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記事:いまじゅん の記事

ベトナム国会議員は共産党の操り人形ではなくなったのか?ベトナムの改革と中国―北京で考えたこと

2011年05月03日

指桑罵槐(?)のベトナム論(その1:ベトナム国会と民主化の動き編)

今回は久々にベトナムの話題をとりあげます。以前の記事「中国がベトナムから学ぶこと=ベトナム共産党大会報道を読む」ともすこしかぶりますが、「中国から見たベトナム」という視点です。今回ご紹介するのは鳳凰週刊2011年第11期号の特集「ベトナム共産党の革新=コントロール可能な民主」です。

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*ホーチミン市人民評議会庁舎。写真はPhuket Observerより。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

ハイブリッド米への過剰依存は危険だ=“あの”李昌平が公開書簡―北京で考えたこと

2011年04月30日

中国「ハイブリッドの父」袁隆平への嘆願書

中国の農業科学研究者の間、いや科学者全体をみても知らない人はいないであろうという大学者・袁隆平(彼のプロフィールについては人民網を参照)。

1960年代から中国でハイブリッド米研究に着手し、「ハイブリッドの父」と称され尊敬を集めています。FAO(国連食糧農業機関)もハイブリッド米自体が1974年に中国で開発されたと紹介していますが、袁の功績が欠かせませんでした。ハイブリッド米は現在広く用いられるに至っており、2004年時点で中国のコメ作付面積の半分は既にハイブリッド米になっていたことから(上述FAOサイト参照)、現在はさらに普及していると予想されます。

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*写真は黒龍江省の試験場。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

上がる穀物と下がる野菜=複雑化する「食品価格高騰」の裏側―北京で考えたこと

2011年04月24日

上がる穀物と下がる野菜・・・食品価格高騰の裏側

3月期のCPI:消費者物価指数が昨年同期比5.4%増と、引き続き物価高となっている中国。先日の記事「バイオエタノールはなぜやめられないのか?食料価格決定権を失いつつある中央政府―北京で考えたこと」では穀物価格が上がっている中、そのコントロールをするのに苦労している政府の様子を書きました。物価高の中で穀物も含めた食品価格はその「悪の根源」かのように言われている中、そのCPIのニュースを読んだ翌日ショックなニュースが出回りました。

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*中国の野菜は季節によっては二束三文で売り渡されている。写真は北京新街口。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。


技術革新、石油農業、補助金の弊害=中国農業の今を読み解く―北京で考えたこと

2011年04月20日

中国の農民は実際どれほど食糧を作ろうとしているのか?(食糧価格上昇再訪-その2)

前回「バイオエタノールはなぜやめられないのか?食料価格決定権を失いつつある中央政府―北京で考えたこと」に引き続きまして、中国の「財経」誌4月4日号の記事から食糧生産に関する記事を「後篇」として紹介致します。今回の焦点はより食糧生産サイドから、農業、農民、農業企業、農業政策などなど様々な角度からです。(以下、財経誌記事の要約です。)


China / IRRI Images


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食糧の需給のバランスは引続きひっ迫している。品種別に言えば、コメ(特に「粳米」:ジャポニカ米、従来は黄河と長江の中間を流れる“淮河(わいが)”以北で生産)は長期的に供給がひっ迫。小麦は基本的にバランスを保っているが、トウモロコシは飼料用、深加工業用需要の増加によりひっ迫しつつある。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

バイオエタノールはなぜやめられないのか?食料価格決定権を失いつつある中央政府―北京で考えたこと

2011年04月18日

中国政府は経済をどれほどコントロールできているのか?(食糧価格上昇再訪-その1)

先日発表された中国の3月期CPI(消費者物価指数)は前年同月比5.4%増と大きな伸びを示しています。特に食品は11.7%増の急上昇。3月の増加分のうち、65%程は食品のインフレによるものとなりました。

物価上昇を牽引する食品価格高騰。中でも中心である穀物価格を巡る動きについて、中国誌『財経』4月4日号が詳しく解説しています。特にトウモロコシ価格をめぐる最新事情とその大枠の背景から、止まらない食糧価格上昇と中国政府のマクロ・ミクロ経済コントロール能力(の弱体化)、それを中国の食糧備蓄体制の変化と課題を浮き彫りにしている点が興味深い内容でした。(以下、財経誌記事前後篇の前篇要約です。)

