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書評 の記事

中国の面白さを知る方法、安田峰俊『もっとさいはての中国』を読む(高口)

2019年10月14日

安田峰俊『もっとさいはての中国』(小学館新書)を読了。
というか、本作だけではなくて、前作にあたる『さいはての中国』(小学館新書)、今春でた『性と欲望の中国』(文春新書)もご恵投いただいていたのだが、なかなか忙しくて通読できずにいたのを一気に読んだ。


さいはての中国 (小学館新書)
安田 峰俊
小学館
2018-10-03


性と欲望の中国 (文春新書)
安田 峰俊
文藝春秋
2019-05-20



いやはや、面白い。別版元の『性と欲望の中国』も含めて、まるで続きもののような「さいはて」っぷりが味わえる。思いつくままに3冊の舞台、テーマを列挙してみよう。

中国人オタクの生態とスラングの記録、『中華オタク用語辞典』(高口)

2017年09月27日

在日中国人の八子さんから同人誌『中華オタク用語辞典』を献本頂きました。


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中国経済って今どうなってるの?津上俊哉『「米中経済戦争」の内実を読み解く』(高口)

2017年08月10日

津上俊哉氏の新刊『「米中経済戦争」の内実を読み解く』(PHP新書、2017年)が出版された。

2013年の『中国台頭の終焉』(日経プレミアシリーズ)、2014年の『中国停滞の核心』(文春新書)、2015年の『巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想』(角川新書)に続く新書シリーズ第4弾である。

一連の著作を私は「中国経済、行く年来る年」と呼んでいる。直近1年間の中国経済のホットトピックが簡潔にまとめられた著作として毎年楽しみにしていたためだ。2016年の出版がなく残念に思っていたが、今年復活したのはなんともありがたい話である。

怪物たちの生き様から描かれる中国経済の歩み、『現代中国経営者列伝』レビュー(UJC)

2017年04月25日

本サイトを運営する高口康太の新刊『現代中国経営者列伝』(星海社)が2017年4月26日に発売されます。都内大手書店には25日夕方頃から並んでいるようです。中国専門書店・東方書店さんには先ほど入荷したとツイートしていただきました。



さて、この『現代中国経営者列伝』について、ブログ「The Useless Journal of CHINA」(休止中)の管理人「UJC」氏にレビューをいただきました。ご本人の許可をいただいて転載させていただきます。本の特長を簡潔にまとめていただき、筆者も勉強になりました。

国境越えに浪漫を感じるのはなぜだろうか?(高口)

2017年04月19日

先日、『「ポスト爆買い」時代のインバウンド戦略~日本人が知らない外国人観光客の本音~』(扶桑社、2017年)の出版記念の打ち上げに参加させていただいた。

著者の中村正人さんはインバウンド評論家だ。 私もインバウンド関係の記事を何本も書いており、関心を持っているだけに話が弾んだ。例えば、以前にこつこつリサーチしていたのに企画が没になった日本の「ブラック免税店」についても中村さんはブログエントリーとして発表している。

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた : ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌


ドキュメンタリー映画「解明:深圳・華強北」を見た(高口)

2016年10月10日

2016年8月、第5回ニコニコ技術部深圳観察会に参加しました。ツアー中、深圳開放創新実験室(Shenzhen Open Innovation Lab;SZOIL)を訪問した際、『解码 深圳・华强北』(解読:深圳・華強北)というDVD付きの書籍をいただきました。私が代表して預からせていただいているのですが、その内容をざっくりとご紹介します。いきなりではわかりづらい話だと思いますので、興味がある方は木村公一朗さんのレポート「中国:深圳のスタートアップとそのエコシステム(増訂版)」や観察会主催者である高須正和さんの著書『メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 』をご覧下さい。

急成長続く中国国産“特撮”=ブックレビュー「映画は中国を目指す」(高口)

2015年09月01日

中根研一『映画は中国を目指す』(洋泉社)を読了。

表紙には「いま世界中が狙う中国映画マーケットに、日本映画はどう立ち向かう?!」の文字が。『中国「野人」騒動記』など、中国のUMA(未確認動物)研究で知られる中根さんが、ちょっとビジネス寄りの本を書いているの?と驚きつつ読んでみると、なんと中身は「ウルトラマン@中国」と「中国国産特撮」についてのお話でした。

“楽しく、ポップで、カジュアルな”言論統制=習近平の「ネット世論」殺し(高口)

2015年08月31日

拙著『なぜ、習近平は激怒したのか 人気漫画家が亡命した理由』。2015年9月2日発売です。以下はその概略について。


―――――――――――――
「中国ってそろそろ革命が起きるらしいな。」


これは4年前の飲み会の席で言われた言葉です。今聞くと「ないない」とほとんどの人が速攻で否定すると思うのですが、当時はそれなりのリアリティがありました。というのも2010年から2012年にかけて、いわゆる「アラブの春」が起こり、その波が中国にも波及するのではないかと思われたこと。そして、中国ネット世論が政府を追い詰めていることが大々的に報じられていたためです。

