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確信犯?!の大誤報、華原朋美がAV撮影

2009年05月19日

 中国語のニュースサイトを眺めていたところ、なんとも不思議なニュースが。

 華原朋美下海毀身價 露毛寫真出版商只願出700萬(AV撮影で身を持ち崩した華原朋美、ヘアヌード写真のギャラもわずか700万台湾ドル) NOWnews(

 記事内容ですが、ある出版社が華原朋美にヘアヌード写真集出版を持ちかけたところ、当初のギャラは2260万台湾ドル(6580万円)を予定していたが、AVを撮影していたため700万台湾ドル(約2040万円)にまで下げられたとのこと。

 AVはすでに撮影済みでタイミングを図って販売するとのこと。華原朋美は撮影時に大胆な演技ができないことを恐れ、薬を飲んで撮影に臨んだため順調に撮影は進んだとの見てきたようなエピソードまで書かれています。

 ついでに元モーニング娘。の後藤真希がGカップのナイスバディのため、ギャラ1750万台湾ドル(約5090万円)でヘアヌードのオファーがあったとの話も付け加えられています。

 芸能ニュースにうといのですが、華原朋美ほどのビッグネームがAV出演となれば日本でも報道があるはず。とすると誤報の可能性が高いように思います。

 中国語のグーグルニュースで「華原朋美」と検索したところ、同様の記事は18件。一番古いものは4月29日の南都都市報でした。ただしギャラの話などはなく同紙が発端かは分かりません。

 ともあれ、中国語圏での意外な朋ちゃん人気に驚きです。日本語のグーグルニュースでも「華原朋美」と検索すると出てくるのはほとんど中国語の記事。日本で今、話題にならないなかで、なぜか中国語圏での(ちょっとした)ホットニュースです。

炭鉱で鍛えた強靱なボディ!「ミャオの拳王」熊朝忠選手が内藤大助選手に挑戦

2009年05月18日

 5月26日、上海市でWBC世界フライ級タイトルマッチ、内藤大助選手対熊朝忠選手の試合が行われます。偉大なチャンピオン・ポンサクレックを破り世界王者として一躍スターダムにのし上がった内藤選手。対するはほとんど情報がない中国の未知の強豪。「(155センチという低身長に)打つところがない」とか、「(高地で育ったため)体力は驚異的。長引けば危ないため早期決着狙う」といった情報が伝えられています。もちろんアウェー・上海開催というのも内藤選手にとっては不安要素でしょう。

 中国??拳?第一人出炉 ?山拉煤?得好身板(中国プロボクシングの第一人者が出撃、炭鉱で鍛えた見事なボディ)では、「未知の強豪」熊朝忠選手の経歴が紹介されています。

 熊選手は1982年、雲南省出身の26歳。少数民族・ミャオ族の生まれです。貧しい家庭に生まれた熊選手はなかなか仕事を見つけることができず、炭鉱で石炭を運ぶ仕事についていたとのこと。そのため155センチの小さな体にもかかわらず、見るものを驚かせるような筋肉の塊へと成長したそうです。

 3年前から昆明でボクシングを学びはじめ、2008年にはWBCアジア王座のベルトを獲得しています。戦績は12勝(8KO)1敗1分。「小タイソン」「ミャオの拳王」との異名をとるそうです。現在、熊選手は世界14位にランク。3大団体(WBC、WBA、IBF)の世界戦に中国人が参加するのは初めてとのこと。

 中国の動画サイトでは熊選手がベルトを獲得した試合の映像(上の動画は大会の説明、下の動画は熊選手の試合)を見ることができます。1R末にワンパンチでKO勝利を納めています。

 とはいえ映像を見る限り内藤選手との実力差は圧倒的。そもそも無理なマッチメークという気もしますが、中国の巨大市場開拓を狙う世界ボクシング評議会(WBC)が試合を持ちかけたと伝えられています。もっとも内藤選手もランク1位との指名試合を回避することで防衛記録を伸ばす絶好のチャンスであり、悪い条件ではないのかもしれません。

 ただし油断は禁物。熊選手と同じ大会で夏玉欽選手と日本の畠野幸雄選手と対戦、ダウンを奪われ大流血したにもかかわらず、「大波乱」の判定勝利を納めています。日本人との対戦ということで会場もヒートアップするでしょうし、何が起こるかわからないという意味でも大注目の一戦です。