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*軒先でトウモロコシを乾燥させる姿は多くの中国農村で見られる景色。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

中国版「フレンズ」は本家そっくり!日本人キャラも登場のドラマ『愛情公寓』―北京で考えたこと

2011年03月13日

ドラマから見た中国(その8)爆笑の中国版フレンズ「愛情公寓」にハマる

いやー、このドラマは久々に単純に楽しんでみさせてもらっています。今日ご紹介するのは「愛情公寓」です。

既に第2季(セカンドシーズン)まで終了しているこのドラマシリーズは、中国(ベースは上海が舞台)の若い男4人、女3人の友情、愛情を描いたドタバタコメディーで、正にかの有名なアメリカ・Sitcomの最高峰にそっくりの「中国版フレンズ」。一部のスキット、ギャグは本当にもろフレンズからのぱくりと言うすごさです。

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※こちらは第2季のキャスト、こっちの方が自分は好きかな。


*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

百家争鳴?それとも言いっ放しのガス抜き?「両会」代表の三農関連発言まとめ―北京で考えたこと

2011年03月10日

百家争鳴?言いっ放しのガス抜き?両会にみる三農問題の動き

今の北京は「両会」真っ盛り、毎日その日に両会で話された議題がニュースになって駆け巡ります(「両会」とは全国人民代表大会、全国政治協商会議の総称。日本の国会に相当)。国会というには何かが「議論される」という雰囲気はないですが、何か様々な意見が「言い放たれる」感じがするのがこの機会です。

未来に向けての意見具申か、言いっ放しの「ガス抜き」か
はともかく(後者な気もしますが)、セクターを問わず、「両会」出席者は、その圧倒的な人数により多くの「提案」を残していきます。

ここでは、個人的に関心を持っています「三農問題」についての気になる発言をまとめてみました。硬いメモ書き風ですが、良かったらご覧ください。


收采大蒜的农家女 / weichinali


*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

税金のムダづかい、年11兆円ナリ!レベルが違う中国の接待文化―北京で考えたこと

2011年03月04日

一晩で8つの宴会かけもち!?---「三公消費」をどう抑えるか

中国では白酒宴会、これは避けられないと苦労している中国滞在中の日本人の方は多いのではないでしょうか。中国において、 その代金の多くは国民の税金から払われているみたいです…。

全国人民代表大会と政治協商会議の開催(いわゆる「両会」)を控えたこの時期、改めて経費乱用の問題に光が当てられました。2011年2月23日付雑誌『南風窓』は、中国の国家予算の使われ方、とりわけ関心と非難を最も集める「三公消費」問題を特集しています(以下、2011年2月23日付南風窗を参照)。

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*三公消費で今日も商売繁盛!?

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

中国がベトナムから学ぶこと<2>=ベトナム国会、政治指導者、メディアを考える―北京で考えたこと

2011年02月23日

中国がベトナムに学ぶ!?(その2)―中国からみたベトナム国会、政治指導者、メディア

その1(「中国がベトナムから学ぶこと=ベトナム共産党大会報道を読む―北京で考えたこと」)から随分時間が経ってしまいましたが、「中国がベトナムに学べるかもしれない!?シリーズその2」です。今回は国会を中心とした立法府の在り方などについて。ベトナムの取組みを紹介した1月27日付南方週末をご紹介します。単なる隣国事情の紹介記事と見るべきか、それとも中国の現状との比較ととるべきでしょうか……。
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首相に、そして政府に異議を唱える国会


ベトナムで近年、議論となっているのは中部高原地域のボーキサイトに関する案件。この地域は少数民族が多く住み、経済的にはまだ貧しいものの、豊かな生態系をいまだに残している地域である。環境汚染を引き起こしかねないボーキサイトの開発を許すべきかどうか。2009年1月、同国の革命元老であるヴォーグェンザップ将軍は、当時98歳の高齢にもかかわらず、グェンタンズン首相に書面で再考を求めた。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