その代表例が、2011年8月4日に放送された「クローズアップ現代」でしょう。

中国ネット世論が死んだ理由とは?ブックレビュー『なぜ、習近平は激怒したのか 人気漫画家が亡命した理由』(安田)

2015年08月28日

更新サボっていてすいません。主な理由は「一度サボりだしたら再開するきっかけがつかめない」というものなのですが、一応言い訳として本を書いておりました。

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高口康太著、辣椒イラスト『なぜ、習近平は激怒したのか 人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社新書)は9月2日の発売です。

「ネット世論が中国を変える」と言われていたのは今は昔。習近平体制は強圧的な言論統制とネットユーザーのお株を奪うポップな世論対策で事態を一変させました。「人権派弁護士200人の逮捕、拘束」などの強硬路線と「中国共産党御用達アイドルの誕生」などの柔軟路線は表裏一体の関係にあります。本書では中国のネットで活躍し、祖国を追われた亡命中国人漫画家の辣椒(本名:王立銘)氏のイラストとインタビューを掲載。転換期の渦中にいた中心人物を水先案内人として、習近平体制と中国社会の変化を読み解きます。
 
作家の安田峰俊さんに、ツイッターでコメントをいただいたので、本人の許可を得てご紹介いたします。

外国人初の中国「労働関係管理師」高橋孝治氏が『ビジネスマンのための中国労働法』を出版

2015年06月02日

高橋孝治さんの著書『ビジネスマンのための中国労働法』が出版されます。書店には6月3日ごろから並ぶほか、4日にはネットショップでも購入できるようになるとのこと。3日には八重洲ブックセンター本店で販売イベントが開催されます。

高橋さんは本サイトにも寄稿してくださっていますが(記事一覧)、他にも中国ビジネスヘッドラインやフリーペーパー『Whenever北京』でも中国法関係の連載を持ったり、はたまた外国人として(多分)初めて中国の国家資格である労働関係管理師を取得するなど積極的な活躍をみせています。

まだ私も入手していないのですが、楽しみにしています。


 

中国ウォッチャー界の「ゆく年くる年」=ブックレビュー・津上俊哉『巨龍の苦闘』(高口)

2015年06月01日

津上俊哉『巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想 』(角川新書、2015年)をご恵投いただきました。

今や日本一のAIIB男としてニュース番組でもひっぱりだことなっている津上さんの新刊です。2013年の『中国台頭の終焉』をヒットさせた津後、2014年の『中国停滞の核心 』、そして今作と年一ペースで新刊を上梓されています。

著名ジャーナリストが作り上げた中国の非実在犯罪組織「コクドー」について(高口)

2015年05月16日

一橋文哉『餃子の王将社長射殺事件』を読了。

その第6章に中国の驚くべき犯罪組織「コクドー」についての記述がありました。

・中国に4000万人近くいる「黒孩子」(戸籍のない子どもたち)を救済し、戸籍や仕事を与えてやろうとする地下組織。
・構成員は中国国内に約3000万人、海外を含めると4000万人弱。
・「黒孩子」を留学生や研修生として日本に送り込んだり、日本人と偽装結婚させて戸籍を獲得。
・一度死んだ動物の胎児が人間として生まれ変わる「超生」(国家の割当を超えた命)との観点から何をやっても平気だという考えに。
・中国市場を支配する日本企業を打倒するべく反日活動に従事。 

という内容。

みなさん、「コクドー」については初めて知ったと思いますが、これほどの巨大組織が反日活動をリードしていることに驚かれるのではないでしょうか。そしてもっと驚くべき事実があります。本書で解き明かしている、この「コクドー」という組織ですが、著者の勘違いで実際には存在しないのです。


 

グローバル人材のお手本は日本にいた、『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』を読む(高口)

2015年03月25日

趙海成著、小林さゆり訳『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』CCCメディアハウス、2015年。

フリーランスライター、翻訳者の小林さゆりさんからご恵投いただきました。

本書は2013年出版の『在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由』の姉妹編……とのこと。こちらは2012年9月の反日デモを経験した在中日本人のインタビューを集めた本で、通して読むと中国人にもいろんな人がいて助けてくれる人もたくさんいた、世間がイメージしているようなむき出しの憎悪にさらされるだけではないんだよというのがわかる仕組みになっています。いわゆる嫌韓反中本ブームが広がる中での逆張り企画は見事に的中、5刷を重ねるヒットとなっています。

国民国家の狭間はぼくらのすぐ近くにある……安田峰俊『境界の民』が面白い(高口)

2015年03月02日

献本御礼。安田峰俊『境界の民 難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々』(角川書店、2015年)。
面白い!一気に読み終えた。

