「格差社会」という言葉は、もはや流行りとは言えないほどに定着した感があります。今後もこの傾向は続くでしょうから、当たり前となってしまえば取り立てて使われなくなる言葉かもしれません。日本だと「格差があるのはかわいそう」とか「きっつい」とか程度でしか捉えられていないようにも思いますが、「格差社会」先進国である中国では、もはや治安や国家維持に関わる重大な社会問題となっています。
8日、江西省吉安市で母親・妻・子ども・隣人など8人を殺害する事件が起きた。犯人の周葉忠(ジョウ・イエジョン)は逃亡の末、警察に逮捕された。取り調べを続けているが、動機はまだ明らかにされていない。
中国では最近、幼稚園、小学校の襲撃事件など凶悪犯罪が相次いでいる。事件に共通しているのは、被害を受けたのは犯人の身近な人や罪のない子どもたちであること。なぜ現在の中国のような「経済大国」でこのような事件が頻発するのか。
中国社会学研究会会長の胡星斗(フー・シンドウ)北京理工大学経済学教授は、貧富の格差が悪化し階級対立が激化していると分析した。既得権益層がさまざまな手段を通じて一般市民から搾取し、被害を受けた弱者がさらに弱いものに暴力を振るう。強者が弱者を虐げる負の連鎖になっているという。
独占国有企業職員の高過ぎる給与=進展する格差社会化は社会不安の要因に―中国
最近、幼稚園・小学校の襲撃などが相次いでクローズアップされた感がありますが、「仇富」(金持ち憎悪)という言葉が頻繁に報じられるようになるなど、中国の階級対立と暴力事件の多発は深刻です。高い塀で囲まれ警備員を配備したゲーテッドコミュニティは中国でも一般的なものですし、武術学校の卒業生の就職先として金持ちのボディーガードという職は一般的になっているそうです。(参考:
武芸十八般に通じた「女性ボディガード」が引く手数多に―中国)
自暴自棄になった人による傷害事件はもちろん、冷静に「稼ごう」と金持ちを狙った犯罪も増えていくでしょう。大企業の経営者など本当の金持ちは自衛できるのでしょうが、問題は一般公務員や企業の中間管理職といった中産階層ではないでしょうか。
貧乏人と比べればお金はあるが、しかしゲーテッドコミュニティに住んだりボディーガードを雇ったりするほどの金はない。子どもを警備がしっかりした幼稚園・学校にも入れられない。子どもの送り迎えをする時間もない。そういった人々は「格差社会化」による治安悪化の影響をもろにかぶることになるのでしょう。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
クリックしていただけると更新の励みになります!!