巨大Tバック、財政収入急減、鉄鋼業の生産過剰……―ニュースピックアップ

2009年05月17日

唐双宁:慎言经济“已经回暖”(唐双寧:「経済が「すでに回復した」と言うにはまだ早い」
 1・銀行の不良資産問題、2・今後のインフレ問題、3・財政赤字問題を見極める必要があるとのこと。特に今年1~4月の財政収入は前年同期比マイナス8.3%と減少しているのに対し、支出は34%と激増していることに警鐘を鳴らしています。

<中華経済>1-4月の財政収入13%減、支出は23%増、困難続く―中国(Record China)
 同じく財政問題。こちらの記事のほうが収入減少の幅が大きくなっています。

中国:主要都市の住宅販売価格が5ヶ月連続で下落 サーチナ

中国工業部が鉄の生産抑制を指示 サーチナ
 過剰投資で鉄製品価格が続落しているようです。「現在中国の製鉄業が、質の伴わない鉄鋼の供給過剰と鉄鉱石の輸入の急増により経営上の大きなリスク抱えていることが指摘された」とのこと。かなり無謀なチキンレース状態に突入しています。

そそりたつ巨大Tバック!「性」のテーマパーク、低俗すぎると話題騒然―重慶市
 <続報>「性」のテーマパーク、低俗批判で取り壊しが決定―重慶市
 中国のニュース(動画)
 写真のインパクトが強烈。舞台となった洋人街はファンシーな街並みやキッチュなモニュメントで有名。ほかにも「パリを再現した街」などテーマパーク的都市開発はありますが、洋人街ほど突き抜けている場所はないのではないでしょうか。

映画「南京!南京!」予告編、楽々中国語の開発中止―ニュースピックアップ

2009年05月15日


 南京大虐殺を題材にした話題の映画「南京!南京!」のトレイラー。

オムロンソフトと高電社 中・韓文書作成ソフトで協業 [サーチナ]
 業界大激震、ですね。私は入力は谷歌拼音输入法(グーグルピンイン入力法)を使っていますが、チャイニーズライターもインストール、辞書引きに使っています。競争がなくなるとソフトの進化が止まりそうなだけに残念。

【韓国の検索ワード】饅頭に洗剤混入、中国のずさんな食品安全管理 [サーチナ]
 蘭州市内で販売されているマントウ(具なし肉まんみたいなもの)について抜き取り検査を行ったところ、22%から粉洗剤の成分が検出された。発酵させる際に重曹の代わりに用いたものらしい。激安食品を実現するためには、こうした健康被害も顧みない「企業努力」が必要なようで。。。

中国経済の怪しげな回復=需要低迷は変わらず

2009年05月15日

 米国をはじめ各国で株価が反転基調となり景気回復の期待が高まっていますが、なかでも中国はその牽引車としての活躍を期待されている存在。ただし以前から本ブログでも主張しているとおり、その回復には危うさが見え隠れしています。

物价降幅为何有所加深_新华网(物価下落はなぜ加速しているのか 新華社)
 4月の消費者物価指数(CPI)が前月比0.3ポイント減のマイナス1.5%、生産者物価指数(PPI)が0.6ポイント減のマイナス6.6%とデフレ基調が鮮明になっています。比較対象の昨年が激しいインフレが続いていた反動との見方もありますが、足元の需要が厳しいのは事実。

 頼みの外需も厳しい状態です。
中国輸出が予想以上の落ち込み、景気回復の先行きに疑問 ニューズウィーク日本版中国の輸出、6カ月連続減少  asahi.com

 では何が景気回復の下支えになっているのかよく分かるのが下の記事。
<中華経済>1-4月都市部固定資産投資は30%増、増加ピッチ上がる―中国(Record China)
中国:新規貸出額 4月は5918億元 [サーチナ]
 どちらも政府の介入の影響が大きく、「社会主義」の面目躍如といった感があります。特に銀行貸出は予測を上回る水準で推移してきたため、4月は引き締めるのではとの観測も上がっていましたが、相変わらずの拡大ぶり。

