中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年07月22日
2010年7月21日、広東省広州市にあるオムロンの自動車部品製造子会社工場で賃上げを求めるストライキが起きた。シンガポール華字紙・聯合早報が伝えた。
ロイター通信は同工場の従業員2人のコメントを伝えている。ストライキは21日午前より始まった。現行の給与1270元(約1万6200円)に40%上げにあたる500元(約6380円)の上積みを求めているという。
その従業員は現在の給与に不満をもっていると話し、以前、経営陣に賃上げを申し入れたが回答が得られなかったため、ストライキを決行したと話している。従業員によると、オムロン子会社工場の従業員数は700~800人。うち400~500人がストライキに参加したという。
21日付朝日新聞は、労使双方が話し合い21日夜にストライキは収束したと報じている。オムロンは妥結条件については明かしていない。
日系企業の自動車部品工場でまたストライキ=給与40%上げを要求―広東省広州市(Recordchina)
ホンダ工場のストライキを発端にあちらこちらに飛び火しているもよう。すべてが報道されているわけではないので、全体像は藪の中です。
中国経済的には今年一番のキーワードとなった「加薪潮(賃上げブーム)」。なぜこれほどの広がりを見せているかというと、以下の3点が理由なのかな、と。
1)労働者の不満
ここ10年弱の急成長の中、給与の伸び率は経済成長率を下回る状態が続いてきた。しかも、高給のホワイトカラーは給料が上がっても、末端の労働者の給与伸び率はほとんど伸びない。むしろ物価の伸びに負けているケースも。
2)ストをしても政府が怒らない
中国ではストライキは一応、非合法な行為。ホンダの工場のストライキでも、当初は「罢工(ストライキ)」と報じられていたが、後にはメディアがこの言葉を使うことは禁止された。また他社のストライキについても報道管制がしかれているもよう。
ところが報道管制こそあるものの、ホンダの工場のストライキを政府は取り締まらなかった。「ストやっていいんだ」と労働者が理解した。
3)ストすれば勝てる
ホンダを筆頭に、現時点でストライキの結果は労働者の勝利率100%(少なくとも表に出ている限りでは)。となればやらないだけ損。記事にもありましたが、ストライキするぞとの脅しだけで賃上げしているケースもありそうです。
賃上げに中国企業は絶えられるのか?この先、政府はどう対応するのか?官制労働組合を労働者自身の組織に改組するべきでは?組合専従の給与を会社が負担するべき?
中国メディアには山のように観測記事が上がっています。本サイトでも今年最大の話題といえる「加薪潮」をまた取り上げていく予定です。