【中国食品】カドミウム汚染米報道=全体の10%の汚染、当局調査で確認―北京で考えたこと

2011年02月22日

波紋広がる中国カドミウム米汚染

中国における食の安全の問題と言えば、もうそこら中で話題となっていますが、「毒餃子」とかの個別・突発的事例よりも、より面的な拡がりがありそうな問題としてカドミウム米の問題が取り沙汰されています。これを全面的に取り上げた新世紀2011年2月14日号の記事は、新浪微博でも数百単位で同内容の異なる記事がリツイートされながら関心を呼んでいます。この記事を紹介しながら問題をみていきたいと思います。(以下同記事抄訳、1,2枚目の写真は同誌から)

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カドミウム汚染米は全体の10%にも


日本で60年代に発生した「イタイイタイ病」(訳注:中国語でも「痛痛病」とそのまま訳しています)の原因ともなったカドミウムの含有量基準値を超えている米が、中国全体の米の10%にも達していることが、農業部や研究者のサンプル調査で明らかになった。水銀に関しても中国では多くが米から人体に入る場合が多いなど、米の安全性の問題が深刻になっている。

*当記事は2月16日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

ベトナムで高まる中国脅威論=対中貿易は大幅な輸入超過―北京で考えたこと

2011年02月02日

貿易赤字もやっぱり脅威?ベトナム経済における「中国脅威論」

対中貿易での大きな輸入超過

BBC VIetnameseの記事によると、ベトナムの中国からの輸入総額は200億ドル超、これはベトナムの対中貿易赤字額126億ドルを意味している。個人の小額輸入を含まないでの数字だけに過度な依存を懸念する声も上がっている。2000年の赤字額1億3500万ドルから、2007年には91億ドル、2009年には115億ドル、そして2010年に126億ドルと急速に伸びている。(訳注:2010年数値は予想値)

輸入品で多いのは、機械設備(54億7000万ドル)、鉄鋼(51億2000万ドル)、衣料品(21億3000万ドル)、コンピューター・電化製品(16億8000万ドル)、石油(約10億6000万米ドル)など(訳注:xang dauとなっていることから、精油)。

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*ベトナムの市場などで売られる衣料品。中国製がかなりの部分を占める

*当記事は
ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

中国がベトナムから学ぶこと=ベトナム共産党大会報道を読む―北京で考えたこと

2011年02月01日

中国がベトナムに学ぶ!?(その1)―中国からみたベトナム共産党大会

中国においては来年行なわれる5年に1度の共産党大会、お隣ベトナムではそれが1月12日から19日まで行なわれていました。ここでベトナム共産党総書記が代わったりするなど、中国と同じように5年に1回の大きな政治的人事などが決まり、今後しばらくの指導体制がお目見えしました。
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社会主義国同士で「兄弟」と呼び合う中国とベトナム、しかしベトナムは(力関係で事実上の)「弟」の立場と歴史的ないきさつから中国を警戒しています。一方中国はベトナムのことをどのように見ているのでしょうか?「あんまり見ていないでしょ?」という元も子もない意見もあります(苦笑)が、実は政治改革と言う上では「ベトナムの方が進んでいる」として注目する筋もあるのです。

ここでは、1月27日付南方週末の記事から、中国側がベトナム共産党大会のどんなところに注目したかを取り上げてみようと思います。長文記事が2本上がっています。今日はまずその前半を。それでも長文ですが。

*当記事は
ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

四川料理もチベット料理も!美味しい本格地方料理を北京で食べる「裏技」知ってます?―北京で考えたこと

2011年01月27日

美味しい地方料理レストラン巡りから駐京辧(地方省北京駐在事務所)について考えたこと

北京に滞在する楽しみの一つ。それは北京のみならず中国各地の美味を味わえること。中華料理ばかりでもバリエーションを変えていれば飽きることもありません!そのお陰で年始からダイエット宣言しなければいけないほど、用心も必要なのですが (;^_^A

地方省北京駐在事務所(駐京辧)とは地方省、市などの地方政府が北京に出している駐在員事務所のこと。地味な存在にも聞こえますが、北京を舞台に予算獲得などに駆けずり回るような役割から、接待、そして汚職のような話題も尽きない、ベストセラー小説の舞台ともなった興味深い組織です(参考リンク:ブログ「北京で考えたこと」のエントリー「税と地方と駐京弁」)

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接待に使うこともあるので、北京事務所のレストランでは地元料理を本格的に味わえるというわけなのです。シェフや食材も多くは地元から調達とのこと。