 ただこうした政府主導の対策が本当に景気回復につながるのか、疑問の声も。
中国、景気回復への道:量的拡大から質的向上へ 2009/05/14(木) 10:56:14 [サーチナ]
 同記事は「仮に、その刺激策がインフラの重複建設や過剰生産を生み出すことになれば、需要はあくまでも一時的なものに過ぎず、本格的な需要拡大にはつながらないばかりか、過剰生産はますます深刻になるだろう」と警鐘を鳴らしています。

 結局は需要が拡大するや否やがポイントとなります。小型車減税の効果(といわれていますが…)による自動車販売の好調や消費券といった試みも行われていますが、まだまだ不安感漂う怪しい状態が続きそうです。

韓国のイケメンFW・安貞桓、移籍先の中国リーグで「イジメ」に

2009年05月14日

 ブログ「中国四千年のフットボール通信」さんのエントリーで元韓国代表のイケメンFW・安貞桓が3試合連続ゴールと大活躍していることを知りました。

 かつてはJリーグでも活躍、ルックスの良さもあって人気を集めた安貞桓ですが、ここ数年は泣かず飛ばずでした。今期から中国スーパーリーグの大連実徳と契約(3か月の短期契約のようですが…)しましたが、まだ33歳。新天地で活躍してもらいたいところです。

 その安貞桓の活躍のニュースを見ようと、中国語ニュースサイトを開いたところ、トラブルのニュースが伝えられていました。5月10日、江蘇舜天対大連実徳での試合のこと。試合前に江蘇舜天の秦升が安貞桓を追い回し、「狗崽子」(イヌ野郎、イヌの生んだ子ども)と罵ったそうです(なお罵った言葉は英語だったそうです。英語でなんていうんでしょうか?)。安貞桓は母子家庭で生まれ育ち、Kリーグ時代にも家族を罵倒されてサポーターと問題を起こしたこともあります。おそらくこうしたことを知ってのことでしょう、ピンポイントで安貞桓を逆なでする言葉を発したわけです。

 怒り爆発だった安貞桓ですが、チームメイト・楊林が中に入って事なきを得ました。ちなみになぜかその楊林にイエローカードが出てきます。試合後、スタッフらに安貞桓は抗議し問題が発覚しましたが、罵倒した証拠がないために秦升に処分はなしとのこと。

 また同じ試合で江蘇舜天の唐田が大連の韓国人選手・全雨根を激しく踏みつけるというラフプレー(動画はこちら)。レッドカードで3試合の出場停止を命じられました。

 この江蘇舜天というチーム、ラフプレーが多くイエローカード、レッドカードをもらいまくることで有名なようですが、それにしても韓国人選手をターゲットにしたひどい行為は噴飯もの。アジア人枠ができた以上、日本から中国スーパーリーグに移籍する選手も増えていくかと思いますが、どんなことが起きるかと考えるとぞっとします。

中国版「ゆとり世代」の学級崩壊動画がネットに流出=金持ち子息の脳天気な学校ライフ

2009年05月14日

あきれた授業風景がネット流出!隠れてチャット女子高生VS教師の動画に賛否―中国(Record China)

ちょっと気になったので元動画を捜してみました。

90后课堂实境实拍_下端警戒天狗_新浪播客

 レコードチャイナの記事には、「情けない」「クズ生徒ばかり」「授業中にチャットする生徒と動画撮影する生徒、寝ている生徒、注意しない教師。これが授業なのか?」というネットユーザーのコメントが紹介されていますが、確かに見事なまでの学級崩壊ぶり。明らかに不自然な体勢でチャットしていたので、教師もきっと問題には気がついていたのでしょう。こういうクラスで授業をしなければならない先生って本当に大変だと同情してしまいます。

 タイトルにつけられている「90後」とは90年代生まれの世代を指す言葉ですが、責任感がなく甘ったれた世代とも見なされています。日本でいうところの「ゆとり世代」的なレッテルでしょうか。まあただ名門学校ともなればむちゃくちゃハードに勉強する優秀な学生が多いですから、世代の問題というよりも中国が豊かになって、こうしたダメ学校が登場するようになっただけという見方が正しいように思います。

 ところで笑いものにされた女生徒ですが、使っているのはモバイルノートパソコン。これにデータ通信カードを挿しているという、なかなかのお金持ちぶり。動画も結構鮮明でかなりいい携帯電話なんでしょう。まだまだ貧しい人が多い中国で、この脳天気な生徒たちを見ているとちょっと許し難い気持ちになります。

