サーチナの2010年6月5日付記事「AV女優の鈴木杏里、日本の中国侵略に「いつも体で謝罪してる」」が、ちょっとひどい感じの記事だったので、指摘してみる。タイトル見ただけで嘘くささがぷんぷんする記事だが、中身を見るとさらに疑惑が高まる内容だ。
台湾メディア「NOWnews」によると、日本のAV女優である鈴木杏里さんはこのほど、日中の歴史問題について言及し、「歴史は塗り替えることができないもので、尊重されるべきものだ」と語り、機会があれば、「中国人に自らの体を捧げること」で日本の中国侵略への謝罪を示したいと語った。香港・文匯報が伝えた。
報道によれば、鈴木杏里さんは大学で歴史を学び、「日本の中国侵略」を卒論のテーマとしたという。記事では、「歴史を学ぶ大学生と同様に、彼女も歴史研究者の道に進むことはなかったが、彼女は日本の中国侵略を正視することのできる人だ」とした。
鈴木杏里さんは日常生活においても中国人留学生とベッドをともにすることが多々あるそうで、彼女からすればそれは「一種の贖罪(しょくざい)」だという。
鈴木さんは「そうすることで日本が中国を侵略したことに対して心の償いができる」としながらも、「はっきり言うと、日本人よりも中国人留学生の方が優しく、私のことを気持ち良くしてくれる」とも語った。(編集担当:畠山栄)
AV女優の鈴木杏里、日本の中国侵略に「いつも体で謝罪してる」 2010/06/05(土) 15:54:14 [サーチナ]
いつ、どこで発言したのかについて、一切触れられていない。飛ばし記事によくある形態で、検証できないようになっているという寸法だ。気を引く内容だし、中国人の自尊心も満足できる。ついでに日本のAV女優が「これが私の謝罪よ」とエッチなことをしてくれるかもと妄想をたくましくできる。タブロイド紙的には無敵の内容というか、コストパフォーマンスが高いというか。
実はこういった記事はそんなに珍しいものではない。本ブログで取り上げた「
21世紀中国ニュース 日本の男は無能!「中国の男」との結婚が日本人女性にブーム」なんかも同系統の記事だろう。あいかわらずいいかげんな記事を書いているなーと笑い飛ばして終わらせてもいいのだが、サーチナの翻訳にちといただけない部分が。
「報道によれば、鈴木杏里さんは大学で歴史を学び、「日本の中国侵略」を卒論のテーマとしたという。記事では、「歴史を学ぶ大学生と同様に、彼女も歴史研究者の道に進むことはなかったが、彼女は日本の中国侵略を正視することのできる人だ」とした。」
という部分の原文は以下の通り。
「日本AV女優鈴木杏裡擁有AV界中少見的高學歷:是某知名大學畢業的歷史系博士!她論文的題目更是研究日本侵華歷史。雖然跟日本國內很多歷史系畢生一樣,沒有走上繼續從事歷研究這條路,但是她依然是個能夠正視日本侵華史的人。 」(日本のAV女優・鈴木杏里さんはAV業界の中でも数少ない高学歴の持ち主。ある有名大学を卒業した歴史学博士だ。論文テーマは日本の中国侵略史。日本の史学科卒業生の大半と同じく、歴史研究の道を続けることはなかったが、しかし日本の中国侵略の歴史を正視することができる人物だ)
日AV女優贖罪 免費與中國留學生做愛 - 快訊-文匯網
なぜか翻訳部分からは「有名大学の歴史学博士卒業」という要素がすっぽり抜け落ちている。Wikipediaを見ると、鈴木さんは1985年生まれ。飛び級していない限り博士号は取得できない計算だ。他の部分はかなり原文に忠実に訳しているのに、一発でガセネタとわかる情報をなぜそぎ落としたのか、疑問が残る。
サーチナの記事はそれほど注目を集めてはいないようだが、2ちゃんねるに記事は転載されそれなりに叩かれているようだ(
【日中】AV女優鈴木杏里、日本の中国侵略に「いつも体で謝罪」「中国人に自らの体を捧げることで日本の中国侵略への謝罪を…」)。
「台湾のタブロイドニュースにこういうネタが載っている」という事実そのものは大変面白いと思うし、それを文匯報という香港大手メディアが転載したということ自体は大変興味深い話だと思うけど、嘘くさい話ですよと注釈を入れるべきだったのでは?少なくともつじつまが会わない部分を翻訳段階でカットするというのはちょっとひどすぎるのではないか、と。
似たような仕事をしているので矛先が自分に返ってくる話かもしれないが、我慢できなかったので書いてみた。
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