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住宅バブルの化けの皮=虚偽銀行ローン問題が明るみに

2009年05月25日

 中国の住宅バブルとはなんだったのか?その一端を教えてくれる記事があったのでご紹介します。

 5月25日付の中国不動産報は近年、不動産訴訟に占める虚偽銀行ローン案件が激増していることを伝えています。

 虚偽銀行ローンとはいったいなんなのか?記事ではある典型的な事例を紹介しています。

 2003年、高さんはある不動産ディベロッパーに就職していた。同社は北京市朝陽公園付近にマンションを建設していたが、銀行から獲得した資金を社長が博打ですってしまったため、高さんにマンションを買うとの名目で銀行ローンを組むように頼みこんだ(博打の件については高さんは知らなかった)。頭金及び返済はすべて会社が負担するという話だった。
 その後、転職し同社とは無関係になっていた高さんだが、2008年6月、銀行から電話がかかってきた。住宅ローンの返済が6か月も滞っているというではないか。慌てて調べてみると、不動産会社の社長は2008年初頭に逮捕されており、マンションも完成前に建設が中止されていた。

 中国不動産報によると、高さんの事件は「きわめて典型的な事件」であるとのこと。別に社長が博打で金をすったのが典型的なわけではなく、不動産ディベロッパーが人の名前を借りて銀行ローンを組むのが一般的だったというお話。

 なぜそういうことをするのかといえば、
・とりあえずの資金獲得
・値段のつり上げ(その後、中古住宅として販売)
・人気のある物件のように見せかける
 といった狙いのため。

 人の名義でローンを組んで返済はどうするのか気になるところですが、住宅価格が右肩上がりの状態ならばどんな形で借金してもそれ以上のリターンを生み出せるので問題なしだったわけです。高さんのケースにしても問題となったのは2008年と住宅価格に問題が発生してからのことですし。

 似たような話は中国にいくらでもあります。1つ例を挙げると、創業者が株価操作疑惑で逮捕された大手家電販売店・国美電器。ある報道によると、同社の収益源は決して家電販売ではなかったといいます。実際には流通を握っているという巨大な権力を生かし、家電の販売からメーカーへの支払いに数か月の時間差を設定、そこで手にした資金を投資することで莫大な利益をあげていたもよう。家電販売ではなく、投資が本業だったと批判されています。

 日本でもバブル期には企業の多くは投資に精を出し、本業なんてどうでもいいぐらいの利益をあげていたわけで、その意味では近年の中国は間違いなくバブルそのものであったと言えるのではないでしょうか。右肩上がりの成長が止まれば、こうしたモデルは崩壊するしかないわけですが、虚偽銀行ローン問題が浮上してきたのはそのシグナルの1つでしょう。

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