バービー人形は文化侵略?まだまだ慣れない外国文化

2009年05月13日

 BBCの中国語ポッドキャストで面白い話があったのでご紹介。

 5月4日の放送でタイトルは「中国の子どもたちへバービー・ドリームを売る」。上海にバービー販売の旗艦店ができたというネタ(全部ではないですが、一部文字起こしされたものがこちら

 バービーの旗艦店開設、ついでにディズニーが2歳から12歳向けの英語スクールを開設したというニュースがセットで紹介されており、中国の子どもたちに早い段階で愛着を植え付けることで将来のビジネスにしようとしているとの戦略が紹介されている。

 女性問題の研究者からは、バービーは誕生当時からアメリカで問題視されていた。つまりナイスバディのブロンドバカ女的なイメージが理想化されるのはいかがなものかという批判であり、中国でも同様の問題が心配されるというもの。そこまで心配しなくてもいいだろ、という別の研究者の反論もセットで紹介されていた。


 考えすぎの一言で終わりそうなネタではあるが、、中国ではこうした「西洋の文化侵略」がたびたび話題となっている。昨年の北京五輪の際には、雑誌「プレイボーイ」が解禁されるのかどうかが話題になった。

 考えてみれば、中国は経済・社会の激変のさなかにあるが、その多くは「欧米化」と理解されており、その反発も根強い。核家族化、雇用環境の変化、性の低年齢化などなど全部ひっくるめて「欧米化」のレッテルが貼られるケースも少なくない。

 その反動で儒教ブームや唐服ブームが起きたりもするのだろう。ただ考えてみれば、自分が子どものころは下着モデルが金髪の外国人女性だったりと、日本でもそうした問題はより先鋭的だったように覚えている。日本も外国コンプレックスはいまだに強烈だったりするが、あまり意識されなくなってきているように思える。また「カワイイ大使」に象徴されるように、日本文化とかいってもすぐに江戸時代なり、伝統に飛びつくような短絡思考はなくなってきている。

 中国でも幼い時からこうした外国文化を普通に享受している世代がおっさん、おばさんになるころには、日本同様、「外国」に対する過剰な意識は消えるのではないかとは思う。ただ昨年の北京五輪開会式をはじめ、強烈にアピールされる「中国文化への反動」を見せられるたびに、まだまだ長い道程が必要だなと痛感させられる。

新車販売世界一、留学生強制隔離、誘拐組織大量摘発……―ニュースピックアップ

2009年05月12日

中国需要回復も、薄い恩恵:日経ビジネスオンライン
 中国は景気回復の光が見えてきたと伝えられるも、進出した日系メーカーの業績は芳しくないという話。「(日系メーカーが求められていたのは)先進国水準の機能や品質であって、今、中国の内需刺激策で盛り上がっている市場とは異なる」と総括しているが、本当に景気は底入れしたのか?中国メーカーはどうなのかという点が気になるところ。

中国、4月の新車販売115万台 4カ月連続「世界一」  asahi.com
 3月に続き過去最高を更新。小型車減税が効いているとのことです。

“逆デカップリング”に苦しむアジア:日経ビジネスオンライン
 なぜ金融危機の震源地・米国より、日本をはじめとするアジア諸国のほうが経済の落ち込みが激しいのか、という問題について。たんに米国の需要が下がっただけでは説明できず、在庫調整と設備投資減速が響いたという仮設になっている。

新型インフル、症状ないカナダ人留学生を強制隔離 中国  asahi.com
 メキシコ政府が「中国政府のやり方は差別的」と怒った報道もありましたが、このニュースを見ると今、中国で外国人がどのように扱われているか想像がつきます。近いうちに中国に行く予定でしたが、日本で新型インフルエンザの感染者が出た今、発熱していなくても隔離される可能性があると思うと、ちょっと行く気になれません。

中国など豚肉禁輸、米国・カナダ・メキシコがWTO提訴も(読売新聞)
 国内では風評被害が心配といっていながら、輸入は禁止というのは「豚肉が危ない」というのを政府自ら認めているようなものですが。。。

