原を視察時にヒントを得た。野菜市場のように電機部品が売られているではないか。同様に国内外の企業に店を出してもらえばいいのだ。自由市場設立は計画経済に真っ向から対立するだけに厳しい課題ではあったが、これをやり遂げなければ発展はない。果たして1988年に深圳電子集団は賽格電子集団と改名し、華強北に電子市場ビルを開設。後に市場は拡張され、他企業も続々参入していく。たんなる売り場だけではなく、華強北から車で2時間にあらゆる部品、人材、物流サービスがそろう産業チェーンが完成。1メートル売り場のテナント料は年30万元になるほどの人気となった。しかし栄華を極める華強北に「山寨の嵐」という危機が訪れる。

*中国の有名PCメーカー、神舟の創業者も華強北の1メートル売り場出身。1995年の旧正月休みに自作PCブームが来ると予見。直前に香港のパソコンパーツを買い占めたところ大当たりして財をなした。
*豪恩声学株式有限公司の王麗董事長。工場のライン工、華強北の売り子をへて、「マイクのこと、だいだい分かったわw」と工場を建設。華強北にはこうした売り子上がりの起業家は少なくない。これぞ華強北人の成功物語である。華強北こそ中国民間企業のゆりかごなのだ。「ペンギン帝国」こと、中国ITの巨人テンセントも華強北から誕生している。
*2007年10月12日、華強北電子市場価格指数がスタート。
*2008年、中国電子商会が華強北を「中国ナンバーワン電機街」に認定。



第3話:涅槃の鳳凰(郭沫若の詩から引用。こなれた訳なら“甦った不死鳥”ぐらいでしょうか)(1990年代から2000年代後半)

2003年、メディアテックのチップセットで「山寨革命」が起きる。一時は携帯電話を作る中小企業が3000社にまで膨れあがった。しかし2007年末から「政府の規制強化、消費者の成熟(ブランド志向)、スマホへの移行」によって落ち目となっていく。そうした中、独自ブランドを構築しようと奮闘した企業が危機を乗り越えていく。基伍(GFIVE)、ファーウェイ、ZTEが事例。

かつては華強北にもごろごろ工場があったが続々と郊外へ移転していく。その跡地が商業施設へと変わっていく。百佳百貨は中国スーパーチェーンの走り、ショッピングモールの走りは銅鑼湾集団(1999年)。工場跡地でいかつい街並みだったが、1998年には政府が華強北商業圏をオシャレに改装。他にも銀行、宅配便などの企業も発達している。

よみがえった華強北。だがECの発展。そしてサブプライムローン、欧州経済危機などの世界的経済危機は現在の華強北にも危機をもたらしている。どう乗り越えるのか?



第4話:剣が峰のダンサー(2013~2014年)

産業アップグレードに邁進する深圳の企業。EC、クラウド、アニメ制作、テーマパーク、ホテル経営、O2Oなどなど。

そしてメーカームーブメントとハードウェアスタートアップ。外国企業がプロタイピングだけで帰国してしまい、深圳の名前が出ることが少ないのが残念だが、「メイカーの天国」としてさらなる発展を目指す。スマートデバイス、IoTは第四次産業革命につながる。ハイテク産業へと転進する深圳はさらなる飛躍を目指す。ビルも地下鉄もがんがん作るで~。

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