中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2009年04月30日
もう一つのポイントがMP3検索。この機能が百度をして中国最大手の検索エンジンにしました。すなわちネット上にアップされている音楽ファイルなどをリスト化し、百度のサイトからダウンロード可能にしたものです。自前のサーバで音楽ファイルを違法に公開しているわけではないので、著作権法にひっかかるかぎりぎりですが(裁判沙汰になっています)、結局、この手のサービスは中国ではOKということになりました。しかし世界企業のグーグルがやれば大問題になるのは必至。結局、百度の独走を指を加えてみている状態となりました。
こうした状況が変化を見せ始めるのは2005年のこと。元マイクロソフト世界副総裁の李開復氏がグーグル中国総裁に就任してからとなります。以来、グーグル中国はトレンド検索や生活情報ポータルなどッローカル化を強力に推し進めます。
そして今年3月、満を持して公開されたのが「グーグル音楽検索」です。音楽配信サイト・巨鯨音楽網と提携、100万曲もの楽曲を合法的に配信しています。
まさに百度と正面決戦。他人様が勝手にアップしたファイルをリスト化する百度のほうが曲数では圧倒的ですが、音質が悪かったりサーバが死んでいたりするため何気に「当たり」を引き当てるのが大変。その点ではグーグルが圧倒的に優位に立っています。グーグルで探して見つからない場合には百度を試すというのが、ベストな選択肢となっていくのではないでしょうか。
またグーグル音楽検索には面白い検索方法もあります。リズム、音の高低、音色の豊富さ、年代といった「つまみ」を動かすことで、曲を探すことが可能というもの。例えば、「日本語の曲で一番リズムが早いもの」と検索をかけると、宇多田ヒカルの「Wonder 'Bout」、DJ OZMAの「Let Me Dance」などが表示されます。ちょっと遊んでみた限りではまだまだ精度が低そうですが、面白い発想です。
ちなみに日本語の曲もそれなりに。「日本・韓国楽曲ランキング」(なぜかひとまとめです)には、中島美嘉、松たか子、倖田來未がランクインしていました(4月30日現在)。無料で音楽ファイルがダウンロードできるとあって、日本でも相当需要があるはずですが、残念ながら中国国内からのみサービス利用可能となっています。
海賊版があふれかえる状況を続けていたら、こんなすごいサービス(合法的な無料ダウンロード!)が登場するというのはなんとも羨ましい限り。比べると、まじめにお金を払っている日本の消費者がバカを見ているなぁと痛感します。