中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年07月23日
さて、この王さんの告白だが、初出は日本華字紙ではない。ネット検索で確認したところ、なんと2004年5月8日付東方網が「訪日留学生:日本で『女体盛り』の仕事をした屈辱の経験」と の記事を掲載している。その冒頭は「4月初頭、昆明市のレストランが『女体盛り』サービスを提供。事件の発覚はまるで波紋のように広がり、同様のサービス を提供している店舗が数多く見つかった。その後、衛生監督部門は『女体盛り』サービスを注視するよう始動した。『女体盛り』とは何か?どんな食事方法なの か?かつて日本に留学した経験のある美しい女学生・王娜が私に『女体盛り』の屈辱の経験を語った」とある。調べると、この記事の後、昆明市のくだりが削 除、改変された上で、繰り返し転載が続き、テンプレートと化しているようだ。
北海道大学の高井潔司教授は、21世紀中国総研ウェブサイトにコラム「『女体盛』専門家になってしまった私」(2004年5月15日発行)を 発表、昆明市の「女体盛り」事件について解説している。「『女体盛』は1年(2003年)も前から、中国で話題になっていて、そういう助平な中国人男性が いるから、和風レストランと称する店でそうしたサービスをやろうとしたのだということがわかる。「日本」に対するでたらめなステレオタイプが、インター ネットによって、広められた結果であることもわかる。(報道は)このあたりをきちんと書き込んでいただかないと、問題の本質が伝わらず、また日中間の感情的な反発だけを高める結果に終わってしまう」と分析した(カッコ内はChinanewsの注記)。
アダルトビデオなど日本の「性」につい て、中国人の関心は高い。その中で、実態とかけ離れた情報が広まっていることも少なくない。一例をあげれば、以前、本サイトで取り上げた「日本のAV女優 が侵略の罪を謝罪するために、中国人男性に体を提供」という話もその一つ。ネット掲示板が普及している中国では、ガセネタだと判明した後も転載が続き、訂 正されないまま広がっていってしまう。
こうして中国では「エロの国・日本」というイメージが定着している。表向きでは「性」が厳しく取り締まられている中国だけに、「開放的な日本」へのエキゾチックな興味があるのかもしれない。