*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

ドラマ「鋼鉄年代」に見る大躍進時代=描かれなかった農村―北京で考えたこと

2011年01月25日

「鋼鉄年代」から見た中国(2) 大躍進経済と庶民の生活
*記事「新中国建設に貢献、革命戦士との恋=新たな日本人像を描くドラマ「鋼鉄年代」」の続編です。

1958年から発動されたという「大躍進」政策、15年でアメリカ・イギリスを追い抜くというスローガンの下、一足飛びの工業化を求める大号令がかけられました。その中でも鉄鋼生産は工業化の基本、象徴ということで特に重視されました。

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*写真は当時の土法炉建設の様子。

ドラマ「鋼鉄年代」の中でも鞍山製鉄工場に増産のプレッシャーがかけられると同時に、「地域でも自分で炉を作って鉄を作ろう!」という、原始的な溶鉱炉(土法炉)を用いた製鋼運動が開始されます。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

中国の忘年会に出席してみた=余興ではアニソン熱唱も―北京で考えたこと

2011年01月24日

大熱狂!春節パーティーで大盛り上がり!

いやー、今年もあとわずか、っていうのは旧暦の話でして、中国では今が正に年末です。中国の民族大移動でもあります、「春運」(帰省ラッシュ)もいよいよ本格化して来ますし、街中の飾りつけも本格的になり始めたところ。

自分の所属している中国側機関でも先日は春節パーティー、春節聯歓会が行われました。まずは昼から飲んで食って、そして午後からは3時間以上ぶっ続けの出し物の連続!気合の入りぶりには圧倒されました。道理で何日も前から練習しているわけだ、こりゃ。でも民間に勤める中国人曰く、「そんなに春節パーティー(「年会」とも言います)が激しいのは、国有企業とかだよ」と言われて、うむ、確かにまあ国有企業みたいなものですね・・・。

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まずはいきなり、所属先機関と関係のあるチベットからやってきたゲストの踊りから。どうやらプロではないようですが、衣装などはばっちり決まっていました。出張で来たのか、それともこの踊りを披露するために来たのか・・・?この後すぐに、自分も一応日本代表で周華建を歌ったのですが、ピンのカラオケでめっちゃやり難かったぁー(ちょっと順番考えてくれよぉー)。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

新中国建設に貢献、革命戦士との恋=新たな日本人像を描くドラマ「鋼鉄年代」―北京で考えたこと

2011年01月20日

「鋼鉄年代」から見た中国(1)戦後中国での新しい日本人の描かれ方

久々のこのドラマから見た中国シリーズ。今回見た「鋼鉄年代」は全37話と長く、ドラマからは中国のさまざまな、異なる側面が見えてきました。そこで、何回かに分けて、このドラマを見て考えたことを書いていこうと思います。

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ドラマの舞台は、戦前に日本が建てた鞍山製鉄工場が、国共内戦、新中国建国を経て、中国工業化に向けてどのように再興していくかという時代背景の中、戦時中の混乱の中引き裂かれ、また奇妙な縁で結ばれ、また喧嘩し、といった複雑な関係の3人(男2人、女1人)を基点に描いたものです。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

デモ・抗議運動は年間9万件=窮乏化する農村の実情をSNSで伝える研究者―中国農業コラム

2011年01月17日

農村問題もツイッター!微博で農村を語る于建嵘

自分が関心を持っている農村の問題でも、特に土地をめぐってはスキャンダラスな事件も目立ちます。都市部でもそうですが、最近は例の農村建設用地と都市開発用地の交換(「増減掛鈎指標」)制度(過去記事「数字合わせの食料安全保障=内情は深刻な状態に」「「村がなくなる?」―農村の(強制的?)都市化が抱える問題点」を参照)の運用上の問題もあり、農村でも強制退去に関して政府を糾弾する声が上がっています。その中で有名になっているのがこの于建嵘です。

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※雑誌「博客天下」。

彼は社会科学院農村発展研究所社会問題センター主任の研究者ですが、ネット上でも活発な議論で有名になっています。既に2004年に南方週末紙「特別致敬人物」、2008年南方人物週刊でも「中国魅力人物」に選ばれていますが、昨年12月に出た「博客天下」(博客=ブログ)という、中国のブログ・マイクロブログ上での各種の話題を取り上げた雑誌で、「2010年年度人物」に選ばれました。