<四川大地震>一人っ子を失った女性1641人、妊娠許され再び母親に―四川省(Record China)
 四川大地震被災地の多くは発展の遅れた地域。子どもは老後の支えでもあり、心理的な問題のみならず、経済的にも大きな打撃です。

中国、人身売買目的の誘拐組織を大量摘発…女性、子供を保護 - MSN産経ニュース
「今回、公安省は全国規模で専門のプロジェクトチームを作り、各地の警察をまとめて統一行動を取ったため、大きな成果につながったという」とのこと。中国だと「**取り締まりキャンペーン」とかをやった後、大々的にプレスリリースを逃すわけですが、今回の「大量摘発」もそのたぐい。結局、氷山の一角でまだまだ同様の問題は残されています。
北京春秋 空母「毛沢東」!? - MSN産経ニュース
 

私は「毛主席の小戦士」だった―書評

2009年05月11日

私は「毛主席の小戦士」だった―ある中国人哲学者の告白私は「毛主席の小戦士」だった―ある中国人哲学者の告白
(2006/10)
石 平

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 中国の愛国主義教育、反日感情についての執筆活動を続ける評論家・石平氏の著作。

 同氏の本を読むのは『中国「愛国攘夷」の病理―吹き荒れる電脳ナショナリズム』以来。というのも『数字が証す中国の知られざる正体―「21世紀は中国の世紀」のウソを暴く』とか、『 「日中友好」は日本を滅ぼす!――歴史が教える「脱・中国」の法則』とか、おどろおどろしいタイトルを見るだけで、なにかげんなりしてしまう。

 中国本は「売らんかな」という気持ちが先走りすぎて、扇情的すぎるタイトルをつけているものが多いが、逆にそれで引いてしまう人もいるのではないかと思う。最近だと『China Price』が『中国貧困絶望工場』という邦題をあてられていたが、いい本なのにタイトル見ただけで「そんなの読んでいるの?」と眉をひそめられたこともあった。

 そういう意味では本作はてらいのないタイトルだが、それだけに手に取りやすいかも。図書館で目についたため、なんとなく借りてしまった。

 すると、石平氏が語る自らの体験はなかなか興味深いもの。文革期にあたる少年時代、学校で徹底的に毛沢東を崇拝するよう教育を受けたこと、授業をする女性教師が毛沢東の素晴らしさを語りながら涙ぐんでいたことなどが語られ、そこから民主化運動への参画と挫折しての日本留学と体験が語られていく。

 ほかにも、愛国主義教育にどっぷりつかった甥から、日本で稼いだ金は受け取れない、と小遣いを突き返され、中国の反日感情問題を告発することを決意したこと。漢方医だった祖父に論語を学んだエピソードは印象的。当時、封建思想の代表である儒教を学ぶことはきわめて危険な行為だった。そのため祖父は書き取りさせたノートを焼いていたという。その後、日本に留学後、多くの論語関連の本を目にし、中国が失った文化が日本に残っていることに感動して「親日派」となったのだという。

 本書ではそれ以外にも石平氏が他の著作でも説いている中国の愛国主義教育、反日感情の問題についても触れているのだが、そこには少し違和感がある。というのは石平氏の描く「ウルトラナショナリズム」に毒された中国人は、みな心の底から日本を憎悪しいきりたっている姿で描かれているためだ。

 私の交友範囲はそんなに広いものではなかったが、その範囲で知っている中国人の若者の印象とは全然違うというか。日本製品好きだし、日本文化にも興味あり。日本人と友達になることも屈託がない。ただそういう彼らがなにか事件があると不買運動だーと盛り上がったり、飲み会の席で日本の悪口を言い合ってみたりと変貌する。もちろんかちこちの反日青年もいるのだろうが、そうじゃない普通の感情しか持たない人が大多数ではないかというのが私の感じたところだった。

 つまり「反日」というのは誰かとおしゃべりしたり、盛り上がったりする時に消費される格好のネタの一つでしかないというのが私の読みだ。日本の悪口は中国人ならば誰でもすぐに文脈が理解できる格好の題材なのだ。

 日本を悪くいうこと、がそこまで広まっている社会こそ反日そのものではないか、と言われたらそれまでだが、そうだとしてもそれは江沢民以降の愛国主義教育の成果というよりも、抗日戦争映画などそれ以前から続いているものではなかろうか。
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