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目次
はじめに
第1章 クラスメイトは難民――日本のなかのベトナム
第2章 偽りのシルクロード(上)――迷走するウイグル
第3章 偽りのシルクロード(下)――道具としてのウイグル
第4章 ガラパゴスのコスモポリタン――引き裂かれる上海
第5章 黒いワイルドスワン――軍閥、文革、歌舞伎町
第6章 甘すぎる毒の島――幻想としての台湾
おわりに

自由と安全をいかにバランスさせるのか?山谷剛史『中国のインターネット史』を読む

2015年02月25日

畏友・山谷剛史さんの新刊『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立』が本日(2015年2月25日)発売されました。献本もいただきましたので、ざっくりご紹介をば。

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出版社サイトで試し読みあり。
*3月7日に東京で著者と編集者によるトークショーあり。詳細はこちら

山谷剛史さんは「アジアITライター」。今でこそニセiPhoneや中華スマホ、さらにはネット検閲などの中国のIT事情というのはそれなりに報じられるようになりましたが、山谷さんは前世紀からこつこつと仕事を続けております。愚直にIT事情を追いかける姿勢はもはや奇人レベルに達しています(褒め言葉)。
 

【雑談】速読本を勉強したら当たり前なことしか書いてなくてがっかりした話……金鰤式読書法(高口)

2014年09月01日

■金鰤式読書法(非エンタメ系)■

■速読法を学んでがっかりした話

超高速で本を読みまくり、デキる人間になりたいっ!

そんな欲望を持っている人も多いかと思います。かくいう私もその一人。というわけで以前は速読法の本をいろいろ読んだりしましたが、その結果はきわめてがっかりするものでありました。というのも自分が無意識でやっていたことだから、であります。

いろんな速読法がありますが、ざっくりとまとめてしまうと、以下のとおりかと。

・文章全体の構造を意識して読む
・何が書いてあるのか、前情報を入手しておくと読むのが早い
・というか知っている話については読むのが早い
・わかんなくてもキーワードをひろいつつ斜め読み。理解したほうがいいところは精読

とまあこんな感じ。

フィクションの過去に頼らない世直しって無理なのかな?ブックレビュー『江戸しぐさの正体』(高口)

2014年08月25日

「江戸しぐさ」を知っているだろうか?

「NPO法人江戸しぐさ」によると、

「江戸しぐさ」は、江戸商人のリーダーたちが築き上げた、上に立つ者の行動哲学です。よき商人として、いかに生きるべきかという商人道で、人間関係を円滑にするための知恵でもありました。江戸時代は、260年以上もの間、戦争のない平和な時代が続きました。その平和な安心な社会を支えたのが「江戸しぐさ」という人づきあい、共生の知恵です。

というものらしい。

これだけ見るとなんだか良いものに見えるが、ちょっと勉強してみると

一部の町人エリートしか入会できないサロン「江戸講」の秘伝ながら、江戸庶民共通の哲学だった……というこの時点で矛盾が気になって説明が読み進められなくなるほど謎な江戸町人の秘伝マナー「江戸しぐさ」。明治維新を期に新政府は壊滅作戦を発動。歴史の闇に葬り去られたが、勝海舟の手引きで逃げ延びた一部の伝承者が後世に伝え、ついには日本国の教科書にまで掲載されるまでに復活した。

というなんとも怪しげな存在である。この「江戸しぐさ」の怪しさを徹底的に追求した本、『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』が出版された。

「中国イヤな話」のパッチワーク、映画「罪の手ざわり」を喜ぶのは誰か?(高口)

2014年07月13日

中国を代表する映画監督の一人、 賈樟柯監督の最新作「罪の手ざわり」を見た。

現代中国社会の鬱屈を描いた傑作という映画評が多いようだが、実際には「中国イヤな話」系ニュースをつなぎあわせたパッチワーク。日本のウェブニュースやいわゆる「反中本」とほぼ元ネタは同じだったりする。正直残念な一作だったのだが、「この映画をほめているのは誰か?」という問題に目を向けると興味深い構造が浮かび上がる。

ソニー・パナが有機EL事業売却=日本人技術者を雇って有機ELに挑む台湾・鴻海(高口)

2014年05月26日

2014年5月25日、ソニーのパナソニックの有機EL事業売却が報じられました。有機ELの技術はすでに完成しているが、歩留まりが悪くコスト的に液晶には勝てないとの判断です。

このニュースからさかのぼること1週間ほど前、17日にNHKが放送した「ドキュメンタリーWAVE:アジアの黒衣 動く~日本人技術者を取り込む台湾企業~」では、世界最大のEMS(電子機器受託生産)企業・鴻海が独自に有機EL製造に乗り出そうとしているという話を紹介していました。日本企業の撤退と鴻海の挑戦。その対照的な構図が象徴的です。
 
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