活発な言論で既に知名度を得ていた彼が、微博(微博=マイクロブログ)という新たなツールを得て更に声高になったということでしょう。その彼は新浪微博で活発につぶやいているのですが、多くの発言に反応があり、また常に数百、時には千を越える規模でリツイート(転送)されています。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

【読書メモ】日本の将来を考えさせられる一冊=『デフレの正体』―中国農業コラム

2011年01月16日

今後の日本に思いを寄せる:【デフレの正体】(藻谷浩介著)を読んで

今回は中国とは直接関係ないのですが、お正月に日本に帰った際に買ってきた本、「デフレの正体」(藻谷浩介著)です。何の気なしに手に取った本だったのですが、本当に目からうろこというか非常に啓発される本でした。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
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また、本全体を通じてにじみ出る著者自身の将来日本へのビジョンは、図らずも相当程度共感できるところで、これもあって一気に読み進めることができました。主に日本の経済、特に内需のあり方を考えていますが、それを取り巻く環境としての日本の現状、一部には中国との関係にも触れられています。そういう意味では日本と中国を見ている方にも参考になるところ多いと思います。

ここでは、本の中で「なるほどぉ」と思った考え方や事実を読書メモのように記しておきたいと思います。お時間のある方は是非ご一読をお勧め致します。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

数字合わせの食料安全保障=内情は深刻な状態に―中国農業コラム

2011年01月07日

質より量!?中国18億ムー耕地を守る「耕地取引」がもたらすものは?


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中国において食糧生産は非常に大事とされていて、そのために耕地面積の18億ムー(=約1.2億ヘクタール)堅持は国家目標とされてきております。しかし、その数は達成されているとしても「その中身はどうよ?」というのが1月6日付南方日報紙の記事。数合わせのゲームの中で、実際の食糧生産に結び付く耕地がきちんと維持されているのか、この「耕地取引」とも言うべき実態について、まずは記事の抄訳・要約をご覧ください。
「占补平衡」(耕地の占有はその補填を持ってバランスをとるという意)政策は1ムーの耕地を潰したら、その分1ムーの耕地を新たに造成しなければならないということであるが、これが中国の耕地確保に大きな脅威となっている(過去記事「中国7億人の農民が怯える「新農村建設」=中国各地で農民暴動が頻発する背景とは」参照)

国土部門(訳注:土地使用に関しての管轄機関である国土資源部系統の意)関係者によると、2002年4月に浙江省では「山海協作工程」というのが行われ、杭州や寧波などの経済が発展した地域が耕地増加ノルマを達成するため、発展の遅れた地域のノルマを買うような形で資金を流し、都市部での建設用地を確保するというものであった。このような試みは当時浙江省で多く行われていた。その中で、元々農業に向いた良い土地であった地域が都市建設に用いられ、アルカリ成分の多い土壌で何年も土壌改良しないといけないような土地が「農地」として新たに認定されていった。

公開資料によると、1998年時の全国耕地面積は19.45億ムー、7年後には18.31億ムーに減少し、非農業用途がやり玉に挙げられた。北京師範大学環境学院の趙教授の調査によれば、1997年から2010年までの農業以外の農地占有は2746.5万ムー、海南省の半分くらいの広さにも及ぶと言う。
*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

「儲かる農業」でネオンきらめく大都会に=「農業都市」寿光を見た―中国農業コラム

2011年01月05日

温室と高層ビルと−儲かる農業・寿光市

これまで数少ないながらも中国農業や農村の話題を追ってきましたが、イケイケの中国経済に比べれば、辛い状況の方が多く、問題山積との印象も受けていました。そんな中、ある種「イケイケ」な農業を展開しているように感じられた場所がありました。山東省寿光市です。

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その発展を支えているのが「日光温室」(写真参照)。加温などの人工的なエネルギーによる温度コントロールを行わないビニールハウスで、「寿光市出身の王楽義さんが吉林省など東北で見られた温室を1990年代からローカル化して規範化したものが元祖となり、その後もバージョンを上げながら普及しているものだそうです。この日案内してくれた方に拠れば、この日光温室栽培の広がりも含めた寿光での農業の成功は、現在中国全体の農業の中でも発展モデルとして注目されているそうです。

*当記事は2010年3月28日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。
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