各国のサッカーにはその国ごとのスタイルがあるのが面白いところ。サッカージャーナリストの後藤健生氏は、下部リーグではフィジカルの勝負になるのが一般的ながら「
日本の3部リーグ(JFLや大学リーグ)は、じつにきれいな(戦術的な)パスサッカーを志しているチームが多い」と日本サッカーを評しています。
素人考えながら、草サッカーにもそうした志向があるのかなと思っています。というのも、中国人とサッカーしたことのある留学生ならばわかってもらえるかもしれませんが、中国人の草サッカーにはカンフーサッカーの影がちらほらと見え隠れするのです。わたしの一番印象深い経験はサイドライン際でジャンボ鶴田ばりのジャンピングニーを食らったこと。コンクリートのコートというデスマッチスタイルだったこともあり、死の影がちらつきました。
というわけで素人サッカーもカンフーである以上、できればさわやかであってほしいユース年代のサッカーももちろんカンフーです。それがはっきりとわかってしまう事件が起きてしまいました。
舞台となったのは2009年7月26日、第11回全国体育大会会男子サッカー(U-20)のグループリーグ、北京代表対天津代表の一戦。天津は引き分け以上でベスト8進出、北京は勝利が必要という天王山の一戦です。一進一退の白熱したゲームだったのですが、次第になにかがおかしくなっていきます。
まずはベンチに座る天津代表選手が審判の判定に文句をいって退場、続いてはやはり天津の選手がイエローカード2枚で退場、そしてきわめつけは天津の選手が倒れた相手の胸にストンピングを決めなんと3人目の退場となりました。試合も3対1で北京が勝利しています。
試合終了後、天津代表選手らの怒りが爆発、群れをなして審判に詰め寄ります。危険を察知した審判は走って逃げようとしますが、そこは将来の中国サッカーを担うエリート選手、行く手を阻むガードマンを華麗なステップで交わしすばらしいダッシュで審判を追い詰め、突き倒します。その走りを試合で見せておけばと嘆いてももはや時既に遅し、審判への暴力事件という大スキャンダルとなりました。
・試合について報じるニュース。試合後の混乱は2分20秒ごろから。