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怪物たちの生き様から描かれる中国経済の歩み、『現代中国経営者列伝』レビュー(UJC)

2017年04月25日

本サイトを運営する高口康太の新刊『現代中国経営者列伝』(星海社)が2017年4月26日に発売されます。都内大手書店には25日夕方頃から並んでいるようです。中国専門書店・東方書店さんには先ほど入荷したとツイートしていただきました。



さて、この『現代中国経営者列伝』について、ブログ「The Useless Journal of CHINA」(休止中)の管理人「UJC」氏にレビューをいただきました。ご本人の許可をいただいて転載させていただきます。本の特長を簡潔にまとめていただき、筆者も勉強になりました。


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中国の人口は日本の10倍、面積は25倍だ。僕は中国でとんでもなく悪い奴に出会ったこともある。だがいい奴も、尊敬できるすごい人も、本当に数多く出会っている。そういう人たちのことを理解し交わりを結ぶのは、単純に飽きないことだし、楽しいんだよ。

これは中国との文化交流を長年続けてきた先生に、「なんで中国なの?」と不躾な質問をした時に返ってきた言葉だ。

本書の筆者・高口康太氏も前書きとあとがきで執筆の動機を述べているが、中国への興味関心の根源はその先生と同じだと感じる。そしてこの本で取り上げられる中国人経営者の、我々がよく知る日本人経営者とはかなり異なる生い立ちや創業の経緯、そして成功を掴むまでの破天荒な行動は、読み物として抜群に面白い。

本書では、日本を抜いて世界第2位の”経済大国”となった中国の著名な経営者を8人取り上げ、彼らのサクセスストーリーと中国の社会経済の背景を紹介している。世界を代表する食品メーカー・ダノンと大喧嘩を繰り広げ(かつ完勝し)た”喧嘩師”、ワハハ(飲料メーカー)創業者の宗慶後。大学受験にはことごとく失敗したものの、今や中国最大のIT企業創業者となった孫正義の盟友、”コミュニケーションの鬼”アリババの馬雲(ジャック・マー)などなど。

この8名は文化大革命、改革開放、WTO加盟という中国政治経済激動の時期に、著者曰く「明治維新と高度経済成長が一度に来たような」大波に乗り、その個性をフルに発揮して名だたる世界的企業に成長させた風雲児たちだ。日本では昨年シャープを買収した郭台銘(台湾)などがニュースに出てくるが、ここまで多くの個性的な中国人経営者たちを紹介している本は、日本では初めてではないだろうか。

本書の特筆すべきポイントは、面白さを感じるために必要不可欠な「わかりやすさ」だろう。ビジネス書を読まれる人の中には、著者の知識や情念がハナについたり、小難しい業界用語と解説の頻出で読み進める興味を失った経験がないだろうか。おそらくは著者の専門(得意とする)分野であり、かつその人の活躍を語るのに外せない重要な説明なのはわかるのだが、得てして業界用語やシステム周りの解説は、読み手にとって理解を妨げるものでしかない。

かといって、背景を語らずにやたらとカリスマ性やぶっとんだ行動だけを称揚されても、個人的には面白みに欠ける。その点、本書は徹頭徹尾「何をして、どういう決断をしたから成功したのか」のストーリーが主であり、専門用語や背景は最小限の説明にとどめているため、各経営者のダイナミックな行動がとてもわかりやすく、面白さをキープしたまま読み進めることができた。

筆者は長年、中国を中心としたアジア新興国のニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営している。サイトを訪れてもらえばわかると思うが、主に中国の政治経済エンタメなど多種多様なジャンルの出来事を、背景を踏まえて分かりやすく解説している記事がとても充実している。このサイト運営で培われたであろう「引き出しの多さ」、そして「色々なネタをわかりやすく伝える」技術が、この『現代中国経営者列伝』では見事にはまっているように感じる。もちろん、新書というハンディさもバッチリだ。

終章では、筆者が中国経済30年の歩みを端的にまとめ、「中国経済はどこへ向かうのだろうか」という大命題について示唆的な動きをみせる企業・人物を紹介している。そこに中国経済に対する悲観論も楽観論もないが、強烈な個性を持った人物がこれからも出てくることを、筆者は確信しているように感じる。

まだ著作としては2作目。これから筆者がどんな「中国の面白いこと」を紹介してくれるのか、期待して已まない。

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